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探究指導コラム

NOLTYスコラ 探究プログラム

中学校・高校の「探究」に関する記事をまとめています。

2022.03.07

総合的な探究の時間に使える教材は?主な種類と使用時の注意点

2018年に告示された学習指導要領において、大きな変化として「総合的な探究の時間」の新設が挙げられます。「総合的な探究の時間」がどういった科目で、どんな教材があるのかについて取り上げたいと思います。

目次

総合的な探究の時間の基礎知識 

総合的な探究の時間とは?

総合的な探究の時間とは、特定の教科の枠にとらわれない横断的・総合的な学びの時間のことをいいます。2022年度から高等学校のカリキュラムに新設され、必修となる科目です。予測不可能な現代において高校生の資質能力の育成のため、「主体的・対話的で深い学び」の実現を目標としています。
総合的な探究の時間では、教師から課題を提示されて調査するのではなく、生徒自らが問い(課題)を設定し、主体性を持って学びに向かうことが求められます。自分なりに問いを立てて情報を集める→分析する→発表するという流れが探究活動の基本的な流れとなります。

総合的な探究の時間に求められる学習の在り方

①教科・科目の枠を超えて探究する価値のある課題を設定する
学習指導要領ではふさわしい探究課題の例が規定されています。
例:国際理解、情報、環境、福祉・健康などの現代的な諸課題
例:地域や学校の特色に応じた課題、生徒の興味・関心に基づく課題、職業や自己の進路に関連する課題
各教科・科目で身に付けた資質・能力を活用・発揮しながら、問題の解決に向けて取り組むことが大切です。

②生徒自身が主体的に課題を解決する方法を身に付ける
総合的な探究の時間の目標として、「生徒自身が主体的に課題を解決する方法を身に付けること」が挙げられます。そのためには探究のステップを正しく理解し進めていくことが大切です。
まず探究活動は課題設定からスタートします。日常生活や社会に目を向け、湧き上がってくる疑問や関心に基づいて課題を発見できるとよいのですが、課題設定でつまずく生徒も多いようです。それは課題を設定するために必要な知識、そして当たり前のことに対して違う視点を持ってみるという経験が少ないことがあげられます。課題設定の前に、まずは身の回りの物事に興味関心を抱かせ、疑問を見つける練習のステップを設けるとよいでしょう。
課題が設定できたら、具体的な課題についての情報を収集し、整理・分析するステップに進みます。ここではチームで考えを出し合って問題解決に取り組むことも一つの方法です。明らかになった考えや意見をまとめると、視野が広がり新たな課題発見につながります。
最後に研究の成果について、PowerPointやポスターなどでまとめ、発表を行います。クラス・学年内で発表する学校、他学年も交えて体育館でポスターセッションを実施する学校など発表形式は様々です。ここでは調べて整理した情報を分析して、正解かどうかに関わらず『自分なりの解』として表現することが重要なポイントとなります。

③自己の在り方や生き方を考える基礎を作る
学んだことを現在および将来の自己の在り方・生き方につなげることも、総合的な探究の時間の狙いのひとつです。人や社会、自然とのかかわりにおいて、自らの生活や行動について考えること、自らが選んだ課題に対して何ができるか、どのように関わっていくべきかを考えさせることがキャリア教育にも繋がります。
取り組んだ学習活動を通して自分の考えを深めることが、学ぶことの意味や価値を考えるきっかけにもなります。

総合的な探究の時間の基礎知識 

2022年の総合的な探究の時間の開始に向け、高校生向けの教材が数多く販売されています。探究学習をサポートする教材の種類と、それぞれの特徴をご紹介します。

●ワークシート

生徒が自ら書き込むことで、課題の発見・解決に役立つ教材です。情報の収集や思考アウトプットを繰り返すことで、課題解決に必要な力を育むことができます。探究の過程に沿って進められるよう工夫されているものが多く、教材によってはSDGsなど課題例が記載されているものもあります。紙のワークシートだけでなく、ICT機器を使って進めるデジタル教材も多く販売されています。

