
目次
探究活動における課題を3回に分けて考え方や対策を連載していきます。
第2回は『探究授業の設計に時間が掛かる』です。
第1回:生徒は課題設定が苦手
第2回:探究授業の設計に時間が掛かる
第3回:周囲の協力を得る
第4回:評価方法が難しい
結論:私たちが考える本テーマの結論は『型になっているものを使う』です。
●意外と時間が掛かる
探究活動を始める場合、授業設計が必要になります。既にベースとなるような活動を行っていればノウハウもあるので設計しやすいですが、新しく設計すると大変な作業になります。
他の先生に説明する時間や理解を促進するための啓蒙、内容の調整、資料の準備など意外と多くの時間がとられます。また、目的の共有など各分掌との調整にも多くの時間が必要になります。
●型を使う1つ目のメリット
型があれば一定の品質を確保できることです。探究活動は生徒が主体的に進める場面も多い授業のため、スキルや経験値の高い先生はともかく経験が浅い場合には難しい側面もあると思います。全員が同等程度の授業を実施するためにはそれを再現する手立てが必要になります。その時に『型』になっているものを使うと言うメリットが考えられます。
・先生向け指導書 ダウンロード(PC推奨)
探究授業の設計に時間が掛かる(サンプル)
【監修】
学校法人平方学園 明和学園短期大学
田口 哲男教授(前群馬県立桐生高等学校 校長)
・授業用パワーポイント ダウンロード(PC推奨)
生徒が行う課題設定(サンプル)
●型を使う2つ目のメリット
『疑似体験』をすることが可能になります。探究活動の難しさの1つに先生があまり経験したことがない種類の授業であることが挙げられます。総合的な探究の時間は高等学校では2022年からスタートになります。つまり、多くの先生にとってそれは指導した経験があまりない授業となります。経験したことがないものを教えたり、導いたりすることには難しさを伴います。
これを解消するためには『探究活動の授業』を経験することは如何でしょうか。私たちは探究の授業の『興味関心』や『課題設定』を先生向けに実施させて頂くことがあります。それを経験した先生は一様にすっきりしたと言われます。その理由として『経験することで理解が深まった』という声を多く頂きました。
『興味関心・課題設定』の体験授業の感想
・参加して指導者(教員)が探究を経験してみることの重要性がわかりました。職場で共有したいと思います。
・授業体験が参考になりました。もう少し自分の中でやり方を考えて実施したいと思います。
・授業体験が楽しかったです。参加してよかった。
・実際の探究過程を経験することで生徒の気持ちが分かりました。
・キーワードの探し方で、大きいキーワード、中くらいのキーワード、小さいキーワードとあるが、決して大きいキーワードから決めなくても良いのかなと思いました。(生徒に合うやり方を考えられるようになった)
・(生徒に練習を)繰り返しやらせたい⇒個人での課題設定はハードルが高すぎるので。
・生徒が経験する探究の過程をなぞることができ、改めて教師の計画意図が明確である必要性を感じました。担任団で学習の流れを再度確認したいです。
・課題設定は予想以上に難しいと思った。
●誰もが探究経験者
先生たちは普段から『探究活動』をしていると私たちは考えています。どんな仕事も新人のときと現在とで同じやり方をしている方は少ないと思います。例えば先生では何かのタイミングで自身の授業を振り返り、課題を見つけ、解決に向けて情報を集めたり、生徒の様子を把握したりしながら、授業を改善していると思います。そのようにして課題を解決しています。つまり『探究』とは課題を見つけて、解決する力を備えることであり、仕事そのものといっても過言ではありません。
多くの人が経験的に探究をしていますが、それを探究と認識してはいません。どこかでこれが探究ですと説明され、実際に体験することで自身の経験と結びつけてイメージを膨らませることができます。そういった意味でも型があり、探究を『疑似体験』できるという方法は効果的と考えられます。
本コラムからは探究活動は『できるだけ探究の型』があるものを使用する。
探究の型を使って先生たちが『疑似体験』することをお奨めいたします。