教員・生徒 両者の自主性に任せた導入
NOLTYスコラライト導入の経緯についてお聞かせください。
きっかけは、朝日新聞に掲載されていた記事でした。本校の立ち上げ前の時期にこの記事を読み、中高生向けのビジネス手帳が開発されたと知ったとき「これは使うしかない!」と思いました。 私自身が手帳の愛好者なので、手帳の有効性は自分自身が実感していました。また、キャリア教育が広がってきたタイミングだったので、キャリア教育としてキャリアプランニング能力を育成するためには手帳が効果的だと思いました。
ただ、すぐに導入できたわけではなく、開校2年目からの導入となりました。
なぜ開校2年目から導入を決めたのですか?
開校1年目は色々なところから先生たちが集まりスタートします。あまり色々なことをさせてしまうと先生方の負担になってしまいます。 導入の説得材料になったのは、お試し制度への参加です。1年目の秋に1クラス限定でお試しの機会がありましたので、それに参加しました。先生方には私から「忘れ物が多かったり、成績が伸び悩んでいたりする生徒にこういった効果があるみたいですよ」と手帳の効果を説明しました。実際にお試しを実施したことに加え、効果を調査したことで、先生方に手帳の効果を実感してもらえました。それが説得材料になり、2年目にして導入が決定しました。
導入後はどのように運用されたのですか?
先生方へまずは『声掛け』を依頼
最初の1年目は先生方の負担にもさせたくなかったので、「とにかく書かせてください」というお願いをしました。教科担任の先生には授業のとき生徒に「手帳を出してメモしてください」と声掛けをしていただくよう協力をしていただきました。 手帳のチェックやコメントの記入などは特に指定していません。とにかく負担になることは避けたかったので、先生方には「無理のない範囲で使用してください」と伝えていました。
先生方の手帳の使い方を生徒に共有する機会はありますか?
担任の先生によって違いますが、私は今年の新入生には入学式翌日に手帳のオリエンテーションを実施していて、そのときに手帳を見せました。
オリエンテーションの前と後では、生徒が手帳を使う姿勢がとても変わりました。「手帳を使うことは大人になることだ」と言っていたので、余計に意識して使っているのだと思います。1年次生は肌身離さず持ち歩いていますね。「自分のものだから自由に使っていいし、アレンジしてもいい。好きなように愛してください」と言いました。その話をした後、頂いたDVDを見せています。
今の2年次生は合宿の中でそれを行ったのですが、少し時期が遅かったのだと思います。今年の1年生のほうが反応は良くて、合宿の時点でメモができるようになっていました。4月の入学後すぐに教えるのがいいのかもしれませんね。
生徒に対してはどのような指導をされていますか?
強制はせず、自主性を促す指導
生徒側にも自由に使用させていて、とくに使い方の指定や、書く内容を決めることはありませんでした。 教員も同様ですが、強制をすると手帳を使わなくなります。使うことを嫌がるようになってしまいます。導入して早々に「手帳を使用するのは止めましょう」と言われてしまうことだけは避けたいと思っていました。そのようなやり方でも、書く生徒は充分に手帳を使っていました。
その後の様子はいかがでしたか?
チェックや指導をしっかり行っている担任の生徒は忘れ物も減りましたね。テストの成績を後ろのページに丁寧に書いて、毎回反省をして目標を考える生徒も出てきました。強制しない担任のクラスでは、面倒くさがりな生徒は段々脱落していきました。 チェックや指導を行う効果はありますが、一方で、手帳をコミュニケーションツールにしてしまうと逆に書けない生徒も出てきてしまいます。「先生が見るのだったらこんなことは書けない」とか本音が書けなくなってしまう、とか……。こういう使い方って本来の手帳の使い方と違いますよね。なので、そこはおまかせにしています。
生徒からも言われましたね。「先生が見るのだったら先生が見る用の形で書く」と。その気持ちはとてもよくわかります。手帳はプライベートな物なので、これを他人に見せることは私もしたくありません。自分の手帳は自分の使い方があるので、強制しなくてよいと思っています。
行事に関しても生徒の自主性を伸ばすことを意識されているのでしょうか?
意識しています。例えば入学式の司会進行も生徒にお願いしていますし、学校説明会も同様です。学校説明会では、入試の説明などは教員が説明しますが、学校の紹介は生徒が行います。 特に「他の人に対して話す・発表する」ということは、授業内でも行っています。国語や総合的な時間の授業では1年次の最後の方からディベートを行いますし、3年次は英語でのディベートも行っています。中学時代にはグループ研究も行い、研究の中間発表やプレゼンテーションも自分たちで考えて実施します。 また、本校はお客様が非常に多く、授業見学のために外部の方や受験希望者が来ることが多くあります。オープンスクールの日を9月から11月に掛けて4、5回設けていて、学校公開の日も作っています。
生徒は緊張などはしないのですか?
お客様が来るのは当たり前になっているので、生徒たちは誰が来ても動揺しません。授業を見学されると「中学生がこんなに話せるのですね、しっかりと話し合いをできるのですね」などビックリしたという感想をくださる方は多いですね。