
「ロイヤルカスタマー」という言葉は、良い顧客を連想させますが、優良顧客との違いについてはよくわかっていない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ロイヤルカスタマーや優良顧客との違いについて詳しく説明します。また、ロイヤルカスタマーの重要性や育成戦略についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
ロイヤルカスタマーとは
ロイヤルカスタマーとは、売上への貢献度が高いだけでなく、企業や商品、ブランドへの強い愛着を持ち、長期にわたって関係を続ける顧客層を指します。
ロイヤルカスタマーは、ブランドに対する深い信頼と情緒的なつながりを持ち、その関係は単なる取引を超えています。特定のブランドや企業に対して強い帰属意識を抱いているため、商品やサービスをリピート購入する傾向です。簡単には競合他社の商品・サービスへ乗り換えません。
例えば、特定のカフェに毎日通う常連客が、そのカフェの新メニューを積極的に試し、SNSで店の魅力を発信し、友人を連れてくるような場合、その顧客はロイヤルカスタマーといえるでしょう。単に習慣で利用しているだけでなく、そのカフェのファンとして積極的に関わっているからです。
ロイヤルカスタマーは企業にとって重要な資産の一つであり、育成し維持することは、持続可能なビジネス成長の鍵となります。
ロイヤルカスタマーと優良顧客との違い
優良顧客とロイヤルカスタマーは混同されがちですが、実際には大きな違いがあります。優良顧客は多くの企業にとって売上に大きく貢献しますが、そのすべてがロイヤルカスタマーになるわけではありません。決定的な違いは、関係性の質と継続性にあります。優良顧客は一時的に高単価な商品やサービスを購入してくれる場合でも該当しますが、必ずしもブランドへの強い愛着や長期的なコミットメントを持っているとは限りません。
顧客は一般的に「潜在顧客」「見込み顧客」「新規顧客」「リピーター」などの段階を経て成長していくと考えられます。この顧客成長の段階の中で、最も高い位置にあるのがロイヤルカスタマーです。
新規顧客やリピーターとしての優良顧客の一部が、ロイヤルカスタマーへと発展すると考えるべきです。サブスクリプションモデルを展開している企業であれば、定期コースや長期継続プランを利用しながら、さらに別の商品も購入するような顧客がロイヤルカスタマーに該当します。
ロイヤルカスタマーが戦略として重要な理由
ロイヤルカスタマーが戦略として重要な理由は3つあります。
●LTVが高く売上貢献につながりやすいため
●有益な情報を発信してくれる可能性があるため
●紹介による新規顧客獲得の機会が増えるため
それぞれの理由について、詳しく説明します。
LTVが高く売上貢献につながりやすいため
LTV(Life Time Value)は、顧客生涯価値という意味のマーケティング用語です。顧客が生涯にわたってもたらす利益の総額を示す重要な指標です。ロイヤルカスタマーは総じてLTVが高く、企業の安定した収益基盤となります。
日本国内の市場が少子高齢化により縮小している現状を考えると、新規顧客の獲得だけに頼るビジネスモデルは持続可能性が欠けているといえるでしょう。そのため、多くの企業はLTVが高く、競合他社に乗り換えにくいロイヤルカスタマーの割合を増やすことに注力しています。
ロイヤルカスタマーの存在は売上の安定性にも直結します。定期的な購入や利用が見込まれるため、景気変動の影響を受けにくく、企業の経営計画も立てやすくなるためです。また、既存顧客への販売は新規顧客獲得よりもコストが低いため、利益率の向上にも寄与します。
例えば、月額制のサブスクリプションサービスでは、長期間継続する顧客ほど獲得コストの回収率が高まり、純利益へのプラス効果が大きくなります。ロイヤルカスタマーの平均利用期間が2倍になれば、理論上はLTVも2倍になる計算です。
有益な情報を発信してくれる可能性があるため
ロイヤルカスタマーは単に商品やサービスを購入するだけでなく、SNSや口コミサイトで企業にとって有益な情報発信をしてくれる可能性があります。第三者からの信頼性の高い推薦として機能し、潜在顧客の購買意欲を高めるのに効果的です。
また、ロイヤルカスタマーは商品やサービスに対する適切なフィードバックを提供してくれる機会も多く、製品開発や改善のための貴重な情報源となります。彼らは企業のファンとして真剣に向き合ってくれるため、批判的な意見であっても有益なものの場合がほとんどです。
紹介による新規顧客獲得の機会が増えるため
