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部活指導コラム

NOLTYスコラ 部活プログラム

中学校・高校の「部活」に関する記事をまとめています。

2023.01.19

主体的に考え行動する「ライフスキル」が身につく ノートの活用法 ~スポーツ心理学博士 布施努氏インタビュー~

目次

NOLTYプランナーズでは、部活動におけるさまざまな指導の課題を解決するために、部員の考えて取り組む力を育むためのノート「NOLTYスコラフォーゼ」を開発しました。今回は、スコラフォーゼの監修をしていただいたスポーツ心理学博士の布施努氏に、部活動におけるノートの有効活用法について伺いました。

 


心配ごとから逃げずに客観的に向き合う

 

――部活動において、ノートを書くことにはどんな意味があるのでしょうか?

布施:学校生活や部活動では、心配ごとや不安なことがたくさんあると思います。これらに向き合うためには、勇気を出して「何が心配なのか」「何が不安なのか」を自分なりに探ってみることが大切です。

 たとえば、「問題ない」と口では言っていても、本当はそれが気になって結果が出ないこともあるでしょう。そういうときこそ、自分が気になっていることや心配ごとをノートに書き留めておくのです。

 ノートに記録を残すとき、ネガティブなことを書くのはよくないと考える人がいますが、私はネガティブなこともどんどん書くべきだと思います。たとえば、あなたが野球部でピッチャーをしていて、自分が打たれてチームが負けてしまったとしましょう。そういうとき、ノートにはまず「打たれてしまった」という事実と、「自分のせいで負けてしまった」という感情を素直に書くのです。そのうえで、「あのとき、こうすればよかった」という、最善の行動は何だったのかを考えてみます。事実としてはできなかったけれども、もう一度そのときに戻れるとしたらどんなことができるだろうかと考えてみるのです。

 ただ考えたり話したりするだけではすぐに忘れてしまい、次に活かすことができません。言語化、つまり文字しておくと、後になって振り返ったときに「あのとき、こんな気持ちだったんだ」「あのとき考えていた最善策よりもこうするべきだな」といったように、自分を客観視できるようになります。客観視できれば、つぎに同じような場面に遭遇したときにも、冷静に対応できるでしょう。

 


言語化することで身につく「ライフスキル」

 

――布施さんは、「ライフスキル」についてよくお話しされています。ライフスキルとは何でしょうか?

布施:まず「ライフ」ですが、私は「自分が一生懸命になれること」をさすのだと思います。部活動ではまず、自分が「面白い」「大好き」と思うことを見つけてほしいと思います。

 そして「スキル」は、自分が一生懸命になれる好きなことに楽しんで取り組むことで身につく技術です。その過程では、ただ楽しんだり練習したりするだけでなく、どうしたらもっとうまくなれるかを、自分で仮説を立てて考えながら言語化していく作業が欠かせません。そうした作業のなかで、ノートをうまく活用してほしいですね。

 

――生徒だけではなく先生の立場ではどうでしょうか。

布施:最近の部活動では、たとえばサッカーをプレーした経験がない先生が顧問を担当することも少なくありません。その場合、先生は部員に技術を教えることは難しい。

 そんなとき、「NOLTYスコラフォーゼ」のようなツールを活用すれば、部員たちの問題への向き合い方や、部活動全体を俯瞰して見るためには自分は何をすればいいのかといった、「先生」という教育の専門家として関わっていくための方策が見えてくるはずです。

 サッカーボールとホイッスルは扱ったことがなくても、ノートなら先生たちが普段使っているツールです。それによって、部活が自分で指導できる場であることをはっきり認識したり、教育者としての創意工夫を生かしたりできるのではないでしょうか。

 加えて、目標達成までのステップがわかりやすく掲載されているので、たとえばサッカー部の顧問だった先生でも、ブラスバンド部でのチームづくりや、発表会に対するアプローチにも応用できます。

 ライフスキル的な考え方で言えば、まさに「一生懸命」「楽しい」と思える場づくりさえできれば、ツールを使って先生たちがやりがいを持って創意工夫をして、部員と同じように楽しめる場に変えられると思います。

 


主観と客観の両方を活かし、アクティブラーニングにつなげる


――「NOLTYスコラフォーゼ」のおすすめの使い方があれば教えてください。

布施:「NOLTYスコラフォーゼ」には、ミーティング用のページがあります。効果的な使い方は、試合や発表会の後のミーティングに出席する前までに、「自分はそのとき何を考えていたのか」といったポイントを書いておくことです。そして実際のミーティングで先生から「あそこがポイントだったね」と言われたら、自分の書いたメモと比べてみます。つまり主観と客観の比較で、これがアクティブラーニングにつながります。

 また、「決意表明シート」「ファーストシンキングシート」「ゴールセッティングシート」は、ポイントを3つに整理して書けるようにしています。「3つ」にしたのには理由があります。自分の考えていることや日々のアドバイスをすべて実行することはできないからです。全部実行するのではなく、自分に本当に必要なことを自分で決めてほしいのです。



株式会社NOLTYプランナーズ