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第2回キャリア・パスポートに対応する教材
2020年4月より始まる「キャリア・パスポート」についてどのようなものなのか。2回に分けて内容を確認したいと思います。
第2回はキャリア・パスポートとはどのようなもので、それを実施するにはどのような教材が良いかを考えたいと思います。
●キャリア・パスポートの内容
「キャリア・パスポート」の様式例と指導上の留意事項という資料から抜粋します。
前提として各地域・各学校で柔軟にカスタマイズされるものである
1. 児童生徒が記録する。学習などを振り返り、将来への展望を図ることができるもの
▶日常のワークシートや日記、手帳や作文等はその際の基礎資料とはなる
2. 学校生活全体及び家庭、地域における学びを含む内容とする
▶偏った自己評価票とならないように以下3つの視点を盛り込むこと
①「教科学習」
②「教科外活動など①以外の学校内での活動」
③「学校外の活動(ボランティア、家庭での取組、習い事など)」
▶特別活動を要としつつ各教科・科目等と学びが結びついていることを児童生徒が認識できるようにすること
3. 学年、校種を越えて持ち上がることができるものとする
▶小学校入学から高等学校卒業までの記録を蓄積する前提の内容とすること
▶各シートはA4判(両面使用可)に統一
▶各学年での蓄積は数ページ(5枚以内)
4. 大人(家族や教師、地域住民等)が対話的に関わることができるもの
▶家族や教師、地域住民等の負担が過剰にならないように配慮しつつも、児童生徒が自己有用感の醸成や自己変容の自覚に結び付けられるような対話を重視すること
5. 詳しい説明がなくても児童生徒が記述できるものとすること
6. 学級活動・ホームルーム活動で「キャリア・パスポート」を取り扱う場合にはその内容及び実施時間数にふさわしいものとすること
▶学習指導要領解説特別活動編を必ず確認すること
7. カスタマイズする際には、保護者や地域などの多様な意見も参考にすること
8. 通常の学級に在籍する発達障害を含む障害のある児童生徒については、児童生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じて指導すること。
また、障害のある児童生徒の将来の進路については、幅の広い選択の可能性があることから、指導者が障害者雇用を含めた障害のある人の就労について理解するとともに、必要に応じて、労働部局や福祉部局と連携して取り組むこと
9. 特別支援学校においては、個別の教育支援計画や個別の指導計画等により「キャリア・パスポート」の目的に迫ることができると考えられる場合は、児童生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じた取組や適切な内容とすること
●様式例
キャリア・パスポートの内容については文部科学省から「キャリア・パスポート」の様式例が例示(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/143/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2019/02/20/1413594_005.pdf)されています。
●教材
キャリア・パスポート自体の内容については上記に示されたとおりになると思いますが、今後キャリア・パスポートの実施を支える教材が必要になるのではないでしょうか。
例えば高校で実施されているe-ポートフォリオ。弊社が独自に調査したところ、先生たちの中の課題として生徒の「記録の蓄積」が一番にあがりました。
常日頃から自らの行動や気づきを蓄積する習慣がないため、ポートフォリオとしてまとめようにもベースがなく、対応が難しいというものでした。
キャリア・パスポートは年間の中で適宜行っていく活動になります。それにはベースとなる記録の蓄積が必要です。
それには生徒が継続的に記録をとり、経験から学んでいく習慣作りが必要になります。
●キャリア・パスポートを支える教材
児童生徒は文章を書くことが苦手という話をよく聞きます。
まずは書くことに慣れるため、文章ではなく簡単に日々の蓄積が残せる手帳を使ってみるのはいかがでしょうか。
手帳には日時の情報があるため生活習慣の可視化や時間管理の工夫としても効果が見込めます。
また、手帳は紙面が限られているため、文章を短くまとめる必要があります。
量的なハードルが低い点や、文章をまとめるための思考力、表現力といった力の育成にも繋がります。
また、書くことが苦手な児童生徒には年間を通して記録を蓄積するための仕組みづくりが必要です。特に初期は書き方が分からない、書くと何が良いのか分からないといった声が多いので、書き方の例や記録することがなぜいいのかを提示することが必要です。また、年度の途中には書くことがマンネリ化するため啓蒙することが必要です。
キャリア・パスポートは児童生徒が経験から学んだり、キャリア形成を見取ったりするための方法になります。日々の学びを蓄積できる仕組みになっていると、より大きな効果が期待できるのではないでしょうか。