5年後10年後、スコラ手帳を振り返ったときできなかったことが、できるようになったことに気づく。それが自信になる
ここから校長先生にお話しをうかがいたいと思います。まず、校長先生ご自身の手帳の使い方を教えてください
私は、今は持ち運びができるサイズの手帳を使っていて、自分の日程を書いています。
手帳は、社会人になってから使い始めました。当時はB5判くらいの大判のものを使っていて、持ち歩かず、会社帰るときは置いて帰っていました。 また、手帳ではないのですが、当時社内で、事務職の社員にも日誌を書かせていました。私はその日誌にコメントを書いていたのですが、それから何十年も経ってから、ある人から「山崎さんにコメント書いていただいた日誌を今でも持っていて、それを読み返すことがあるんですよ」と言われました。
30年前、20年前、入社直後に注意されたことやできなかったことを振り返ると、メンタルヘルスにいいんでしょうね。かつての自分を懐かしみ振り返ったとき、「また明日から頑張ろう」という勇気と元気が涌いてくるのだと思います。
生徒にスコラ手帳をどう使ってほしいと考えていますか?
手帳の使い方がわからないという生徒がいるのであれば、「わからなかったこと」や、「うまくいかなかったこと」、「実習中などに先生に注意されたこと」に加え、「振り返り」欄に「自分の思い」を書くのがよいと思っています。
「わからなかったこと」を書くことで、自分自身の復習にもなりますし、それを見た先生も「ここの部分が説明してもわからなかったのか」と理解することができます。
また、生徒が数年後にふと手帳を見たとき「1年生のときはこれがわからなかったけど、今はわかるようになったな」と自分の自信にすることができます。そのように、「後になってこの手帳を使ってよかったとわかるように、今は作業をしなさい」と伝えます。
5年後10年後に手帳を振り返ることで、自分を好きになれたり、自信を持てるように……スコラ手帳はそのための手段に使ってくれたらよいと思っています。
日常生活で自信をつけるとともに、日立の技術を学ぶことは、生徒の大きな財産になりますね
学科の勉強は下支えとして、本校の生徒は数多くの実技の実習を受け、全員が寮と部活動に入り、多忙な生活を過ごします。 本校からは技能五輪全国大会の選手を数多く輩出していますが、やはりモノづくりの技術を高いレベルに持っていくためには、早い時期に始めるのが一番良いと感じています。
15歳前後という若さで人生を決めるというのは酷なことですが、そこで腹を決めて頑張ることができれば、その技術は一生物になります。「手を自分の武器にする」と決めた人は、このくらいの時期から取り組めば自信になると思います。
また本校は、先生方が本当にしっかりと生徒一人一人と向き合っています。昼間の学校での生活だけではなく、寮生活や部活動を通して、多くの側面から生徒を理解し、支えています。
企業一丸となって「日本のモノづくりを支える人材」を育成されているのですね
はい。日立というのは、本当に素晴らしい会社だと思います。多くの企業が企業内学校を閉校してしまいましたが、技術を繋ぐ人を育てることは、モノづくりにとって非常に重要なことです。
モノづくりは設計者だけではできません。図面どおりに作ってもうまく動かない部分が出てくる。そういった設計者が予測できない部分を、技術者の力が補っているのです。
日立の品質は、「設計」と「技術」の両輪で支えられています。本校は、その「技術」を支える人材の育成を担っているのです。 今は、国内でも、モノづくりが見直されている時期ですね。その中で、うちのような学校は頑張らないといけないなと強く考えています。