過去の連載
第3回 『再考:働き方改革 「学校でやれることはやり尽くした」は本当か』
第4回 『教育委員会はなにするところ?学校改善の伴走支援者としての教育行政』
第6回 『教員がやらなくていい業務は?』
■業務の3分類、ご存じでしたか?
現在、国会では給特法(公立学校教員に適用されている給与特別措置法)の改正案が審議されています。残業代を出すべきかどうかという話や、教職調整額を4%から10%に上げるくらいでよいのかどうかといった話が、報道等ではよく見かけます。そうした処遇等の話も重要ではありますが、重要な論点はほかにもあります。学校の働き方改革をより強力に進めるにはどうしたらよいだろうかについてです。
そのなかで、あらためて議論されているのが、教員がやらなくていい仕事をもっと明確にしたほうがよいのでは、という話です。実は、2019(平成31)年の中央教育審議会の答申で、業務の3分類というのをしています(図)。「基本的には学校以外が担うべき業務」というのは、登下校の見守りや夜間の補導対応、集金業務などがあがっていて、これは学校から切り離せ、と文科省も言っているのです。「学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」というのは、教員以外のスタッフ等や外部委託でやってもいいよね、という話です。
出所)文科省資料
https://www.mext.go.jp/content/20240513-mxt_zaimu-000035852_2.pdf
ですが、みなさんの学校の状況はいかがでしょうか?まだまだ集金業務は教員の手から離れていないよ、というところなども少なくありません。それに、「学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」なんて言われても、掃除や部活動指導が典型例ですが、ほかに担い手がいないと、予算がないと、分業やアウトソーシングなんてできないじゃないか、と言いたくなる人もきっと多いことだと思います。そもそも、この3分類は、5年以上前から出されているのに、忙しい先生たちにはあまり知られてもいないのかもしれません。
■やらなくていいことリストを作るといいのか?
実は、財務省は、学校の働き方改革をもっと強力に進めよ、と文科省等にプレッシャーをかけています。部活動指導員などに多額の予算をつけてきたのに、残業時間がたいして減っていないことに業を煮やしている感じです。財務省の審議会の資料では、次のように、イギリスの例が紹介されています。「教員がやらなくてよい業務リスト」を国が示しているのです。
出所)財政制度等審議会・財政制度分科会(令和6年11月11日開催)資料
みなさんはどう感じますか?日本の学校の場合、このリスト中での業務のなかにも教員が担っているものはけっこうありますよね?
国会審議でも、国として、もっと明確に、学校や教員がやらなくていいことを示すべきではないか、という話も出ていますが、今後どうなるかはまだ見えません。
日本の場合、戦後、地方自治を重んじてきたという理念や経緯もあります。国が強力に打ち出すことには功罪があります。
現に、前述した文科省・中教審が整理した3分類でさえ、当事者である教員のみなさんの参画が十分にあって、合意形成の結果出てきたものとは言い難いと思います。他人から押し付けられたものでいいのでしょうか。国、教育委員会、学校、個々の教職員、だれが何を決めていくのがよいのか、というところが問われています。
また、たとえ考え方や方向性がよかったとしても、実現可能性が問題となります。前述のとおり、担い手、受け皿はあるのかという問題です。「チーム学校」などとは呼ばれながらも、教員と事務職員以外の職の大多数は非常勤職のままです。雇用も不安定ですし、「ソーシャルワーカー(あるいはICT支援員)さんが次に来てくれるのは再来週です」みたいな状況なので、重たい事案ほど教員の手からは離せません。
わたしは、今回の財務省案などを活用して、「チーム学校」がもっと機能するように、学校内に常勤の専門職や支援員を増やすことが重要だと考えています(もしくは、せめて中学校区などに常駐してもらって頻繁に支援できるようにするなど)。
みなさんはどう考えますか。こんな業務は学校あるいは教員の手から放したい、こんな政策や支援がもっと必要だなど、ご意見、ご感想などをぜひお寄せください。


