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探究指導コラム

NOLTYスコラ 探究プログラム

中学校・高校の「探究」に関する記事をまとめています。

2022.05.23

総合的な学習の時間の上手なまとめ方は?ポイントと事例を紹介

小学校・中学校で行われている「総合的な学習の時間」。学習活動の総まとめである「まとめ表現」のステップですが、どのように進めていくべきかお悩みの先生・生徒の皆さんも多いのではないでしょうか。本記事では総合的な学習の時間のまとめ方について考えていきたいと思います。

目次

総合的な学習の時間の基礎知識

総合的な学習の時間とは?

生徒が変化の激しい社会に対応できる力を身に付けることを目的とし、探究的な見方や考え方を働かせられるよう行う横断的・総合的な学習のことです。「総合的な学習の時間」は小学校3~6年生、中学1~3年生を対象にしている科目で、高等学校1~3年生は2022年度から「総合的な探究の時間」と名称が変更になります。
いずれも生徒の「自主的に課題を解決するための力」を育成するのが目的で、課題やテーマは生徒が自主的に決められるよう、身近なことを扱うケースが多いです。

学習指導要領では、総合的な学習の時間の目標として
「探究的な見方・考え方を働かせ,横断的・総合的な学習を行うことを通して,よりよく課題を解決し,自己の生き方を考えていくための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。」と書かれています。
出典:中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 総合的な学習の時間編
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387018_012.pdf
総合的な学習の時間では、単なる「調べ学習」ではなく、生徒が自ら課題や問いを設定し、その答えに向かって工夫しながら探究することが必要とされています。

総合的な学習の時間の流れ

主に「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」という探究のプロセスに従って学習を行います。学習後は「振り返り」を行い、必要に応じて上記の流れを繰り返すことで学びを深めていきます。必要に応じてワークシート等も活用すると、探究活動の進め方をしっかりと抑えることができます。

・STEP1:課題の設定
探究の課題は学校に応じて異なります。生徒が主体的に探究活動に取り組めるよう、興味や関心を引くようなテーマを選定することが好ましいです。学習指導要領では主に4つの課題が具体例として挙げられています。
①現代的な諸課題に対応する横断的・総合的な課題
…国際理解、情報、環境、福祉、健康、資源エネルギー、安全、食、科学技術など
②地域や学校の特色に応じた課題
…町づくり、伝統文化、地域経済、防災
③生徒の興味・関心に基づく課題
④職業や自己の将来に関する課題

まずは課題として「SDGs」「●●市」など大枠を提示し、その中から生徒の興味のある課題を選ばせると、課題設定がスムーズになります。

・STEP2:情報の収集

自ら立てた問いに対しての答えに近づくための情報を収集します。先生方は答えを示すのではなく、調べ方のアドバイスをすることが大切です。書籍やインターネットでの調べ学習に加え、インタビューやアンケートといった選択肢もあります。先生方からは生徒に「こういう本を読むといいよ」「こういう調べ方もあるよ」などといった声かけをするとよいでしょう。

・STEP3:整理・分析

分類・比較・構造化を意識して整理・分析を行います。得た情報を整理・分析することで物事を新たな視点で見ることができます。偏った情報だけに注目しないこと、さまざまな観点から情報を比較してみることも重要です。

・STEP4:まとめ・発表
整理・分析した情報をPowerPoint等でまとめ、発表を行います。クラス・学年内で発表する学校、他学年も交えて体育館でポスターセッションを実施する学校など発表形式は様々です。

総合的な学習の時間のまとめ方のポイント

「まとめ・発表」のステップは、これまでの活動の成果を振り返り発表する重要なステップです。生徒に「まとめ・発表」を上手に行ってもらうためのポイントをご紹介します。最初にポイントを説明したうえで個人・グループの作業に入るとスムーズです。

3部構成を意識させる

生徒に「序論」「本論」「結論」で内容を構成するよう説明しましょう。構成を意識すれば、自分の中で情報をまとめやすくなります。この構造を意識することによって、グループディスカッションの際など、自分の意見を伝える時にも役立ちます。

視覚的に伝わりやすいようにまとめてもらう

発表では文章だけでは伝わりにくい内容もあるため、図や写真を入れるなどの工夫が必要です。視覚的にわかりやすくなれば、自分以外の人たちに課題や対策について理解してもらいやすくなります。周囲にどうすれば自分の意見が伝わるか考えることで、プレゼンテーションスキルの向上につながります。

資料を参考にした場合は出典も明記させる

資料を引用する場合は出典も明記するように説明しましょう。出典を提示すれば、確かな情報から取得したことがわかるためです。新聞や省庁の白書など、情報の出典元次第で発表の説得力も増します。こうした積み重ねにより、情報を自力で収集・利用し、適切に引用できるようになります。

総合的な学習の時間における課題のまとめ方の事例

地域活性化に関する課題

地域の専門家や伝統産業に携わる人々などを訪ねてインタビューを行い、課題を抽出します。その後文献を元に情報を取得し、地域活性化の効果が期待できる方法を整理します。まとめた情報は再度専門家等にフィードバックをもらい、改善していくとより深い学びとなります。効果を分析・シミュレーションするのも効果的です。
また、地域の特色を生かした新商品開発のアイデアなど、町おこしに役立つ方法がないかを検討するのもおすすめです。地域の商工会議所などと連携し、実際に商品化などできるとさらに実践的な学びになります。

地域の防災に関する課題

地域課題として防災を取り扱うのもよいでしょう。地域の方に防災マップを届けたり、地域の方にインタビューなどすることで、地域の課題を明らかにすることができます。また実際に町の備蓄倉庫などを見学して、防災が起きた時の対応など情報を集めるのもいいのではないでしょうか。防災意識の向上のため、地域にとってこれからどのような対応が必要になるのかを検討し、グループごとに発表するのもおすすめです。

総合的な学習の時間の上手なまとめ方は?ポイントと事例を紹介

総合的な学習の時間とは、小学校3~6年生、中学1~3年生を対象としている科目です。これからの変化の激しい社会に対応できる力を身に付けることを目的とし、単なる「調べ学習」ではなく、生徒が自ら課題や問いを設定し、その答えに向かって工夫しながら探究することが必要とされています。取り組む課題は生徒の興味に応じたテーマにできると生徒が主体的に取り組みやすくなりますが、課題の設定が難しい場合は「学校が所在する●●市」など、課題の大枠を決めるのもおすすめです。総合的な学習の時間における「まとめ・発表」は、これまでの探究活動の成果を振り返り発表する重要なステップです。まとめにあたって抑えておくべきポイントを、最初に先生から説明するとスムーズに授業が進行します。

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