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手帳指導コラム

NOLTYスコラ プログラム

中学校・高校の「手帳」に関する記事をまとめています。

2023.03.31

「手帳を通じて指導と生徒の行動が噛み合っていく」スコラ手帳の生みの親・山形県立鶴岡中央高等学校 加藤伸先生インタビュー

目次

スコラ手帳が誕生したのは、2010年に山形県立鶴岡中央高等学校の加藤伸先生からいただいた「生徒用のビジネス手帳 を作れないか」というお声がきっかけでした。それから現在に至るまでスコラ手帳を使い続けてくださっている加藤先生に、改めてスコラ手帳の活用方法や手帳の意義について伺いました。


山形県立鶴岡中央高等学校

加藤 伸 先生



■スコラ手帳誕生のきっかけ

最初は印刷業者に依頼して手帳のような冊子を作ったのですが、今一つうまくいきませんでした。それは紙質や使い勝手など、生徒が使い続けたいと思うための何かが足りなかったのだなと思い、NOLTYプランナーズに依頼したのがスコラ手帳誕生のきっかけになりました。


■手帳の目的

生活習慣づくり、勉強時間の確保などスケジュール管理が主な目的ではありますが、生徒と教員のコミュニケーションも大きな目的のひとつです。スコラを使っていてよかったという学校は、生徒とのコミュニケーションという面においても効果を感じているのではないでしょうか。

学年主任を務めていた際には、担任の先生方に「一週間に一度は回収してください。コメントを書けなければ生徒の書いた内容にアンダーラインを引くだけでもよいので、生徒に『見た』ということが伝わるようにしてください」と伝えていました。一週間に一回でも担任が見るようにすると、生徒たちも担任に見せようと思って書くようになります。生徒自身も頑張っていることなどを先生に伝えたいという気持ちを持っているので、頑張っていることや普段の生活、教室の中では声に出せないようなことも書いてきます。そうすると教員も生徒の別の面が見えてきて、生徒への理解が深まり、よりよい生徒指導ができるようになります。生徒側も伝えたいことを手帳に書き、担任がそれに気づいたときに生徒も「書いてよかった」と思ってくれるので、信頼関係も深まります。

ただ、生徒は「担任に生活を管理されている」と感じると書くのを嫌がり、手帳活用が行き詰まります。最初に「担任・副担任以外は手帳を見ないから、何を書いてもいいよ」と生徒に伝えておくことが重要なポイントかもしれません。


■手帳導入時のポイント

手帳を導入する際には、「手帳を書く目的」を明確にし、それをはっきりと生徒たちに伝えることが重要です。本校ではスコラ手帳を配布する際はガイダンスの時間を取って、手帳を使う意味を生徒に理解してもらっています。

手帳は配っただけで生徒が変化するような魔法のツールではありません。「生徒にどう手帳を書かせればいいのか」と聞かれることは多いですが、それよりも生徒に何をさせたいのかが大切ではないでしょうか。学習時間を増やす、生活習慣を整えるなど、目的に応じた手帳の書き方や指導の仕方があります。手帳を通じて、学校の指導と生徒の行動がかみ合っていくのが手帳の効果だと私は思います。今までの教育と別個のものとして手帳があるわけではなく、それまでの教育の延長線上に手帳があるのです。たとえば私の前任校では学校全体で食育というテーマを持っていましたので、生徒たちには手帳に朝ご飯を食べた時間に〇をつけるよう指導していました。生徒に何をさせたいかによって、学校ごとに様々な手帳の目的・使い方があると思います。


■生徒の「手帳活用の波」を乗り越える指導方法

生徒には一生懸命書ける時期、書けない時期が波のようにある子が多いです。毎日コンスタントに書けるのは2~3割で、それ以外のほとんどは活用に波のある子です。

手帳を活用できる生徒を増やすには、学校生活の中で手帳を使う場面を多く設けることがポイントだと思います。たとえばテスト範囲を書いたプリントを手帳サイズにして手帳に貼らせる、授業中に連絡事項を手帳に書くよう声掛けするなどです。学校生活と手帳をリンクさせると、生徒は否応なしに書くようになりますね。

手帳が有効に働くのは、生徒たちを学力で分けた時に中間層にあたるグループですね。頑張ろうとはしているけれど、どうしたらいいか分からないといった子たちに手帳が非常に有効だと感じます。私はこのグループの生徒が手帳を使い、自身の成長を実感してくれるのが、学校におけるスコラ手帳導入の成功だと思っています。このグループの子たちが変化して学力も伸びていくと、生徒の変化が見えて先生方からも「大変だけどやってよかったね」という声が出てきます。手帳の価値を感じ、卒業したあとに「先生、スコラ手帳はどこで買えるんですか」と聞いてくるのもこのグループの子たちですね(笑)。

あとは学校生活と手帳がうまくリンクすると、他のグループの子たちもどんどん活用するようになると思います。そこは先生方の働きかけが大きく影響してくるところではないでしょうか。


■校内浸透

スコラ手帳の取り組みは、最初は自分の担当学年の8クラスから始めました。翌年は他学年の先生方に「スコラ手帳を使い始めて生徒が自分でスケジュールを管理するようになり、忘れ物が減り、自らを振り返るようになりました。生徒とのコミュニケーションにも効果を感じています。学校全体で手帳活用に取り組めばさらに活用が促進されると思うので、ぜひ全校でやりましょう」と私から働きかけて、前後の学年も巻き込んでスコラ手帳を使うようになりました。管理職からもお墨付きがあり、そこからは学校全体にスコラ手帳がシステムとして根付きました。ポイントは誰かが学校全体を考えて、スコラ手帳の活用をコーディネートしていくという点です。学校教育の方向性と紐づけて手帳活用を推進していくという役割が必要だと思います。


■ICT機器と手帳の違い

日本全国の学校でデジタル化が進む中、デジタルとアナログの手帳の位置づけに悩まれている学校も多いのではないかと思います。手帳は紙の束であって、自動で何かをやってくれるわけではないですが、自分の考えた通りに書き込むことができますし、一覧性があります。これが手帳のメリットだと思っていますし、デジタル化が進んでも手帳は生き残っていくのではないでしょうか。今後はICT機器と手帳を別々で考えるのではなく、どのようにデジタルとアナログを連携させるか、手帳を使いやすくするためにどうICT機器でサポートしていくかを考えることが大切だと思います。



株式会社NOLTYプランナーズ