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探究指導コラム

NOLTYスコラ 探究プログラム

中学校・高校の「探究」に関する記事をまとめています。

2022.03.08

非認知能力とは?能力を高めるためのポイントと具体的な方法

子どもの成長過程において、自己肯定感を高めることが大切と言われています。しかし中学生・高校生は、思春期を迎え自己肯定感が低くなりやすい傾向にあります。自己肯定感が低い中学生の特徴にはどんなものがあるのか、また中学生の自己肯定感を高めるため、教師や保護者はどのようにサポートすればよいのかについて解説します。

目次

非認知能力とは?

非認知能力の定義とは

非認知能力とは認知能力以外の能力を指す言葉とされています。認知能力がIQテストや学力テストなど、数値化できる知的能力を指すことに対して、非認知能力はテストなどでの測定が難しいが、認知能力に影響を与え、社会で働いたり、活動したりすることに役立つ能力だとされています。非認知能力には「意欲」「忍耐力」「セルフコントロール」「メタ認知」「社会的能力」「思考力」「リーダーシップ」「自己効力感」「コミュニケーション能力」など多様な能力が含まれています。非認知能力は認知能力よりも注目されにくいが、子供たちが人生をより豊かにするためには必要な能力であると言えます。

非認知能力が注目されるようになった背景

1960年代にアメリカで実施された「ペリー就学前プロジェクト」がきっかけとされています。
ペリー就学前プロジェクトとはアメリカミシガン州で3~4歳のアフリカ系アメリカ人の保育園や幼稚園に入る前の未就学児を対象に行われ、質の高い就学前教育を受けた未就学児と受けなった未就学児を比較、調査したプロジェクトとなります。質の高い就学前教育の内容は遊び中心の自発的な幼児教育や、自主性を重んじる教育を実施したものになります。プロジェクトに参加した子供たちの追跡調査を行い、プロジェクトを受けていない子供と比較して、学歴や認知能力に差はないが、より安定した社会生活を送っていることがわかりました。いわゆる学力やIQのようなものに差が無いにも関わらず、将来の生活の安定性に差が出たことから「非認知能力」が注目されたきっかけとなりました。

非認知能力を育てるためのポイント

子供の個性を認める

保護者や先生、周囲の大人が子供を認めることで、自己肯定感が高まり、味方がいるという安心感により、非認知能力を育てやすくなるとされています。また、そのような環境が世の中の多様な事象に興味を持ちやすくなり、チャレンジする精神が育まれるという循環が生まれます。

自主的に多様な遊びを行わせる

ひとり遊びや〇〇ごっこ遊びなどを子供たちに主体的に行ってもらうことで、積極性が生まれると同時に、複数人で遊べば、人と協力する大切さが理解できたりします。子供が興味をもった遊びを通して、複雑な思考力を培うきっかけになります。

子供がやりたいことをさせる

子供が興味あることや習い事には、好奇心から自然と知識を深めたり、上達したりしたいという気持ち、モチベーションが生まれます。誰かから押し付けられた物事よりも前向きに取り組みやすく、成長しやすいサイクルになりやすいです。このように子供がチャレンジしたいことを土台にしながら、親はそれを応援してあげるという関わり方が良いでしょう。

非認知能力を高める主な方法

非認知能力を高める主な方法はどのようなものがあるのでしょうか。いくつかのおすすめの育て方やポイントを紹介したいと思います。

幼児期~小学校低学年の頃に行う方法

●工作
空き箱や新聞を利用した工作は、創造性や表現力を培うことができます。子供たちが好きなように作らせることで、創造性やチャレンジ精神が高まり、非認知能力が高められます。もちろん工作が完成したときは、それに取り組んだことを褒めてあげることで本人の自信にも繋がることができます。

●本の読み聞かせ
親が本を読んで聞かせることで、子供は絵本をビジュアル的に考え、想像力を働かせやすくなります。絵本の内容を絵にしたり、理解したいことや感想を話したりすることで、対人関係を認識するきっかけになったりします。日常生活でも子供とコミュニケーションを取りやすくなる関係性を築くことにも繋がります。

小学校中学年~高校生の頃に行う方法

●総合的な学習(探究)の時間
新学習指導要領により定められたカリキュラムの一つです。小学3年生から中学3年生までは「総合的な学習の時間」、高校1~3年生は2022年度から「総合的な探究の時間」と呼ばれています。児童生徒自身に自主的に研究対象の課題を見つけさせ、問題解決を行ってもらう教育です。社会課題などに目を向けて目標を設定し、調査する習慣を身に付ける中で、自らの将来のキャリア設計などを含めて考えていく授業設計にすることができます。そういった活動を通して自分の進路やキャリアプラン、仕事のイメージなどを考えることができる取り組みです。

●非認知能力の育成を重視する学校への入学
非認知能力自体は2000年にノーベル経済学賞を受賞したヘックマン教授の研究による注目をされました比較的新しい分野になり、特に欧米で研究が進んでいます。日本ではこれからの研究と実践が期待されている分野です。そのような中でも非認知能力の育成を重視する学校や都市が出始めていますし、非認知能力の育成を大切することで認知能力の育成への期待も大きなものとなります。

(参考)
https://berd.benesse.jp/up_images/magazine/018-021.pdf
https://berd.benesse.jp/up_images/magazine/VIEW21_kyo_2020_02_toku_02.pdf
https://resemom.jp/article/2020/06/25/56919.html
https://toyokeizai.net/articles/-/474079
https://nitobebunka.ac.jp/educational/non-cognitive-ability/

【まとめ】非認知能力とは?能力を高めるためのポイントと具体的な方法

非認知能力についてはまだ、これから理解を深めていく必要のある分野であります。子育て、保育段階から学校教育までを通して子供に関わる人やその環境を整えていくことが重要です。様々な体験を通して芽生える子供の気持ちや感情を大事にし、我慢強く見守りながら接していくことが必要となります。まずは子供に関わる周囲の大人が自分自身を肯定することから初めて、子供と相互に心理的に安全な環境を築くことから始めるといいでしょう。そして様々な遊びや学びに触れていく中で子供自身がやりたい、やってみたいと夢中になれることを見つける手助けをすることが大切となります。

株式会社NOLTYプランナーズ