日本初、授業をしない塾として有名な武田塾。自主学習に重きを置き、受験生それぞれのレベルに合った個別指導で志望校合格へと導いています。そんな武田塾の講師でもあり、受験に役立つ情報を発信する武田塾チャンネルにも出演されている武田塾 教務 川野 純さんに、受験勉強における手帳活用の有用性についてインタビューを行いました。
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大学受験に臨むにあたり重要だと考えることはなんですか?
勉強の量と質の掛け算で考えることが大切です。まずは量を確保する。やみくもにいっぱいやればいいというわけではないのですが、とりあえず量をやってみる。ある程度量を確保できるようになったら、その質をいかに高めていくか、つまり勉強法の改善に取り組んでいくことが重要だと思います。
量をまず確保する上で大切なことはなんでしょうか?
例えば「10時間以上勉強しましょう」とよく言われますよね。ところが10時間いざやろうと思って適当にタイマーで測ってみても、なかなか達成できないで終わってしまうと思います。それはなぜかというと、勉強に最適な環境を作れていなかったり、ついスマホを触ってしまう時間ができたりしてしまうからです。勉強を始める前に、まずは計画を立てて、どこで何時間勉強すれば1日10時間の勉強を達成できるのかを組み立てる必要があります。量を確保する上でも、効率よく学習を進める上でも明確な計画が必要になります。
計画を立てる際のポイントはありますか?
計画を立てるという未来に向かって作業をすることと、それをしっかり過去のものとして確認していくという作業の両方が必要になります。とりあえず頑張って計画を立ててみて、1日12時間勉強するぞというような計画を立てるのですが、それが達成できなかったことで、計画なんか立てても意味ないよ、で終わってしまう子がいます。立てた計画を後から見直して、実際それがどうだったのか、うまくいかなかったのであればなぜうまくいかなかったのか、という振り返りをきちんとすることによって、より良い未来に繋がる計画が立てられるようになると思っています。
今はデジタルでもスケジュール管理ができると思いますが、なぜ手書きの手帳が良いのでしょうか。
私は手書きの手帳を推奨しています。なぜかというと、私自身、学生時代から手帳をずっと使っていましたが、社会人になって一時期デジタルに移行したんですね。当時は紙なんてもう古くさいと思っていたのですが、また今、紙の手帳に戻ってきていて、紙の良さを実感しています。
紙のメリットはデジタル媒体と比べたときに3つあると思います。一つ目はまず誘惑が少ないことです。スケジュールを書き込もう、振り返ろうと思ったときにスマホやタブレットを開くと、どうしても別の誘惑に引っ張られてしまい、スケジュールを見るつもりが、Youtubeを1時間も見てしまった、なんてことにもなりかねません。これが手帳だと起きにくいというのが一つです。
二つ目は、過去の振り返りがしやすいということです。手帳に何か書き込むときは、どうしても前の計画が目に入ってきます。新たな計画を立てる前に、昨日の自分はどうだったか、振り返るということを自動的にしやすい設計になっていると思います。
三つ目は未来に向かって計画を立てやすいということです。どうしてもデジタル媒体だとその日の記録がメインになってしまい、翌週、翌月までどうするかという計画までなかなか踏み込みにくいです。その点、手帳であれば、まずは手書きで予定を書いて、それをさらに振り返って、そしてさらに修正するというのがやりやすいと思います。
塾生にはスケジュール管理についてどのような指導をしていますか?
まずはしっかりと事前に計画を立てられていたかどうかを確認します。そして実際の結果との乖離を比較し、その乖離がなぜ生じてしまったのか、そもそもの計画設計が間違っていたのかとか、それとも計画を遂行するときに問題が生じてしまったのか、その原因をしっかりと分析して、どういった改善を加えていけば、より良い毎日を過ごして、より合格の可能性を上げられるかというところにフォーカスして話しています。
手帳活用のアドバイスをください。
過去と現在、そして未来の3つの軸に考えてそれぞれの価値を考えてみるといいかなと思います。
未来に対しては、だらけてしまうのを防げるというのと、自分が何をやればいいのかが迷わなくなるというメリットがあります。自分が何をやればいいかが分からないから、目の前のことに気を取られ投げ出してしまいます。しかし事前に、どの科目を何時から始めるのかというのをしっかり決めていれば、動ける生徒というのはたくさんいます。なので、自分がまず未来に対して道を作ってあげることとで、頑張りたいと思ったときに頑張れるようになれると思います。
現在については、例えば、計画が達成できれば、その都度チェックを付けていくことが大事です。完了したという印を丸だったり、星だったり、何でもいいんですが付けていくと、自分が達成感を持って、「よし、このまま頑張ろう」と思って進んでいくことができるようになります。今、勉強に向かってこの瞬間を楽しく、迷いなく進むためにも、手帳を書く価値があるかなと思います。
最後に過去については、しっかりと手帳に記録が残っているということです。記録を振り返ることで自分は今何が足りないのか、何が課題なのか、何が改善できるのかというのを把握できるようになります。しっかりと今後の自分の改善を積み重ねていく上でも手帳の記録は役に立つと思います。
書くだけで自然とPDCAサイクルが回せる!
