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第7回 『自分のご機嫌は、自分でとる』
やる気が満ちているときから、もう何もしたくない…という状態まで、自分のやる気あるいは機嫌には大きな幅があります。
それでも、自分のことはついつい後回しになってしまいますね。教育という仕事においては、目の前の子どもや生徒、学生、組織のために自分の役割をどうしても優先してしまいます。
しかし、そのままでは、自分では大丈夫なつもりでも知らず知らずのうちに消耗して回復できず、燃え尽き症候群などに向かってしまうでしょう。自分を大切にすることは「わがまま」とは異なり、長い目で見れば高いパフォーマンスを維持するため、自分らしく「良く生きる」ための基本姿勢です。
人は、毎日ずっと機嫌良くいられるわけではありません。むしろ、丁寧に過ごしているからこそ、気分の浮き沈みがあるのだと思っています。
日々を生きる中で、あなたはどのように自分のご機嫌をとっていますか?
私は、周囲からは、おそらく安定した人と思われていると思います。
が、内心は大嵐や無気力状態もそこそこあるわけで、今回は、普段自分のご機嫌が損なわれてしまったときに、どうやって元に戻しているかなと考えました。
これまでの経験から、私は自分のご機嫌の回復は次のような段階になっています。
レベル0:次行こ次
基本は、「所与にして切り替える」。
起こってしまったことは過去のこと。瞬間的にはざわつきますが、執着はせず、未来に目を向けて動き出す。そのように思えるときは「次行こ次」で済ませます。前々回の話です。生来、小さなことにくよくよしない性格も手伝って、実際にはこのレベルで済むことがほとんどです。
レベル1:気合でのりきる
次の段階は、「認識はするけれど、行動は変えない」という対応です。「気分がのらない」という状態を、根本解決をはかるまでもなく、脳の別の場所を使ったり、身体を動かしたりすることで解消します。
おやつを買いに行く、散歩するなどちょっとした気分転換を伴いつつ、いつも通り仕事を進める、あるいはポモドーロ法※1など外からの強制力を使って集中することで、「なんとなく落ち込んでいる」状態から脱します。少し時間はかかりますが、機嫌とは関係のないことへの没頭によって、霧が晴れるかのようにいつのまにか気分が持ち直します。
レベル2:向き合う
切り替えや気合が通用しないときは、仕事を中断します。「気持ちと向き合う」時間をとり、落ち込んだ理由、今の気持ち、今後どうしたいかを付箋に書いて整理したり、ノートにとりとめなく書いたりするのです。
不思議なことに、書くことで心の中が見えるようになり、案外たいしたことないかも、と思えるようになります。
レベル3:甘やかす(いたわる)
それでも無理なら、閉店です。
一日の予定をすべてキャンセルして、完全休業にします。会議も欠席やリスケをして、自分のための時間を確保します。他人に迷惑をかけてしまうこともありますが、ここで無理をするともっと被害が大きくなるので、「事故・急病と同じ」と割り切ります。
そして、自分をいろんな方法で甘やかします。「今は何をしたい?」と心の中で問いかけ、やりたいことを全部叶えてあげるという感じです。
あらためて挙げてみると・・
- 朝ぶろに入る
- 寝続ける
- Amazon Primeで、気のすむまで映画を観続ける
- 好きなものを食べる(いちご1パックを一気にとか、外食しにいくとか)
- 喫茶店でコーヒーを飲んでぼーっとする
- スーパー銭湯、本屋、雑貨屋、ちょっと贅沢な買い物をする
- 適当にバスに乗って終点まで行く
- 知らない街を歩く
コアラやナマケモノは18時間睡眠をとるそうですが、そういう動物を頭に思い描きつつ、「人であること」をやめて、気の済むまでこの状態で過ごします。ポイントは「とことん」です。
でも、実はあんまり続きません。長くても数日で、この甘やかされた状態に飽きてきます。潮時のサインは、「こんなことしてる場合じゃない」と思った瞬間です。
そして、また日常に戻っていくわけです。
そういえば、我が子に読み聞かせをしていた本のうち、私のお気に入りの一冊は「ぼちぼちいこか」※2です。ご存じでしょうか。
- ※1:ポモドーロ法
25分間の作業と5分間の休憩を1セットにして繰り返す、集中力を維持するための時間管理術。 - ※2:『ぼちぼちいこか』
作:マイク・セイラー/絵:ロバート・グロスマン/訳:今江祥智/出版社:偕成社。


