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探究指導コラム

NOLTYスコラ 探究プログラム

中学校・高校の「探究」に関する記事をまとめています。

2019.10.28

【第1回】総合的な探究の時間がスタートする背景とは?



2022年度より全国の高校で「総合的な探究の時間」が始まります。

NOLTYスコラ探究プログラムの先生向け指導書の監修者、明和学園短期大学 田口哲男教授に、社会の変化、なぜ始まるのか、どのように指導すればいいのかを伺いました。

YOUTUBEで視聴する場合はこちら


《第1回 総合的な探究の時間がスタートする背景とは?》



「カヌーとラフティングが示すこれからの日本社会」

NOLTYプランナーズ(以下――)先生のセミナーではよくカヌーとラフティングが出てきます。どういった意味が込められていますか。
 


田口哲男氏(以下田口) ボートのエイトの場合は、穏やかな川を漕いでいきます。それほど社会が変化していない時代においては、方向がわかっている1人のリーダーが指示を出し、ほかの人はその指示に従って、声を合わせてボートを漕いでいきます。一人一人は、どういう方向に行くかあまり考えていなくて、とにかく周りと力を合わせながら進んでいきます。

ラフティングの場合は、波が荒い、岩があるような状況で、一人一人が状況を判断し自分の考えでボートを漕いでいきます。一見バラバラであるように見えるけれども、一つの目的に向かってボートを操作していく。
ですので、リーダーがその人数分いるというような形をイメージしています。

社会が変化するという時代ですので、ラフティングのほうはこれから先の時代、ボートのほうは今までの時代というふうに表しています。


「社会で生き抜いていける生徒とは」

――これからの社会(ラフティングのような社会)で生き抜いていける人とはズバリどのような人でしょうか。


田口 まず主体性があって、協働性があること、新しいことに挑戦しないといけないので、チャレンジができること。当然失敗がついてくる可能性は高いので、その失敗にめげずにやり続けられるという力が必要だと思います。


――失敗を失敗のままで終わらせないということでしょうか。


田口 そうですね。やり続けてる以上は失敗じゃない、失敗のままで終わってしまえば失敗ですけど、失敗をそれこそPDCAサイクルで回している限りは、いつかは成功につながるんじゃないかなと思います。


「今後も重視される“探究”というキーワード」

――2022年から高校で「総合的な探究の時間」が本格的に始まります。以前は「総合的な学習の時間」という名称でした。あえて「探究」と名称が変わっているのはどのような意図が込められているのでしょうか。


田口 一つは、今まで「総合的な学習の時間」、とくに高校の場合は、あまりその趣旨に則ってやってこなかったという経緯があると思います。ですので、これからしっかりやってほしいという意味で「探究」というふうに名称を変えたこと。それと、おそらく「深い学び」これが一つポイントですので、深い学びを作る上では「総合的な探究の時間」というふうに変更したほうがいいと自分では考えています。


――そうしますと、「探究」というこの言葉、教育の中では今後もキーワードとなりますか。


田口 そうですね、「探究」という言葉は、さらに重視されると思っています。




「これから探究を始める先生と生徒へメッセージ」

――これから探究を始める先生へメッセージをお願いします。


田口 探究っていうと、自分(先生)達が学生や生徒のときはやってこなかったため、“新しいこと”というふうにどうしても思いがちなんですが、学校の中では探究的なこと、探究的な過程を踏んでいろんなものを決めていることが多いはずです。それは学校運営であったり、部活動であったり、授業のことであったり。自分の学校での業務や学校での生活を振り返ってもらえば、「あ、実はもうやってたんだな」というふうに思える場合が多いんじゃないかなと思います。
「今までやってないから教えられない」ということではなくて、もう自分では経験してることであるわけだし、自分の科目じゃないといっても、それは知識を伝達注入するわけじゃなくて、学び方や学ぶ姿勢を生徒に身につけさせるということが目的なんだということを考えれば、だいぶ楽になるんじゃないかなというふうに思います。


――これから探究活動を始める生徒へのメッセージをお願いします。


田口 社会で生き抜くときに必要な方法というかスキル、これを身につけるというふうなことです。知識の量を増やしていくのではなくて、生き抜くための手法をやりながら身につけるということです。それは社会に出れば、教師もそうですし、企業に行けば自然にやっていることです。

それは部活でも受験勉強でも、同じような形でやっていることなので、やり始めてその仕組みさえわかれば、いろんなところで活用できると思います。

それから、失敗を失敗じゃないようにするにはスパイラルで回していくということ、回し続ける限りは失敗ではないので、探究を趣旨に合った状態でやってほしいなというふうに思います。


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田口 哲男(たぐち てつお) 氏

学校法人平方学園明和学園短期大学教授(https://www.hirakatagakuen.ac.jp/)

公立大学法人高崎経済大学非常勤講師 前群馬県立桐生高等学校校長

県立高校で「総合的な探究の時間」を実践するため学校体制や教員指導のための仕組みづくりに尽力する。

著書「高校における学びと技法 探究で資質・能力を育てる」(一藝社)

サイエンスインカレをはじめ理工系大学生対象支援事業企画評価委員〈文部科学省:2011年度~〉

日本バレーボール協会公認講師、日本スポーツ協会公認コーチ4、日本スポーツ協会公認コーチデベロッパー。
https://www.hirakatagakuen.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2019/07/4c7534d55b0b8139842fcbe98c6a9494.pdf


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