
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)という用語自体はよく耳にするものの、実は効果や社内に浸透させる方法については、あまり理解されていないケースも多くあります。
この記事では、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の意味を説明し、その必要性や社内に浸透しない理由、さらに具体的な解決策について紹介しています。ぜひ、ご参考ください。
目次
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は、企業や団体が組織としての存在意義や方向性、大切にする価値観を明確に表現するための、3つの用語をまとめた重要な概念です。
ミッションとは、組織の存在理由や目的を表すものです。「なぜ私たちはここにいるのか」「何のために事業を行っているのか」という根本的な問いに対する答えであり、組織の原点となります。例えば「持続可能な社会の実現に貢献する」といった形で、社会における自社の役割を明確にします。
ビジョンは、組織が将来的に目指す姿や到達したい状態を表現します。「5年後、10年後に私たちはどうなっていたいか」という未来像を示すための指針となります。
バリューは、組織が大切にする価値観や行動規範を意味します。日々の意思決定や行動の際に、メンバーが何を優先すべきかを示す羅針盤の役割を果たします。「誠実さ」「挑戦」「顧客第一」など、組織文化の核となる要素を表現します。
MVVは単なるスローガンではなく、組織の戦略的な方向性や文化を形作る重要な概念です。デジタル庁をはじめとする政府機関や、多くの企業がこの考え方を取り入れ、組織運営の基盤としています。
なぜMVVが必要なのか
●目指す方向性を明確にできる
●ブランド構築につながる
●従業員のエンゲージメントの向上
それぞれの項目について、詳しく解説します。
目指す方向性を明確にできる
MVVが明確に定義されていれば、組織内のメンバーは日々の業務において迷いが生じた際や、想定外の事態に直面した場合でも「自分たちはどう行動すべきか」という判断基準に基づいて、状況に応じた適切な対応ができます。
特に現代のように未来予測が困難な時代においては、細かな戦術よりも、組織としてのあり方や価値観が重要です。MVVがあれば、環境変化に対しても柔軟に対応しながらも、本質的な方向性を見失うことはありません。
また、組織内の人材が多様化している現在、異なるバックグラウンドや価値観を持つメンバーが共存しています。そのような状況でも、MVVという共通の価値観があれば、多様性を活かしながらも、組織としての一体感を損なわずに方向性を定められます。
ブランド構築につながる
適切なMVVが浸透している組織では、メンバーが自律的に考え、行動する人材へと成長しやすくなります。常に組織の目的や価値観に沿った判断ができるようになり、上司の指示がなくても主体的に動けるようになるのです。
このような優れた人材が増えることで、業績向上につながり、「あの会社は素晴らしい」という企業イメージが形成されます。そして、それが企業ブランドの構築へとつながっていきます。顧客や取引先、そして求職者からも「この会社と関わりたい」と思われる存在になっていくでしょう。
従業員のエンゲージメントの向上
MVVが明確であれば、組織内で何が重視され、どのような行動が評価されるのかが明確になります。その結果、メンバーは自分の行動や判断に自信を持って働けるようになり、職場環境の改善にもつながるでしょう。
さらに、自分の仕事が組織の目的や理念に直結していることを実感できれば、仕事へのモチベーションも自然と高まります。その結果、離職率の低下や人材の定着につながり、組織の安定性が増すでしょう。
働きやすさや目的意識の共有は企業の強みとなり、採用市場でのアピールポイントにもなります。「この会社で働きたい」と思う優秀な人材を惹きつけ、さらなる組織の強化につながる好循環を生み出します。
なぜMVVが社内浸透しないのか?
