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子どもの成長過程において、自己肯定感を高めることが大切と言われています。しかし中学生・高校生は、思春期を迎え自己肯定感が低くなりやすい傾向にあります。自己肯定感が低い中学生の特徴にはどんなものがあるのか、また中学生の自己肯定感を高めるため、教師や保護者はどのようにサポートすればよいのかについて解説します。
自己肯定感が低い中学生の特徴
自己肯定感が低い中学生の主な特徴をご紹介します。お子様や生徒様の普段の様子に当てはまる箇所があるかチェックしてみましょう。
●マイナスな印象の強い言葉が多い
「無理」「諦めた」などのマイナスな印象の言葉を多く使う場合、自己肯定感が低い傾向にあります。日頃から言葉遣いや発言の内容を注意深く見ておくことが大切です。
●自分の失敗を他人や環境のせいにすることが多い
自分の行動に自信がなく、トラブルが起きると人のせいにするのも自己肯定感の低さが影響しています。テストの点数が低いときに先生や親などのせいにする場合、他者に依存しており自己否定感が強いことの表れです。無理やり勉強させるなどの親の過干渉があると、子どもの自信がなくなりやすい傾向にあります。
●身体的なコンプレックスを感じている
思春期になると自分の身体的なコンプレックスが強まります。SNSなどを見ることでよりコンプレックスが刺激され、自己肯定感が下がってしまいます。
●周囲の目を気にしやすい
周囲の目を気にしすぎてしまうことによって、行動や発言が控えめになりすぎてしまうのも、自尊感情が低くなっていることの表れです。
●怒りっぽい
自己肯定感が低いと他人に攻撃になることがよくあります。言語化能力が低く、自分の中のイライラや不安な気持ちを言葉にできないのも、怒りっぽさと強く関係しています。
●あきらめが早い
何かをやり始めてもすぐに諦めてしまうのは、自己肯定感が低く「どうせやってもうまくいかない」「自分なんか何をやってもダメだ」とネガティブな思考のクセがついてしまっていることが原因です。
自己肯定感の高い中学生に育てるためのポイント
これまで自己肯定感の低い中学生の主な特徴を見てきました。では中学生の自己肯定感を高めるには、子育てや学校教育のなかでどのようにサポートすればよいのでしょうか。
●ポジティブな言葉をかけてあげる
子どもの個性を尊重し、肯定的な言葉をかけることで自己肯定感が高まります。些細なことでも子どもの自信につながります。失敗したときも失敗したことを怒るのではなく、「次はどうすればいいか考えよう」「また頑張ろう」など、次につながる前向きな声掛けをすることが大切です。
●話しやすい環境を作る
自分自身がどのように考えているのか、子どもが自主的に話したり意見を言うことが出来る場を作ってみましょう。間違っていることを否定せず、なぜそう考えたのかを聞くようにします。それに対して別の考え方を提示することで、子どもの考え方も広がり、発言や行動が変化していきます。
●子どもを他人と比較しない
中学生は日頃から友達と自分を比較することが多く、周囲からの評価に敏感になってしまっています。大人から声掛けするときはその子らしさを認め、その子ならではの長所がもっと伸びるような声掛けをすることが大切です。
●言語化能力を高め、気持ちを言葉にして吐き出す
言語化能力が低いと、日々感じているストレスが自分の中に溜まってしまいがちです。感情を文字や言葉にして吐き出し、言語化する訓練が必要です。手帳に日記をつけ、うまくいかなかったことも含めて書くこともストレス解消としておすすめです。また、手帳を続けていくと前の自分と比べての成長を感じられるようになり、自己肯定感が高まります。
●探究学習に積極的に取り組める環境を作る
探究学習とは、生徒自らが課題を設定して、その解決に向けて情報を収集・整理・分析し、協働しながら進めていく学習活動のことをいいます。現在学校では小学校中学年~中学校で行う「総合的な学習の時間」や、高校で行う「総合的な探究の時間」などで取り組まれています。
探究学習では課題設定や問題解決を自身で行うことで、論理的思考力や主体性など、社会で生きる能力を養うことができます。学習の過程において自分自身の力だけでできることが増えていったり、学びの楽しさを感じることによって徐々に自信を持つことができ、自己肯定感を高めることができます。
中学生が主体的に探究学習に取り組めるようにするには、まずは自身が興味を持った好きなテーマを選ばせることが大切です。そうすることによってやる気を持って探究活動に向かうことができ、積極的な学びの姿勢が期待できます。
【まとめ】中学生の自己肯定感を高めるには?
ここまで自己肯定感の低い中学生の特徴と、自己肯定感を高めるために親や先生がどのようにサポートすべきかについてご紹介してきました。思春期を迎える中学生・高校生は、さまざまな要因によって自己否定を重ね、自信を失ってしまいがちです。中学生の自己肯定感を高めるためには、大人からの細やかな声掛けや、ストレスを溜め込まないために手帳を使った言語化訓練、主体的に学びに取り組める探究学習などの方法があります。
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