The Teacher's Learning

大阪府立吹田東高等学校・前校長・東知佐子先生の挑戦に学ぶ “信頼から始まる” 学校改革のリアル
取材日 : 2025.06.06
大阪府立吹田東高等学校 前校長

東知佐子 先生

大阪府立吹田東高等学校・前校長・東知佐子先生の挑戦に学ぶ “信頼から始まる” 学校改革のリアル

この記事の内容と読みどころ(サマリー)
本記事では、民間企業から公立高校校長を経て、現在は大学や教育行政の場でも活躍されている東知佐子先生のキャリアに迫ります。
吹田東高校での5年間、東先生が一貫して大切にしてきたのは「先生を全肯定する」こと。
心理的安全性に満ちた職員室づくりを土台に、教員の挑戦を支え、組織風土や生徒の学びのあり方までを大きく変えていった軌跡を、具体的な施策や数値とともに紹介します。
校長や管理職、教育委員会の方々はもちろん、日々教育現場に向き合っている先生方にとっても、明日からの実践のヒントとなる一編です。

読み終わるまでの目安時間:7分

みなさん、こんにちは!

現場の先生方の実践を紹介する連載「プロジェクトE」。第5回は、千里金蘭大学 アドミッションセンターの東知佐子先生にお話を伺いました。

東知佐子先生の略歴

東 知佐子(あずま・ちさこ)

千里金蘭大学 アドミッションセンター勤務。前職は(株)ベネッセコーポレーションで高校・大学向け事業に従事し、2020年より大阪府立吹田東高等学校にて民間出身校長として5年間勤務。現在は大学業務の傍ら、キャリア講師・NITS(独立行政法人教職員支援機構)フェローとしても活躍中。

“まずは先生を全肯定”――職員室の空気が変わるとき

「教員はもっとクリエイティブであっていい。まずは大人が挑戦する姿を見せなければ、生徒も挑戦できません。」

就任当初の1年目はあえて静観し、2年目から自らの方針を打ち出し始めた東先生。

目指したのは、「職員室の心理的安全性の向上」と「生徒・教職員のチャレンジ支援」の両立でした。

具体的アクションと仕組みづくり

数字と空気が変わった5年間

  • ストレスチェック平均値:令和2年〜5年で 104 → 95 → 85 へと大幅改善
  • 時間外勤務時間:約3分の2に削減
  • 校内文化:雑談+即相談が当たり前の風土に
  • 教員の変化:「もう主任はやらない」と話していた教員が再任。「守ってもらえている」という安心感から自発的に動けるように
  • 生徒の変化:探究活動で3Dプリンターによるプロトタイプ制作に挑戦するなど、行動の質が向上

東先生が描く、これからの教育

今の時代、40人学級を前提とした競争型リーダー育成では限界があります。

少子化とAI時代にふさわしい教育を実現するためには、教員自身がアンラーニングし、既存の前提を疑うことが不可欠です。

その中心を担うのは、やはり校長やリーダー層。

先生方が挑戦できる文化をつくることで、生徒への好影響も広がっていく――それが、東先生の信念です。

教員への投資が生む、もうひとつの変化

2021年度には「学校経営推進費」として約400万円を獲得。その半分を教員のために使用しました。

ICT環境の整備や研修、働き方改革への投資により、教員の自己肯定感やモチベーションが大きく向上。

「学校は先生に投資している」というメッセージが、静かに、しかし確実に組織文化を変えていきました。

今後の挑戦

  • 働き方改革コンサルティングの展開
    公立校でも教員に投資できるというモデルを全国に提示したい
  • ルールメイキング研修の普及
    生徒も教員も「自分でつくる経験」を通じて学ぶ文化を、より多くの学校へ

教員のみなさまへ

「“働く”を通して輝く人を増やしたい。先生が楽しんで挑戦してこそ、生徒の自己効力感も育ちます。

校長やリーダー層の方には、日々の言葉一つひとつが教員の行動に影響し、それが学校の雰囲気を決めていることを、ぜひ知っていただきたいと思います。」

取材あとがき

東先生のキャリアには、常に「人への信頼」と「挑戦へのまなざし」がありました。

「まず先生を全肯定する」という言葉の奥には、現場で葛藤する教員たちへの深い理解と、未来をともにつくろうとする強い覚悟が込められていました。

教育を変えるには、まず大人から――そんなメッセージに、私たち取材チームも心を動かされました。

この記事が、組織の中で模索しながら働く先生方にとって、ひとつの光となれば嬉しく思います。

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