●テキスト、副読本

探究活動を進めるにあたって必要な知識が書かれています。テキストに沿って授業を進めることで、基本的な探究の流れを抑えながら授業を進めることができます。

●教材用に提供されたオンラインコンテンツ(動画、スライド)

動画やスライドなど、授業の進行を補助するコンテンツです。先生方の授業準備への負担を減らすことができます。スライドはある程度、均一の内容やビジュアルを用いて授業として展開できるという利点があります。動画は共感性やインパクトを持って内容を伝えられることやオンデマンド化することで復習しやすいという利点もあります。

●プログラム教材

上記に挙げたツール等がプログラムとしてまとまっている教材です。各種ツールを連動して使うことで理解が深まります。学年・学校で探究活動を行う場合は、各クラスの担任の先生が同じツールを使うことで進め方の共有ができ、先生間の足並みを揃えることができます。

●学校で独自に作成するプリント

市販の教材を使わず、独自でプリントを作成し探究の授業を進められている学校も多くあります。学校や生徒の特色に合わせた授業ができる反面、探究担当の先生は授業ごとにプリントの作成、他の先生方へ内容や指導方法などの共有をしなければならず、負担が大きくなってしまうというデメリットもあります。また、プリントの場合は管理が煩雑になるケースもあるため、それを冊子などにするケースもあります。

総合的な探究の時間で教材を扱う際の注意点

それでは探究で教材を扱うにあたり、どんな注意点があるか見ていきたいと思います。

教員はサポートに徹する

教材を使う場合でも、教員が授業を主導してしまうと生徒の主体的な学びが妨げられてしまいます。生徒が主体的・能動的に学習に取り組むことで、探究活動の効果は最大化されます。探究活動で必要な知識は教員から教えたり、提示したりする一方で、生徒の様子を見てコミュニケーションをとりながら、行き詰まっているときは考え方・調べ方のヒントを与えるぐらいの距離感が良いとされています。生徒の学びをサポートするファシリテーターになることが大切です。

学習レベルにあった教材を使用する

探究活動に初めて取り組む生徒にとって、一から探究活動を一人で進めることは難しいです。実際に探究学習を実践されている学校現場からは、「特に課題設定につまずく生徒が多い」という悩みをよく耳にします。そのため、まずは探究の練習から始められる学習教材を選ぶこともポイントです。基礎固めを行ってから実践的な探究を行うとスムースです。NOLTYスコラ 探究プログラムでは、課題設定の練習として「興味関心」のステップを用意し、身の回りに関心を持つところからスタートします。

教材に頼り切らない

教材をそのまま使って授業を進めることももちろんよいのですが、学校や生徒の特色に合わせた探究のプログラムが作れると、より意義のある探究活動になります。基本的な探究の型は抑えつつ、アレンジのできる柔軟性のある教材を選ぶとよいでしょう。また、学校によって実施できるコマ数は違いますし、当初の計画通りに行えないことも多々あると思います。教材の柔軟性もポイントのひとつと言えます。

とはいえ教材に頼ることも大切!

教材を使うと、教員間の足並みを揃え、授業の進め方を共有できるというメリットがあります。そのため、指導書や授業用スライドなど先生方へのサポートツールが充実している教材を採用することをおすすめします。学校独自の教材を使われている学校も多いかと思いますが、探究担当の先生が一から教材を作り、周囲の先生へ内容を共有し…となると莫大な労力が必要となります。市販の教材で探究のベースを抑え、+αの内容を工夫して学校ごとの特色を打ち出す、という形も効果的ではないでしょうか。

【まとめ】総合的な探究の時間に使える教材は?主な種類と使用時の注意点

ここまで総合的な探究の時間に使える教材の種類と注意点を見てきました。教材を使って授業を進めるにあたっては注意点もありますが、付属の指導書や授業用スライドを使うことで「教員間の共有ができる」「探究担当の負担が軽くなり、+αの工夫ができる」などといったメリットもあります。教材を選ぶ際は、「生徒が主体的に学ぶ」という探究活動の目的を見据えた上で、教員への支援やサービスが手厚い教材を選定することが大切です。

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