2022年度より全国の高校で「総合的な探究の時間」が始まります。
NOLTYスコラ探究プログラムの先生向け指導書の監修者、明和学園短期大学 田口哲男教授に、社会の変化、なぜ始まるのか、どのように指導すればいいのかを伺いました。
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《第5回 評価について》
「総合的な探究の時間で生徒をどう評価するか」
NOLTYプランナーズ(以下――)総合的な探究の時間で生徒をどのように評価したら良いでしょうか。
田口哲男氏(以下田口)探究に限らず評価全体について考えると、評価自体が信頼されるものでないといけないということです。また、特に大切なことは、多面的に評価をするということと、探究の過程の部分を評価するということです。
探究では、知識のみを測るわけではないので、量的なものというよりは質的なものを評価するということが必要になります。
ですから、最初に到達目標を決めることがすごく大切なことになります。生徒は目指す目標が明確になっていた上で探究を始めることができ、また先生も生徒と共有したものを評価することになると思います。
例えば、評価する基準を3段階に分けたり5段階に分けたりして生徒と共有した上で評価すれば、生徒も予め先を見通して活動できるし、共有しているので生徒が納得する評価の基準になります。
「学校として総合的な探究の時間をどのように評価するか」
――学校として探究の時間をどう評価したらいいのでしょうか。
田口 学校としての場合は、ひとつは先生方の指導の改善という部分があります。先生は生徒を評価する一方、自分の指導方法がそれで良いのかという振り返りの部分も捉えないといけません。
また、学校としての評価については、当初に決めた総合的な探究の時間の(第2の)目標に基づき実施することによって、どの程度達成できたかを見ることが必要です。目標が抽象的ではなく評価できるようになっていることも必要なことです。
評価について考えたとき、学習活動の一環としてのものもあります。例えば、自己評価や、(生徒同士の)他者評価は、その評価に先生が直接的に介在してないため、基本的にはそれは評定には繋がりません。
それは先生が直接生徒を観察しての評価ではないからです。
したがって、評定を考えるとき、自己評価や他者評価を直接的に加えるというのはどうかということになります。
自己評価については、学習活動として、自分を振り返るための重要な活動です。その評価は「自分を振り返ると、このくらいかな。他の人から見るとこういうことなのだな。」と学習活動の一環として自分の変化や成長の過程などを見いだせればよいのかなと考えています。
評価には「学校や先生の指導改善に関する評価」と「生徒の学習に関する評価」があります。
「生徒の学習に関する評価」の中には、「先生がつける評価」「生徒自身がつける評価」「他者(生徒同士)がつける評価」の3つがあります。
基本的には「先生がつける評価」だけが評定につながり、「生徒自身がつける評価」「他者(生徒同士)がつける評価」は評定の参考にする程度です。
田口 哲男(たぐち てつお) 氏
学校法人平方学園明和学園短期大学教授(https://www.hirakatagakuen.ac.jp/)
公立大学法人高崎経済大学非常勤講師 前群馬県立桐生高等学校校長
県立高校で「総合的な探究の時間」を実践するため学校体制や教員指導のための仕組みづくりに尽力する。
著書「高校における学びと技法 探究で資質・能力を育てる」(一藝社)
サイエンスインカレをはじめ理工系大学生対象支援事業企画評価委員〈文部科学省:2011年度~〉
日本バレーボール協会公認講師、日本スポーツ協会公認コーチ4、日本スポーツ協会公認コーチデベロッパー。
https://www.hirakatagakuen.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2019/07/4c7534d55b0b8139842fcbe98c6a9494.pdf