MVVの重要性は理解できていても、実際には「立派なMVVを掲げているのに、社内に浸透していない」という課題を抱える組織は少なくありません。
その理由は大きく3つに分けられます。
●MVVが十分に理解・共感されていない
●MVVと行動が紐づかない
●MVVを浸透させる施策を実施していない
それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。
MVVが十分に理解・共感されていない
MVVが浸透しない最も大きな原因は、メンバーが共感できていないことです。いくら立派な言葉で表現されていても、現場の実情や社員の価値観とかけ離れていると「きれいごと」と認識され、共感されません。
現実の会社の状況とあまりにもかけ離れている場合、社員は「建前」だと捉え、自分ごととして受け止められないでしょう。例えば、実際には長時間労働が常態化しているのに「ワークライフバランスを重視」というバリューを掲げても、社員の共感は得られません。
また、長い歴史や伝統を持つ組織では、突然新しいMVVを導入しても受け入れられにくいケースがあります。組織の歴史や文化を尊重しつつ、メンバーが受け入れやすい形でMVVを表現するのが重要です。
MVVと行動が紐づかない
MVVが人事制度や評価体系とまったくリンクしていない場合も、社内への浸透は難しくなります。いくら素晴らしいMVVを掲げていても、実際の評価や報酬がそれとは無関係であれば、社員はMVVよりも評価される行動を優先するほうが合理的です。
また、抽象的なMVVと日々の具体的な業務との関係が不明確な場合も問題です。「自分の仕事がどのようにMVVの実現に貢献しているのか」「MVVをどのように日常業務に活かせばよいのか」が理解できなければ、MVVは単なる掛け声に終わってしまいます。
MVVを浸透させる施策を実施していない
最も根本的な問題として、そもそもMVVを浸透させるための具体的な施策がない、あるいは不十分である場合があります。MVVを策定して発表しただけで終わり、という組織は少なくありません。
また、施策があっても、経営陣からの一方的な発信にとどまっていたり、形式的な研修で終わっていたりする場合も多く見られます。MVVの浸透には継続的で双方向のコミュニケーションが不可欠ですが、そのような場が設けられていないことも浸透しない大きな要因です。
MVVを浸透させるための解決策

MVVが社内で浸透しない理由は複数ありますが、ここでは解決策について紹介します。
●MVVの認知・共感を何度も促す
●MVVを人事制度に組み込む
具体的な方法について、詳しく確認しましょう。
MVVの認知・共感を何度も促す
MVVを浸透させるためには、社員が認識・理解・共感することが必要です。そのために、さまざまな方法でMVVに触れる機会を作りましょう。
社内モニターや名刺、自社ウェブサイト、オフィスの壁など、社員がよく目にする場所にMVVを掲示すると、自然と認知度を高めることができます。目に見える形で存在感を示すのが重要です。
また、経営陣が社内イベントや会議、メールマガジンなどで定期的にMVVについて言及し、その意義や重要性を繰り返し伝えることも効果的です。どのように事業や社員に関わるのか、具体的なストーリーや事例を交えて語ることで、より理解と共感を得やすくなります。
さらに、MVVの内容自体が社員の共感を得られる内容になっているかどうかも重要です。策定段階から社員の意見を取り入れたり、現場の実態と乖離しないよう現実的な内容にしたりすると、理解・共感しやすくなります。
MVVを人事制度に組み込む
MVVを単なるスローガンで終わらせないためには、実際の人事制度や業務プロセスに組み込むのが効果的です。例えば、バリューに「挑戦」があれば、評価項目に「新しいことに積極的に挑戦しているか」という観点を加えるとよいでしょう。
MVVに沿った行動で評価、報酬に反映すると、社員は自然とMVVを意識するようになります。また、MVVを具体的な行動指針として落とし込むことも効果的です。抽象的な理念を「こういう場面ではこのように行動する」という具体的なガイドラインに変換することで、日々の業務とMVVのつながりが見えやすくなります。
さらに、1on1ミーティングなどの場でMVVについて話し合う機会を定期的に設けるのも大切です。上司と部下がMVVに関する理解や実践について率直に対話できれば、MVVの浸透度を確認し、必要に応じて支援や方向修正ができます。
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を浸透させて組織力を高めよう

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は、組織としての存在意義や方向性、価値観などを示す重要な概念です。
社内での浸透は簡単ではありませんが、MVVはさまざまなメンバーがいる組織での指針を示し、ブランド構築やエンゲージメントの向上にもつながります。
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