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NOLTYスコラ プログラムの導入事例

NOLTYスコラ プログラム

導入校の事例をご紹介します。

日本の「モノづくり」を支える人材を育成 会社を支える「技術」と「自信」をつくり出す
取材日 : 2019.08.21
  • 高等学校
日立工業専修学校 様

日本の「モノづくり」を支える人材を育成 会社を支える「技術」と「自信」をつくり出す

今回ご紹介するのは、株式会社日立製作所の企業内学校である日立工業専修学校。第3回手帳甲子園取り組み部門最優秀賞、第4回手帳甲子園では同部門の奨励賞に輝いた同校は、多くの取り組みを工夫して取り入れ、生徒の自己管理力の育成に取り組んでいます。今回は、同校の取り組みを主導する南口隆(みなみぐち・たかし)先生・遠島充(とおしま・みつる)先生、そして校長の山﨑一平(やまざき・いっぺい)先生にお話をうかがいました。

プロフィール
日立工業専修学校は、株式会社日立製作所創業と同じ1910年(明治43年)に設立された製造技能教育を目的とした学校。同校は日立製作所初代社長小平浪平が志した「事業の発展は人にあり」を基本理念として日立発展の基礎を固めるとともに、世界の産業と社会の発展に貢献できる有能な人材の育成をめざしている。他校にはない独自のシステムによる実践的教育を行い、多様化する産業界のニーズに応える教育機関として重要な役割を果たしている。

第3回手帳甲子園 取り組み部門 最優秀賞受賞

第4回手帳甲子園 取り組み部門 奨励賞受賞

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都道府県 茨城県

卒業後、日立グループ各社、三菱日立パワーシステムズの製造現場に入社するからこそ生徒のうちに「PDCAをまわす力」を身につけさせたい

NOLTYスコラプログラムを導入された目的をお教えください

本校は日立製作所が設立した企業内学校です。本校の生徒は卒業後、日立グループ各社、三菱日立パワーシステムズの製造現場で働きます。 社会人として働く上で大事なことの一つに、「PDCAを自分で考えて、まわすこと」があります。この能力を高めることを目的として、2014年4月から全学年で、「NOLTYスコラプログラム」を導入しました。 現在、日常の生活管理はもちろん、将来の目標管理・キャリア教育なども視野に入れ、独自の工夫を加えながら実践しています。

社会人に必要な能力を入社前に育成されているのですね。導入後、生徒に変化はありましたか?

導入後、生徒の自己管理能力の向上には眼をみはるものがあります。 忘れ物や課題提出が遅れる生徒は減少しましたし、何かを指示するとすぐにスコラ手帳に記入をする生徒が増えました。 最近では、朝のショートホームルームが始める前にスコラ手帳を机の上に出している生徒も増え、手帳を使うことが当たり前になってきたことを感じています。 目標や振り返りを記入するときも前向きな内容を書く生徒が大多数を占めるようになり、多方面で変化を感じています。

業中も机の上にスコラ手帳を出している生徒が多数見られた

生徒自身が実感しているスコラ手帳の効果はなんでしょうか?

書く機会が増えたので、生徒も書くことが楽しくなったようです。スコラ手帳以外の「書くこと」に対しても、自信を持って取り組めるようになったと聞いています。また、「机に向かう時間が増えて、集中して勉強に取り組めるようになった」「時間の使い方が上手くなった」と話す生徒もいて、個人個人が自分の成長を感じているようです。

取り組みの目的は「目標を見据えた生活」をしてもらうこと

導入初期の取り組みをお教えください

4月に、生徒向け手帳研修会を行いました。生徒向け手帳研修会は、体育館で行い、手帳を記入する意義や楽しさ、使用上のルールなどについて説明をしました。 また、この時期には顔写真が入ったネームプレートの配布も行っています。クラス・氏名・出身中学・部活動名・担当の係なども記されており、スコラ手帳の表紙に挟み込むことによって、誰の手帳であるかが一目瞭然となります。また、学年別の識別シールを背表紙に貼ることで、教員側の手帳の仕分けが容易になりました。 また、6月には「いいとこみつけ&応援メッセージ」を行います。クラス全員が一人ひとりに向けてメッセージを記入します。それぞれの「いいところ」とこれからの「応援メッセージ」が記入されています。このメッセージについて、ある生徒は「時々見返しています。やる気を奮い立たせる大切なお守りです」と話していました。

将来を意識させる取り組みも行っているそうですが、どのような取り組みをされているのでしょうか?

