目次
キャリア教育・キャリアプランニングの基礎知識
学校におけるキャリア教育とは
キャリア教育とは、文部科学省中央教育審議会によれば、「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」と定義されています。平成29年に告示された小学校・中学校の学習指導要領の総則において、キャリア教育に関する内容が明示されました。小学校や中学校においてキャリア教育の充実化がはかられ、子どもたちを適切な進路選択へと導くことが今後の教育現場で求められています。
【出典】文部科学省中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/siryo/attach/1303768.htm
キャリア教育では、「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」の4つから構成される「基礎的・汎用的能力」を育成することを目的としています。これは既存のキャリア教育における「キャリア発達にかかわる諸能力(例)(4領域8能力)」の枠組みにおける課題を受けて、新たに提唱されたものです。在学中に限らず、生涯を通じて育成されるべき、社会人に求められる能力ともいえます。
【出典】文部科学省「中学校キャリア教育の手引き 第1節 キャリア教育の必要性と意義 第1章 キャリア教育とは何か (3)キャリア教育で育成すべき力」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/1306815.htm
キャリアプランニングとは?
キャリアプランニングとは自分にとっての理想的なキャリアや、仕事を介してなりたい姿に向かって計画し、行動を起こすことを指します。学校で行われている進路学習や職業教育といった教育活動もキャリアプランニングの一種です。キャリアプランニングをより有意義なものにするためには、仕事における将来の目標まで考えて、目標達成に向けた一連の流れを計画することが必要になります。1年、5年、10年といった長いスパンで計画を立てるとよいとされています。
キャリア教育で身に付けるべき能力のひとつである「キャリアプランニング能力」は、働くことの意義を理解し、多様な情報を取捨選択・活用しながら主体的に判断してキャリアを形成する力といわれています。
キャリアプランニングが必要とされる理由
キャリアプランニングはアメリカ発祥の考え方です。もともと終身雇用が一般的であった日本では、働き手がキャリアについて考える機会が少なく、キャリアプランニングが一般的ではありませんでした。近年では日本でも社会の変化や働き方の多様化にともない、一人ひとりが生き方やキャリア形成について考える必要性が出てきており、企業の社員研修等でもよく実施されています。学校教育においてもキャリア教育の一貫として、キャリアプランニング能力の育成に取り組んでいる学校も多くあります。
キャリアプランニングのメリットと注意点
キャリアプランニングのメリット
・明確な目標に向かって行動できる
キャリアプランを立てることで、将来へ向けて今何をすべきかが明確化されます。将来のイメージが漠然としている生徒にとっては、重要な行動指針となるでしょう。また、今やるべきことや必要な経験を言語化することで、なりたい自分とのギャップを埋めるための行動と成長につながります。
・自分に合った仕事を見つけやすい
キャリアプランニングに取り組むことで、生徒が自分の能力を客観的に理解する「メタ認知能力」の向上が期待できます。理想的なキャリアから逆算して考えることで、生徒が現在の立ち位置や実力を把握しやすくなります。自身の強みや弱みを知り、どんな仕事に向いているか考えるきっかけにもなります。
キャリアプランニングの注意点
キャリアプランニングを行う際には、設定した目標やプラン内容は、途中で変えても問題ないということを生徒に理解してもらうことも重要です。生徒の将来の可能性を狭めてしまうおそれがあるため、特定のキャリアプランに固執しなくてよいということを伝えましょう。また適切な難易度の目標を設定できるようなフォローも必要です。無理なく達成できるゴールを設定することで、生徒の成功体験を積み重ねていくことが大切です。
学校でのキャリアプランニングの実践方法
実際に学校でキャリアプランニングを行う際にはどういった手法があるのでしょうか。具体的な例を開設します。
STEP1:過去を振り返る
生徒の自己理解を深めるために、過去を振り返ったうえで自己分析を行うのがポイントです。これまでの人生を振り返り、どのようなキャリアを積みたいのか、「理想の自分」とは何なのかを考えさせましょう。今まで夢中で取り組んだこと、好きなこと、苦手なことなどを紙に書き出して言語化すると良いです。個人で行うと行き詰まりがちなので、分析シートを使ったワークショップや、インタビューなどのグループワークの実施も役立ちます。
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STEP2:ライフプランを考える
仕事だけを独立して考えさせるのではなく、ライフプランも合わせて考えると、生徒はよりリアリティを感じます。
将来の自分がどんな生活を送っているのか、キャリアと併せてライフスタイルをイメージさせることも大切です。ライフプランをシートに記入させる取り組みなどで、生徒が「理想の人生像」を描きやすくなります。
STEP3:キャリアプランを考える
STEP2で考えたライフプランを踏まえ、「理想の自分」や「理想の人生像」を実現するためにキャリアを踏まえた計画を立てましょう。「将来こういった仕事につきたい」というような長期的な計画だけでなく、1年後の目標、5年後の目標へ向けた計画も立てると良いです。
その際生徒は仕事に対するイメージが持てておらず、視野が狭くなりがちです。職業や企業に関する情報収集を行ったり、インターンシップや職業体験を行うことができるとより有意義なプランになるでしょう。
< 目標へ向けて計画を立てたら、実現のために行動を促すことも必要です。計画を立てるだけにならないよう、定期的に振り返りを行い、目標や計画の見直しを繰り返すことが大切です。
(まとめ)キャリアプランニングとは?メリットと注意点、学校での実践方法は?
キャリアプランニングとは、自分にとっての理想的なキャリアや、仕事を介してなりたい姿に向かって計画し、行動を起こすことを指します。充実した人生を送るために、中学生・高校生も自らのキャリアを考え、今後の進路や今やるべきことを計画していくことが大切です。 学校で行うキャリア教育は、進路についての情報収集や職業体験などさまざまな方法がありますが、授業での探究活動や、キャリアパスポートを使って自らを振り返ることもキャリア教育の一環になります。
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