みなさん、こんにちは!
現場の先生方の実践を紹介する連載「プロジェクトE」。第5回は、千里金蘭大学 アドミッションセンターの東知佐子先生にお話を伺いました。
東知佐子先生の略歴
東 知佐子(あずま・ちさこ)
千里金蘭大学 アドミッションセンター勤務。前職は(株)ベネッセコーポレーションで高校・大学向け事業に従事し、2020年より大阪府立吹田東高等学校にて民間出身校長として5年間勤務。現在は大学業務の傍ら、キャリア講師・NITS(独立行政法人教職員支援機構)フェローとしても活躍中。
“まずは先生を全肯定”――職員室の空気が変わるとき
「教員はもっとクリエイティブであっていい。まずは大人が挑戦する姿を見せなければ、生徒も挑戦できません。」
就任当初の1年目はあえて静観し、2年目から自らの方針を打ち出し始めた東先生。
目指したのは、「職員室の心理的安全性の向上」と「生徒・教職員のチャレンジ支援」の両立でした。
具体的アクションと仕組みづくり
数字と空気が変わった5年間
- ストレスチェック平均値:令和2年〜5年で 104 → 95 → 85 へと大幅改善
- 時間外勤務時間:約3分の2に削減
- 校内文化:雑談+即相談が当たり前の風土に
- 教員の変化:「もう主任はやらない」と話していた教員が再任。「守ってもらえている」という安心感から自発的に動けるように
- 生徒の変化:探究活動で3Dプリンターによるプロトタイプ制作に挑戦するなど、行動の質が向上
東先生が描く、これからの教育
今の時代、40人学級を前提とした競争型リーダー育成では限界があります。
少子化とAI時代にふさわしい教育を実現するためには、教員自身がアンラーニングし、既存の前提を疑うことが不可欠です。
その中心を担うのは、やはり校長やリーダー層。
先生方が挑戦できる文化をつくることで、生徒への好影響も広がっていく――それが、東先生の信念です。
教員への投資が生む、もうひとつの変化
2021年度には「学校経営推進費」として約400万円を獲得。その半分を教員のために使用しました。
ICT環境の整備や研修、働き方改革への投資により、教員の自己肯定感やモチベーションが大きく向上。
「学校は先生に投資している」というメッセージが、静かに、しかし確実に組織文化を変えていきました。
今後の挑戦
- 働き方改革コンサルティングの展開
公立校でも教員に投資できるというモデルを全国に提示したい - ルールメイキング研修の普及
生徒も教員も「自分でつくる経験」を通じて学ぶ文化を、より多くの学校へ
教員のみなさまへ
「“働く”を通して輝く人を増やしたい。先生が楽しんで挑戦してこそ、生徒の自己効力感も育ちます。
校長やリーダー層の方には、日々の言葉一つひとつが教員の行動に影響し、それが学校の雰囲気を決めていることを、ぜひ知っていただきたいと思います。」
取材あとがき
東先生のキャリアには、常に「人への信頼」と「挑戦へのまなざし」がありました。
「まず先生を全肯定する」という言葉の奥には、現場で葛藤する教員たちへの深い理解と、未来をともにつくろうとする強い覚悟が込められていました。
教育を変えるには、まず大人から――そんなメッセージに、私たち取材チームも心を動かされました。
この記事が、組織の中で模索しながら働く先生方にとって、ひとつの光となれば嬉しく思います。
※1 エンゲージメントカード®は、株式会社トリプルバリューが提供する価値観可視化ツールです。


