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探究指導コラム

NOLTYスコラ 探究プログラム

中学校・高校の「探究」に関する記事をまとめています。

2022.06.15

「主体的対話的で深い学び」と「アクティブラーニング」の違いと概要

最近教育界でよく聞かれる「主体的対話的で深い学び」や「アクティブラーニング」といった言葉。それぞれの位置づけや、授業に取り入れていくためのポイントについてご紹介します。

目次

「主体的対話的で深い学び」と「アクティブラーニング」の違い

主体的対話的で深い学びとは?

学習指導要領に記載され、推進が求められている教育体制のことを指します。教育基本法において、学校教育で重視すべきと定められた「学力の三要素」(「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」)をより伸ばすために、学習指導要領の中で大きく取り上げられたものです。主体的・対話的で深い学びを学校教育の中で経験することによって、子供たちが知識を応用できるようになったり、社会や世界と関わる中でより良い人生を送れるようになったりすることを目指しています。

①主体的な学びの特徴
・子供たちが学ぶことに興味・関心を持つことができる
・子供たちが自己のキャリア形成と関連付けて学ぶことができる
・見通しを持ちながら粘り強く学ぶことができ、学習活動を振り返って次につなげることができる

②対話的な学びの特徴
・学びの上で子供同士の協働がある
・教職員や地域の人との対話がある
・先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深めることができる

③深い学びの特徴
・各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解できる
・情報を精査して考えを形成する
・物事の中から問題を見いだして解決策を考える
・思いや考えを基に創造したりする

アクティブラーニングとは?

生徒が積極的・能動的に学習・参加できるような授業形式や学習方法のことです。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習、グループディスカッション、ディベート、グループワークなどもアクティブラーニングの一種です。従来のように、教員から学生へ一方的に伝えるような、受動的な授業形式・学習方法とは異なり、生徒が主体性を発揮しながら学びに取り組むことができる指導方法です。当初、「アクティブラーニング」という言葉は学習指導要領などで多く用いられていましたが、学習指導要領改訂に伴い「主体的対話的で深い学び」が主に使用されるようになっています。

「主体的対話的で深い学び」と「アクティブラーニング」はどう違う?

文科省内に置かれた中央教育審議会の答申によると、「主体的対話的で深い学び」が目的で、「アクティブラーニング」はその目的を達成する授業改善のための視点と位置付けられています。つまり、「主体的対話的で深い学び」を達成するための手段として「アクティブラーニング」が推奨されているということです。

【出典】文部科学省中央教育審議会「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)(中教審第197号)」P48
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/__icsFiles/afieldfile/2017/01/10/1380902_0.pdf

「主体的対話的で深い学び」や「アクティブラーニング」が重要な理由

ここまで主体的対話的で深い学び、アクティブラーニングとは何かについて見てきました。主体的対話的で深い学び、アクティブラーニングにおいて目指されている、生徒の主体性を育てる学びが重視されるようになった背景をご紹介します。

子供たちが社会構造の変化に対応していけるようになるため

情報化やグローバル化が進展する社会において、困難かつ予測不可能な時代=VUCA時代(VUCA:Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の頭文字をまとめた言葉)に突入したと言われています。そういった環境の中で、自らの意思で進路を選択し、社会で生き抜くための資質や能力を持つ生徒を育成することが求められています。知識・技能の習得だけではなく、「自ら課題発見に取り組み、答えに向かうことのできる主体性」を育成することが必要不可欠です。

子供たちが生涯にわたり自ら学び続けられるようになるため

少子高齢化が進み、生産年齢人口は減少するとされている中、変化に対応できる人材の育成が急務と言われています。子供たちは自己や社会の成長のため、生涯にわたって自ら学ぶ姿勢を持ち、絶えず新しい知識を吸収しながら新たな価値を生み出していくことが求められています。

「主体的対話的で深い学び」や「アクティブラーニング」を授業に取り入れるポイント

探究活動に取り組む

主体的対話的で深い学びや、アクティブラーニングを最も実践しやすい教科が、小中学校の「総合的な学習の時間」、高校の「総合的な探究の時間」です。自分の興味のあるテーマを課題として探究したり、近い興味のクラスメートとグループワークをしたり、教科を超えて知識を活用したりすることで、主体的対話的で深い学びを実現することができます。

言語活動の充実を図る

言語活動の充実もアクティブラーニングを実施するうえで重要な要素です。地域の公共施設などの見学結果を記述・報告させる、資料を読んでもらい自分なりの考えをまとめさせる、仮説を立てた実験を行わせて結果を整理・考察・発表させる、ディベート形式で議論を深めさせるなどが実践例として挙げられます。
課題発見・解決能力、論理的思考力、コミュニケーション能力、クリティカルシンキングの育成につながります。

学習の見通しを立てたり、振り返りを行ったりする時間を取り入れる

生徒自ら学習の見通しを立てたり、先生が学習の見通しを説明することによって、生徒は今学んでいる単元がどう繋がっていくかのイメージができ、学習内容に興味関心を持ちやすくなります。
また、学習のふり返りを行うことで学習内容の意味付けができたり、身に付いた資質・能力を自覚することができます。さらには学習の中で興味を持った部分に気付くことでキャリア教育にもつながっていきます。

(まとめ)「主体的対話的で深い学び」と「アクティブラーニング」の違いと概要

予測困難なこれからの時代を生きるための力を養うため、学習指導要領において「主体的対話的で深い学び」が必要と言われています。その手段として注目されているのが、生徒が主体的に学習に取り組むことのできるアクティブラーニングです。アクティブラーニングは一般科目でも取り入れることは可能ですが、最も取り入れやすいのは「総合的な学習の時間」「総合的な探究の時間」といった探究活動を行う科目です。先生方は生徒が能動的に学びに取り組めるような環境を作ることが大切です。

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株式会社NOLTYプランナーズ