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目次
メタ認知の基礎知識
メタ認知とはどのようなことなのか、基本的なところをみていきたいと思います。
メタ認知とは?
メタ認知とは、『自分が認知していることを客観的に把握していること』と言われています。メタには「高次」という意味があり、第三者のような視点を持って、冷静かつ的確に自分を観察・認知しようとすることを指します。メタ認知の能力を向上させることで、冷静に自分の状況や感情などを見つめられるようになり、目標を適切に設定したり、達成したりする力やスキルを培いやすいことが特徴です。
メタ認知の種類
メタ認知には、「メタ認知的知識」と「メタ認知的技能」の2種類があります。
メタ認知的知識:自分自身の特徴について知っている知識のことです。
例:自分の長所・短所、傾向、考え方など知っていることです。
メタ認知的技能:メタ認知的知識を把握した上で、現在の自分自身の状況を把握したり対策を講じたりする能力です。
例:自分の短所や苦手なことを理解し、改善に向けて対策を立てたり、自分の現状を把握して目標達成に足りない知識を補ったりすることです。
メタ認知能力を高めるメリット・注意点
メタ認知能力を高めるメリットと、その場合の注意点についてどのようなことがあるのか、ポイントなどをみていきたいと思います。
メリット
●問題解決力を身に付けられる
客観的に自分自身を見つめて直せるため、自己の課題がどこにあるのか、どのようなことなのかを判別できるようになることです。具体的には、「業務遂行のために必要な技能や考え方を理解・習得しやすい」「状況に応じて、人に助けを求めるべきなのか正しく判断しやすい」などが挙げられます。テレワーク化が進み、働く上でより必要性が高まっているスキルです。
●コミュニケーション能力を高められる
他者と自分のギャップを理解できるようになり、協調性を高めやすくなることです。「ギャップを埋めるため、自分の行動を見直しやすい」「コミュニケーションを円滑にとるための方法を理解しやすい」などが例として挙げられます。円滑な人間関係を作るためにも、メタ認知能力は必要と言えます。
●感情をコントロールしやすくなる
自分自身を俯瞰的に捉えて感情をコントロールできるため、冷静に物事に対応ができます。「周囲の状況に流されることなく、冷静な判断を行いやすい」「優先順位をつけながら行動しやすい」といった具体例が挙げられます。
●環境の変化に対応しやすくなる
環境の変化に対して柔軟に考えることができ、従来のやり方に囚われすぎずに対応することができます。「失敗を経験した時に、原因を特定して対応しやすい」「新しい人との関係性を作りやすい」などが挙げられます。
注意点
メタ認知が高すぎる人は考えすぎて脳が疲れやすくなることがあります。自意識が過剰になってしまったり、周囲の目を気にしすぎたりすることでプレッシャーを感じることがあります。また、物事を俯瞰的に捉えすぎるあまり感情移入しにくくなり、周囲に冷たい印象を与えることがあります。
メタ認知能力を高めるトレーニング方法
メタ認知能力を高めるためにはどのような方法があるのか、代表的な認知活動をみていきたいと思います。
瞑想
呼吸を整えることで、自然と自分自身に意識を集中させやすくなります。まずは上半身の力を抜いて、リラックスできる体勢で座るようにします。ゆっくりと呼吸を整えながら、自分自身に意識を集中させていきます。このようなリラックスした状態を作ったのち、今の課題や問題解決に必要なことを見つめ直すきっかけにするといいでしょう。
セルフモニタリング
過去に起こったトラブルや失敗の場面を思い返し、トラブルの原因を分析します。そこで自分の考えたことや対応を振り返ります。そしてどのように対応すれば良かったのかということを見つめ直すことで、自分が改善すべき点や今後取るべき行動など、対策を立てられるようになります。これは何度もモニタリングを繰り返すことで、客観的に自分を見つめ直せるようになります。
ライティングセラピー
自分が抱えている不安や悩み、気になっていることや思考などをノートや手帳などに書き出して見える化することです。頭の中にあるものを全て書き出すことで自分の状態が可視化され、整理や優先順位付けがしやすいと共に、手で書くことで書き出したことに感情が加わることで精神的な安定への効果も期待できます。
コーチング
第三者から自分の思考傾向や矛盾などに気付くきっかけをもらえることです。自身の思考の癖や習慣は本人では気づきにくいものになります。相手から客観的に自身を分析や評価してもらうことで、自己認識し、学びに繋がるきっかけになります。
探究学習
第三者から自分の思考傾向や矛盾などに気付くきっかけをもらえることです。自身の思考の癖や習慣は本人では気づきにくいものになります。相手から客観的に自身を分析や評価してもらうことで、自己認識し、学びに繋がるきっかけになります。
コラム:【総合的な探究の時間(授業)】探究とは?探求や調べ学習との違いを解説します。
(まとめ)メタ認知とは?主な種類と能力を高めるメリット、トレーニング方法
メタ認知とは自分の状態を第三者から見たような冷静な状態で捉えることで、自身の課題や問題点を把握し、考え方や行動変容に繋げていくための能力です。自分の特徴を把握する知識の状態と知識を得た上で改善していく能力の状態に分けることができます。トレーニング方法についてはどれだけ自分を客観視して、可視化された状態で捉えられることができるかという点が大切になります。変化の早い時代の中で、常に上司や先輩から適切なアドバイスがされるという受動的な状態のままでビジネスや仕事を乗り切ることが難しいため、メタ認知能力がより重要視されているという背景があります。また、このような背景を受けて、中学校や高校においてもメタ認知能力の育成に注力している学校も増えています。特に多感な時期の中高生にはライティングセラピーなどの手書きを効果的なトレーニング方法としてお勧めしたいと思います。それは自身の状態だけではなく感情も可視化することができ、何事にも前向きに、主体的に取り組めるように成長を促すことに繋がるためです。
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