目次
「総合的な探究の時間」の探究活動における課題を3回に分け、考え方や対策を連載していきます。
第1回は『生徒はテーマ設定が苦手』です。
第1回:生徒はテーマ設定が苦手
第2回:探究授業の設計に時間が掛かる
第3回:周囲の協力を得る
第4回:評価方法が難しい
結論:『探究活動は課題設定をすることから始めない』
●生徒はテーマ設定が苦手
NOLTYスコラ 探究プログラムを開発するに当たり、探究活動を既に実践されている先生や検討されている先生から様々なお話しを伺いました。
その中でも特に『生徒のテーマ設定が難しい』『生徒は問いを立てることが苦手』というお話をよく伺います。
では、なぜ生徒は問いを立てることが苦手なのでしょうか?
NOLTYプランナーズでは、生徒は身の回りのことに対してあまり『興味』を持てていないのではないかという仮説を立てました。そうすると、探究活動を始めるにはまず生徒に身の回りのことに『興味関心』を持たせ、『多様なものの見方・考え方(多面的視野)』を獲得させることが必要という考えに至りました。
●文部科学省も「問いを見出す」必要性を説いている
文部科学省が発表している 『高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説 総合的な探究の時間編(平成 30 年 7 月)』の11ページ 第1 目標(2)の中では
『実社会や実生活と自己との関わりから問いを見いだし、自分で課題を立て、情報を集め、整理・分析して、まとめ・表現することができるようにする。』とあります。
参考:文部科学省 『高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説 総合的な探究の時間編(平成 30 年 7 月)』
つまり、探究活動では生徒自身が実社会や実生活との関わりから『問い』を見出し、自分で課題を立てることが目標の一つとなります。
上記から、NOLTYプランナーズでは
探究活動は身の回りの『疑問』から『問い』を考える練習がまず必要になると考えています。
●疑問を探す練習からはじめる
では、身の回りの『疑問』を探す、問いを見いだす練習とはどのようなことができるでしょうか。
簡単にできるものとして身近なものに『疑問』を持つという方法を考えました。
例えば、誰もが知っている『信号機』を題材に『疑問』を出し、『問い』を見いだす練習は如何でしょうか。
【参考】NOLTYスコラ探究プログラムの興味関心ワーク ⇒ こちらからダウンロード
●『なぜ?』で周囲を見てみる
信号機を見て何か特別なことを思う人は少ないと思います。生まれたときから当たり前にあるものとしか認識していません。
しかし、信号機にはいくつも不思議な点があります。
例えば、どのようにみても『緑』にしか見えない色を私たちは信号機の『青』と呼びます。なぜでしょうか。
普段の生活の当たり前を、『なぜ、当たり前なのか』と考えることで興味や関心の広がり(多面的視野)を狙うことができます。
(探究の映像① 興味関心編)
●探究活動のスタート
疑問があるからこそ、答えが知りたくなります。その答えが知識の習得に繋がり、課題設定のベースを作ることができます。
探究活動に取り組んでいる学校の事例を伺うと、どの学校でも探究活動を始める前に探究の型を覚える練習をしています。
その練習を通じて興味や関心を持ち、多様な見方・考え方を習得し、課題設定に繋げています。
遠回りに思えますが、探究活動を始めるには『課題設定』からではなく、身の回りに興味を持てるようになるための練習、『興味関心』からスタートすることが近道だと言えます。題材も出来るだけ身の回りの生活にあるものだと生徒は考えやすいです。
例えば教室について『クラス全員がもっと集中できる机の配置がどのようなものか?』ということも練習題材として活用し、実践してみることもできる探究ではないでしょうか。
本コラムからは探究活動は『課題設定』からではなく、疑問を探すために『興味関心』からスタートすることをお奨めします。
またNOLTYスコラ 探究プログラムは「課題設定」の前に「興味関心」のフレームワークをご用意しており、スムーズな探究活動(授業)を行うことができるプログラム構成になっています。
次回は『探究授業の設計に時間が掛かる』をテーマにします。