多くの企業や組織が作成しているノベルティー。何らかのノベルティーをもらった経験がある人も多いのではないでしょうか。
改めて、ノベルティーとは何を指すのか、販促品との違いはあるのか?といった今更聞けない素朴な疑問にお答えします。初めて販促の担当者になった方は、ノベルティーの基本的な考え方を知り、自社での作成を検討する際に役立てていただければと思います。
目次
1.ノベルティーとは何を指すのか
普段何気なく使っている「ノベルティー」という言葉ですが、その定義はどのようなものなのでしょうか。辞書には次のように記載されていました。
<国語辞典>
宣伝・広告のために、会社の名やスローガンなどを書き入れて配布する、景品や見本。
<流通用語辞典>
特殊広告の一種で、社名、商品名を入れて無料で進呈する贈りものの総称。かつては景品広告、実用品広告と呼ばれたこともあり、またスペシャリティ広告と呼ばれることもある(ライター、ボールペンなどに社名などを入れたもの)。
<広告用語辞典>
謝礼、粗品という意味を込めて、カレンダー、ティッシュペーパー、使い捨てライター、手帳、タオルなどに社名や商品名を書き入れて配る景品や見本をいう。プレミアムとは区別される。
ノベルティーを媒体とした広告をスペシャリティ広告(特殊広告)という。
少しずつ定義の幅は違いますが、どうやら「無料」「広告」というキーワードが共通しているようです。ノベルティーは、単なるプレゼントではなく、広告の1種として捉えるべきものなのですね。この認識があるかないかで、ノベルティー作成への意識が変わってきます。目的や効果についても考えながら、より意味のあるノベルティー作りをしていけるといいですね。
ちなみに、ノベルティーと同じような意味で使われる言葉として、「販促品」があります。同様に調べてみると、「販促品」は少し広い意味の言葉で、商品の認知度の向上や消費者の購入を促す効果を期待して配布されるもの全般を指すようです。
ノベルティー:商品の購入に関わらず無料で配布されるもので、広告・宣伝媒体の1つ
プレミアム:商品の購入に連動して配布されるもの
販促品:広く販売促進を目的として配布されるもので、上記2種類を含む
このような使い分けになります。
いずれも販売促進やマーケティングを目的としていて、区別なく言葉を使用されることも多いようですが、本来の意味を見てみると少し違いがあることがわかります。
2.ノベルティーによってどのような効果が望めるか
費用をかけて作成するのですからノベルティーの効果についてはきちんと理解しておきたいものです。ノベルティーはその特性から、次のような効果があると言われます。
〇認知度、好感度の向上
まず消費者の手に渡った時点で、それまで知らなかった企業であれば知ってもらう機会となり、無料でものをもらったことで好感度が少し上がります。もらってうれしいものであれば、より好感度が上がるでしょう。さらに、社名やロゴが入っていれば使用する度に目に入り、継続的に認知してもらえます。それまであまり意識していなかった企業でも、急に身近な存在になることができるのです。これについては心理学の法則でも、効果が明らかにされています。
★単純接触効果(ザイオンス効果)・・・最初は興味がなかった物事や人でも、何度も接するうちに、好きになっていく心理的現象のこと
下記は弊社が行った調査で「ノベルティーについて、もらった会社名を覚えているか」という質問への回答です。(手帳・ダイアリー・ボールペンそれぞれについての回答の平均値)
もらったことがある人の中では大半が「覚えている」、あるいは「見ればわかる」と回答しています。この結果からも認知に一定の効果があることがわかりますね。
〇ブランディング効果
企業にとって、自社のブランディングは大きな課題の1つです。ノベルティーは単に認知してもらうだけではなく、「どう」認知してもらうか、という点でも役に立ちます。ノベルティーは広告の1種とお伝えしたように、伝えたいイメージや情報も載せられるのが、本来のノベルティーの意義です。自社のブランディングにどのように生かすか、ということを意識してノベルティー作りをしていくと大きな効果が得られるでしょう。
3.こんなノベルティーは要らない!
ここまで読むとノベルティーはいいことばかりのようですが、逆に「要らない!」と思われてしまうものもあるのが事実です。そう思われてしまうと、企業イメージに対してもマイナスに働いてしまいます。そんな注意したいアイテムの特徴について、ご紹介します。
〇実用性が低く、ターゲットが限定的
フィギュアやぬいぐるみ、キャラクターグッズなど
〇好みに左右されるファッション系アイテム
帽子やジャケットなどのアパレル系グッズ。身に着けるもの。
〇あまりにも安っぽい
吸水性の全くないハンドタオル、書き心地の悪いペンなど
ノベルティーは無料で配るとは言っても、もらった人に喜んでもらえるかどうかという観点は抜かしてはいけません。なぜなら広告は嫌われないようにすることが大きな命題の1つだからです。
逆に企業イメージを悪くしてしまうことのないように、ユーザー視点で慎重に検討しましょう。
4.近年注目のノベルティーは?広告としての適性を分析
ノベルティーに使用されるアイテムの種類は、非常に安価なものから高級感のあるものまで様々です。ここでは近年の注目度の高まっているアイテムを4種類ご紹介しつつ、その「広告」としての適性について考察してみたいと思います。
〇除菌用ウェットティッシュ
コロナ禍で、ただのティッシュに代わり除菌用ウェットティッシュの需要が急速に増えました。単価も30円~50円程度とお手頃です。ただ、オリジナリティーが出しづらく使い捨て要素が強いため、広告媒体としての適性はやや低めだと言えます。
〇マスクケース
こちらもコロナ禍で需要増となったアイテムの1つです。PP素材から抗菌タイプのものまで、素材も様々な種類のものが出ています。自分では買わないけれど、もらったら使いたい、というアイテムの1つですね。色や素材を選択できるものでオリジナリティーを出せれば広告効果が高めだと言えるでしょう。
〇エコバッグ
すっかり私たちの日常に定着したエコバッグ。いくつあっても困らず、意外と消耗するので喜ばれます。サイズやタイプが多様なので、予算やコンセプトに合わせて自由に選べるのも魅力です。ただし宣伝したいからといって、企業名を目立たせすぎないよう注意したいところです。
〇脱プラ素材のグッズ
SDGsへの注目度が高まってから、脱プラ素材のグッズもたくさん出てきています。販促グッズを扱う展示会ではカトラリー(箸とスプーンセット)やストローに多くの人が集まっていました。環境配慮したグッズは使う際の満足度も高く、好感度アップに貢献してくれるので広告効果は高めだと言えます。
5.ノベルティーを配るのに最適なタイミングは?
ノベルティーをいつ配るかは、新商品・サービスを発売するタイミングやマーケティング戦略などにより決定されることが多くなります。タイミングに迷う場合には次のような行事やイベントを狙うのもいいでしょう。
<自組織のタイミングに合わせる>
・周年記念
・販促イベントと合わせて作成
<消費者のタイミングに合わせる>
・新生活
・ボーナス
<季節性を出す>
・クリスマス・ハロウィーン
・お正月 など
まとめ
私たちが何気なく使っている「ノベルティー」という言葉と意味に注目し、その効果まで再確認してみました。特に、広告媒体の1つとして作成するものであるという点は、しっかりと認識しておくべき重要な要素です。ノベルティーは単なる「おまけ」とは異なるということです。
この点を踏まえ、なんとなく作るのではなく、しっかりと目的や効果についても考えて作成すれば、認知度の向上やブランディングに、より高い効果を出すことが可能となるでしょう。