学校で手帳を配布する場合、先生方はどのように生徒に指導したら良いと思いますか?
まず配っただけでは中々生徒は手帳を書かないと思います。その理由をそれぞれの性格のせいだなど、生徒個人にできない原因を押し付けてしまいがちなのですが、そうではなく、そもそも指導する側つまり書かせたいと思う側がしっかりと手帳の価値を伝えきれていないところに問題があるなと考えています。
大前提のマインドセットとして手帳をやることがどれだけ価値があるのかというのを先ほど挙げた3点をもとに生徒自身に考えてもらうことが重要です。なぜなら、自分が今志望している大学に合格できるかどうかを左右してしまうからです。合格するシンプルな方法としては、勉強の時間、つまり量を増やすことなのですが、この量を増やすにあたって、学校や部活など、それぞれの制約がある中で時間を作らなければならない。でもそれは必ずしも学校が終わった後だけではなく、所々のスキマ時間にも必ずあるはずです。1日にスキマ時間を全部合わせたら1時間とか2時間、絶対に増えていくので、それが1年間積み重なったらどれだけ膨大な時間になって、志望校のランクが1つ2つ変わってしまうという可能性があることを数字でも理解できれば、より手帳を書くことに対しては積極的になってくれるかなと思います。
手帳を使うことによってどういったいいことがあるのをしっかりと生徒が理解すれば、自分から率先して使ってくれるようになります。その価値をいかに伝えるか、価値さえ伝われば、生徒は進んで手帳どう書いたらいいですかって聞いてきたりするぐらい自分から前のめりになって、手帳に食い込んできてくれます。ぜひ価値を伝えていただけたらと思います。
塾生を傍で見ていて、スケジュール管理によって伸びる、変わる瞬間などはありますか
生徒が手帳を使ってよかったと思うタイミングは、例えば1週間、1か月を振り返ったときに勉強時間が圧倒的に増えたという体験ですね。武田塾に入る前、つまり勉強習慣を管理されなかったときは、平日は0時間、休日は気分が乗った土日のどちらかに2、3時間だけ勉強していたという生徒が次第に、平日に4、5時間は当たり前に、休日はそれぞれ10時間以上勉強できるようになります。そしてこれを達成したとき、これだけ自分は変われるのだと、今まで自分は勉強できない人間だと思っていたのが、自分はしっかりと管理すれば、これだけ勉強して志望校、難関大学を目指せるんだという実感を得られたときにやっぱり生徒は変わっていくかなと思います。
ご自身が学生時代はどのように手帳を使っていましたか?また手帳を使ってどのような変化がありましたか?
受験に向けて自主学習の質をもっと高めていきたいと思い手帳を使い始めました。 やはり1日に自分が何をすべきかがわかってないと、その場その場で手当り次第に勉強してしまうことになって、なかなか結果に繋がらないなというのを中学生のときに実感して、その時から1日単位で計画を立てるようになりました。 何時から何時に勉強するというのを徹底するようにしていたので、それは今に至るまですごい価値のあることだったなと感じています。
社会人になってから手帳活用が役に立つことはありましたか?
学生であろうと社会人であろうと、その1日をいかに充実させるかにあたっては、スケジュールを立てているかどうかというのがとても重要になってきます。例えば日曜日の過ごし方を考えてみてください。土曜日の夜まで何も考えず、日曜の朝を迎えようとすると、例えば昼過ぎまで寝てしまったとか、だらだら起きて、その後スマホやテレビを見て、気づいたらもう夕方で今日1日何もしてないなって日があると思います。
でも、手帳があることによって、明日の日曜日は何時に起きて、ここに行って何をするのかというのをあらかじめ決めていると、だらけて終わってしまう休日というのがなくなってきます。私自身、結構完璧主義なところがあって、だらけた1日を過ごすと、自分に失望して、甘えてしまった自分自身を許せないんです。
そうならずに済んでいるのは、手帳があって、必ず事前に計画を立てるようにしているからです。おかげで無駄な時間や無駄な日を作らないという人生を送れているかなと思います。
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