公立中学校における部活動の地域移行が進んでいます。教員の働き方改革や生徒数の減少による部活動存続の危機など様々な課題に対応するために始まった部活動の地域移行。各自治体によってその進捗状況は様々ですが、段階的な移行期間において学校主体の部活動と地域主体のクラブ の連携に課題を感じている指導者も多いのではないでしょうか。
目次
部活動の地域移行とは
これまで中学校・高校の教員が担ってきた部活動の指導・運営を地域のクラブや民間団体に移行することを「部活動の地域移行」と言います。スポーツ庁と文化庁が2022年12月に策定した「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」に基づき、まずは2023年度から3年間を改革推進期間とし 、「公立中学校の休日の運動部」を優先して、段階的な地域移行を進めています。平日に行われる「学校部活動」と、休日に地域で行われる「地域部活動」を区別したうえで、教員の休日を確保しつつ、生徒の個々の要望に応えられるような体制の構築を目指しています。
地域と学校の連携における課題
休日のみ地域クラブが部活指導・運営を担うようになると、以下のようなメリットが期待できるでしょう。
- 教員の負担を軽減し、休日を確保できる
- 競技に精通した指導者コーチのもとで競技力を高めることができる
- 他校の生徒など多様な人と関わることができる
- 学校の部活動とは異なる スポーツ経験も積むことができる
学校外で様々な経験を積むことができる場は、生徒にとってスキル面でも精神面でも成長できる機会となるでしょう。その一方で、平日と休日で部活動の運営主体が異なる期間においては、学校と地域クラブの連携に関して以下のような課題を抱えることもあるのではないでしょうか?
- 地域クラブと学校の部活動で、生徒のモチベーションやスキル面に格差がある
- 学校の部活指導と地域クラブでの指導の方針に差がある
地域移行が進む部活動で大切なこと
個々が目的意識を持ち、チームとしての目標を定める
同じ部活動に所属する生徒でも、どんな思いでなぜこの部活に入ったのか、この部活動で何を成し遂げたいのか、人によってその理由は様々です。ところが部活動に対する目的意識がしっかり持てず、かつチームメイトとも共有できていない場合、意識の差から軋轢が生まれることも少なくありません。 複数の学校から人が集まる地域クラブや、地域クラブと学校の部活動の両方で活動をしている生徒がいる状況ではなおさらです。まずはなぜこの部活動に入ったのか、部活動を通してどんな自分になりたいのかを言語化することで、それぞれが目的意識を持って部活動に取り組めるようになります。また、チームとしてはどのような目標を掲げるべきか、そのチームの中で自分が貢献できる役割は何かを考えることで、チーム として進む方向を定めることができるようになります。
部活動を通した目標を個人・チーム両方の視点を持つことで 自分がとるべき行動が見えてきます。例えば自分の競技スキルを上げたい生徒はより専門的な指導が受けられる地域クラブに参加をすることもできますし、競技面だけではない部分で部に貢献したい生徒など、必ずしも地域クラブへ参加する必要はない場合もあるでしょう。意識の差が分裂を生むことも多い部活動において、生徒がお互いの意志を尊重し、目指す チームになるためにはどうすればよいか考え、共有できる場を設けることが大切です。
目標から逆算してやるべきことを明確にする
学校と地域の指導方針の連携が取れていないと、生徒に混乱を与えてしまいます。学校でも地域でもまずは生徒主体で何を目指すのかという目標を共有して、それに向かうために必要な指導をすることが重要です。目標から逆算して今何をするべきなのかを考え、それを共有することで指導方針のぶれを防ぐことができます。
部活ノートを使って連携をスムーズに
部活ノートを書き、記録することで、自分の目指すところ、チームの目指すところを明確にでき、そのギャップを埋めるために必要なことを可視化できるため、常に目的意識をもって部活動に取り組むことができます。学校の部活動で何をして、休日の地域クラブで何をしたのかを記録にとっておくことで、お互いの活動内容を共有でき、スムーズに連携することができるようになります。また結果だけでなく過程を振り返ることで、次はどうすれば良いのか、成長するために必要なことに気づくことができます。学校でも地域でも、生徒 が主体的に部活動に取り組むことで、指導者はその成長をサポートする立場として活動できるようになります。
生徒主体の部活動に導くNOLTYスコラ フォーゼ
(まとめ)進む部活動の地域移行 学校との連携はどうする?
部活動の地域移行の始動から1年が過ぎ、成果と新たな課題が見えてきています。地域移行しようにも学校と地域クラブの連携 やチームビルディングの難しさを感じている指導者も多いでしょう。部活動は生徒の人間的成長を促すことができる、教育的にもとても重要な機会です。改めて部活動の意義を指導者側も生徒自身も考える時が来ています。生徒の主体的な活動を促し、目的意識を持って部活動に有意義に取り組めるような仕組み作りが必要です。