「キャリアパス研修」・「目標シート」の作成を行っています。 キャリアパス研修は、校長作成の「キャリアマップ」を職員・生徒全員の共通基盤として、本校の目的や特徴を把握し、将来のゴールを明確にした上で、現在位置を明らかにし、自分のキャリアを考える一助としています。 また、目標管理シートの作成では、生涯にわたるゴールを設定した上で、現在位置を確認します。3年間の学校生活で何を成し遂げるかを考え、そこから逆算して、年度目標・月間目標・週目標を策定します。完成した目標管理シートは常に修正を加え、スコラ手帳の「年間目標」や「今週の目標」欄に落とし込んでいきます。 生徒が、目標を意識しながら学校生活を送れるようになることが理想ですね。また、目標を英文に訳し、英語で手帳をつける試みも行っています。

そのほか、日常的にされている取り組みをお教えください

毎週月曜の朝に全校放送を行います。生徒会役員が輪番で担当し、今週のイベントなどを紹介し、スコラ手帳に記入するよううながします。さらに、職員室前には手帳コーナーを設置しています。そこには、スコラ手帳の提出日や、コメントを担当する先生の名前が貼り出されており、職員・生徒が確認をすることができます。また、提出用のかごが用意されており、生徒は隔週で、SHR前に自分の手帳を提出します。 コメントについては、生徒がスコラ手帳を楽しく、前向きに使えるよう、校長も含め職員全員が協力して、隔週で全員の手帳にコメントをつけることにしました。できるだけ「ほめる!」に徹していることで、生徒のモチベーションを上げることに一役買っています。 先生の似顔絵をシールにし、提出された手帳に貼り付け、コメントを書いて返却する先生もいます。また、楽しいデザインのハンコを押したり、シールを貼る先生もいますね。

職員室前の手帳コーナー

現在様々な取り組みをされていますが、今後の展望についてもお教えください

本校の卒業生は全員が日立グループ各社、三菱日立パワーシステムズの製造現場に就職するため、追跡調査が可能です。その利点を活かし、卒業後の手帳活用について、定着率を調査し、手帳記入が習慣化できるような方法を探りたいと思っています。 また、自分の将来像を明確に描ける人材の育成に、手帳の教育を役立てる方法論を確立したいと思います。スコラ手帳を活用して、生徒が何事も面白がって主体的に取り組み、仕事をデザインし、周囲を巻き込んでいくための力を育成していきたいですね。

5年後10年後、スコラ手帳を振り返ったときできなかったことが、できるようになったことに気づく。それが自信になる

ここから校長先生にお話しをうかがいたいと思います。まず、校長先生ご自身の手帳の使い方を教えてください

私は、今は持ち運びができるサイズの手帳を使っていて、自分の日程を書いています。 手帳は、社会人になってから使い始めました。当時はB5判くらいの大判のものを使っていて、持ち歩かず、会社帰るときは置いて帰っていました。 また、手帳ではないのですが、当時社内で、事務職の社員にも日誌を書かせていました。私はその日誌にコメントを書いていたのですが、それから何十年も経ってから、ある人から「山崎さんにコメント書いていただいた日誌を今でも持っていて、それを読み返すことがあるんですよ」と言われました。 30年前、20年前、入社直後に注意されたことやできなかったことを振り返ると、メンタルヘルスにいいんでしょうね。かつての自分を懐かしみ振り返ったとき、「また明日から頑張ろう」という勇気と元気が涌いてくるのだと思います。

生徒にスコラ手帳をどう使ってほしいと考えていますか?

手帳の使い方がわからないという生徒がいるのであれば、「わからなかったこと」や、「うまくいかなかったこと」、「実習中などに先生に注意されたこと」に加え、「振り返り」欄に「自分の思い」を書くのがよいと思っています。 「わからなかったこと」を書くことで、自分自身の復習にもなりますし、それを見た先生も「ここの部分が説明してもわからなかったのか」と理解することができます。 また、生徒が数年後にふと手帳を見たとき「1年生のときはこれがわからなかったけど、今はわかるようになったな」と自分の自信にすることができます。そのように、「後になってこの手帳を使ってよかったとわかるように、今は作業をしなさい」と伝えます。 5年後10年後に手帳を振り返ることで、自分を好きになれたり、自信を持てるように……スコラ手帳はそのための手段に使ってくれたらよいと思っています。

日常生活で自信をつけるとともに、日立の技術を学ぶことは、生徒の大きな財産になりますね

学科の勉強は下支えとして、本校の生徒は数多くの実技の実習を受け、全員が寮と部活動に入り、多忙な生活を過ごします。 本校からは技能五輪全国大会の選手を数多く輩出していますが、やはりモノづくりの技術を高いレベルに持っていくためには、早い時期に始めるのが一番良いと感じています。 15歳前後という若さで人生を決めるというのは酷なことですが、そこで腹を決めて頑張ることができれば、その技術は一生物になります。「手を自分の武器にする」と決めた人は、このくらいの時期から取り組めば自信になると思います。 また本校は、先生方が本当にしっかりと生徒一人一人と向き合っています。昼間の学校での生活だけではなく、寮生活や部活動を通して、多くの側面から生徒を理解し、支えています。

生徒の技術力は高く、技術五輪全国大会にも出場!

企業一丸となって「日本のモノづくりを支える人材」を育成されているのですね

はい。日立というのは、本当に素晴らしい会社だと思います。多くの企業が企業内学校を閉校してしまいましたが、技術を繋ぐ人を育てることは、モノづくりにとって非常に重要なことです。 モノづくりは設計者だけではできません。図面どおりに作ってもうまく動かない部分が出てくる。そういった設計者が予測できない部分を、技術者の力が補っているのです。 日立の品質は、「設計」と「技術」の両輪で支えられています。本校は、その「技術」を支える人材の育成を担っているのです。 今は、国内でも、モノづくりが見直されている時期ですね。その中で、うちのような学校は頑張らないといけないなと強く考えています。

株式会社NOLTYプランナーズ