ロイヤルカスタマーは自分の周囲の人々に対して、愛用する商品やサービスを積極的に紹介してくれる傾向があります。友人や家族からの推薦は広告よりも高い信頼性を持ち、購買決定に大きな影響を与えるでしょう。
ロイヤルカスタマーの紹介による新規顧客獲得は、広告費を抑えながら効率的に顧客基盤を拡大できる大きなメリットがあります。さらに、ロイヤルカスタマーから紹介された新規顧客は、紹介者との信頼関係を基盤に企業との関係をスタートさせるため、将来的にロイヤルカスタマーになるという好循環が期待できます。
ロイヤルカスタマーの育成戦略の手順
ロイヤルカスタマーが増えるとさまざまな恩恵を受けられます。しかし、最初からロイヤルカスタマーになる方はめったにいません。
以下のような手順で、育成する戦略で既存顧客をロイヤルカスタマー化していきましょう。
1. 顧客のロイヤリティを分類する
2. ロイヤルカスタマー化の対象ユーザーを分析して絞り込む
3. 顧客体験(CX)を良くする
それぞれの手順について、詳しく説明します。
STEP1.顧客のロイヤリティを分類する
ロイヤルカスタマー育成の第一歩は、現在の顧客情報を正確に把握し、ロイヤリティのレベルに応じて分類することです。商品の購入頻度、購入単価、来店回数、滞在時間、ウェブサイトでの行動パターンなど、さまざまな観点からデータを収集します。
例えば、購入頻度や購入金額を基準に顧客をセグメント化し、それぞれのグループに対して異なるアプローチを検討する方法が効果的です。
また、NPS調査を活用して、顧客の感情的なつながりやブランドへの愛着度を測定するのも重要になります。商品やサービスをどの程度おすすめできるか、というアンケートで測るのが一般的です。購買行動だけでなく、企業やブランドに対する態度も含めて総合的に分析すれば、より具体的に顧客の状況を理解して分類できます。
STEP2.ロイヤルカスタマー化の対象ユーザーを分析して絞り込む
ロイヤリティの分類が完了したら、次はロイヤルカスタマー化の対象となる顧客層を特定します。すべての顧客をロイヤルカスタマーに育成するのは現実的には難しいためです。
対象の選定には、会員情報や購買履歴、サイト行動などのデータを体系的に収集して分析するシステムの構築が必要です。CRMツールやデータ分析プラットフォームを活用し、潜在的なロイヤルカスタマーの特徴やパターンを識別します。
一般的には、既にリピーターとなっている顧客からロイヤルカスタマーへの育成を図るのが効果的です。彼らはすでに商品やサービスの価値を認識しており、より深い関係構築の土台ができています。ただし、購入頻度や金額だけでなく、企業やブランドへの態度や共感度も考慮するのが重要です。
STEP3.顧客体験(CX)を良くする
対象顧客を特定したら、次は彼らとの接点すべてにおいて卓越した顧客体験(CX)を提供しましょう。ロイヤルカスタマー育成の核心部分です。
まず、顧客との接触回数を戦略的に増やします。メールマガジン、LINEなどのメッセージアプリやSNS、イベント案内など、複数のチャネルを通じて顧客とのコミュニケーションを維持しましょう。ただし、単に頻度を上げるだけでなく、顧客にとって価値のある情報や特別感を提供することが重要です。
また、店舗での接客からアフターサポートに至るまで、顧客との接点すべてにおいて質の高いサービスを一貫して提供することが求められます。顧客の期待を超える体験を提供し、感情的なつながりを深め、ロイヤルティを高めていきます。
ほかにも、定期的なアンケートやインタビューを通じて顧客の満足度や要望を把握し、継続的にCXを向上させていく施策も有効です。顧客の声に真摯に耳を傾け、迅速に対応できれば「この企業は自分のことを大切にしてくれている」という信頼感にもつながります。
さらに、顧客ごとに最適化するパーソナライゼーションもCX向上の重要な要素です。顧客の購買履歴や好みに基づいて、一人ひとりに最適化したレコメンデーションやオファーを提供できると、顧客は自分が特別に扱われていると感じ、ブランドへの愛着が深まります。
ロイヤルカスタマー戦略でよりよくビジネスを進められる

ロイヤルカスタマーとは、商品やサービス、あるいは企業ブランドに強い愛着を持っており、競合他社に乗り換えない特別な顧客層を指します。
ロイヤルカスタマーは企業経営ではかなり重要な存在で、戦略的に育成する価値があります。まずは、ロイヤルカスタマー化を目指す施策として、ノベルティを制作して配布するのも良い試みでしょう。
大切な顧客へ日常的に使用でき、品質も良いノベルティをお渡しすることで、関係構築ができ、良質な顧客体験にもつながります。
NOLTYプランナーズでは、ノベルティ制作についてのご相談を承っています。気になる方は、ぜひお問い合わせください。