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NOLTYスコラ プログラムの導入事例

NOLTYスコラ プログラム

導入校の事例をご紹介します。

独自の取り組みから得る成長。
取材日 : 2019.08.14
  • 高等学校
兵庫県立西宮高等学校 様

独自の取り組みから得る成長。

大正8年、西宮商業補修学校として開校。創立百周年を目前にする高等学校。普通科・音楽科・国際経済科(平成23年度から募集停止)の3科を持ち、それぞれの科が個性を発揮し互いに切磋琢磨しあっている。校訓に「質実剛健」を掲げている兵庫県立西宮高等学校。様々な工夫を凝らした能率手帳スコラの指導方法についてキャリアガイダンス部の森本 秀美 先生にお聞きしました。

プロフィール
1919年(大正8年)に創立され、単位制を生かした教育指導をすすめることで生徒たちに積極的に挑戦する姿勢を作り、「個性を伸ばす」、「主体性を育てる」県立高等学校。2013年(平成25年)キャリア教育優秀校として表彰されている。

第1回手帳甲子園最優秀校受賞校

手帳甲子園の詳細はこちら
都道府県 兵庫県

能率手帳スコラの導入

能率手帳スコラ導入のきっかけについてお聞かせください。

手帳甲子園の導入事例集にもあるように、「生徒の家庭学習のさらなる充実」、「生徒の基本的生活習慣のさらなる確立」は本校だけではなく、全国の中学校、高等学校においても大きな課題であると思ったからです。様々な学校が多くの取り組みを実施し、本校においてもいくつかの取り組みを実施していますが、それが煮詰まってきているように感じていました。そのような時に能率手帳スコラを知り、新しい角度から家庭学習の習慣付け、基本的生活習慣の確立という点をサポートできるのではないかと考えたのが導入のきっかけです。

導入にどのような取り組みをされましたか?

導入後の手帳がどのような状況であるかを点検する作業は必須ですが、「点検・指導」をする教員にとって負担にならないように、ということを念頭に置きました。そのためには個別で行う点検活動と並行して、学年全体として指導できる取り組みが必要だと考えたんです。その1つが、初期指導です。学校全体で取り組む指導は初期指導にて行うことで、個別での指導の負担を減らすことができますよね。また、学校全体だけでなく、クラス単位での指導においてもアドバイスをしました。このような取り組みで、教員の共通理解も進んだため、手帳の導入はスムーズに行えたんじゃないでしょうか。

教員への負担にならない取り組みとは、具体的にどのようなものですか?

各教員には「OK」「がんばれ」「グッド」の3種類の判子を渡し、生徒へのコメントへの対応については判子だけでも構わない、と伝えました。また手帳の点検において、担任とともにキャリアガイダンス部、あるいはその他の学年の教員も参加できないだろうか、といったことを考えていました。

担任でない先生も協力したということですが?

はい。1ヶ月を上旬・中旬・下旬と3分割し、点検する教員を割り振りふって、それぞれの日付を生徒の出席番号と連動させました。 例えば40人のクラスにおいて、19日であれば、出席番号9、19、29、39番の4名の生徒の手帳を朝のショートホームルーム時に集め、点検・確認の上で早ければお昼時、遅くとも終礼までに返却をします。
上旬・中旬・下旬と3分割し、点検・確認をする教員を割り振ることで、担任の負担を大きく減らすことができました。またこのような仕組みは、担任以外の教員も生徒の状況を把握できるため、楽しくモチベーションも上がるみたいです。

能率手帳スコラを活用した取り組み

具体的にどのようなアドバイスを担任の教員にされましたか?

1年生への導入初期の点検・確認作業は重要であると伝えました。ただし、点検・確認作業で手一杯になってしまい、長続きがしなくなってしまうのは、教員にとっても生徒にとっても良くないことですよね。だから、基本的なアドバイスは行いながらも、点検・確認作業については担任の主体性にお任せしています。

なにか具体的な取り組みはありますか?

例えば、ある教員は日直当番がその日の連絡事項を聞きにくる時に手帳を持ってこさせ、その時点で確認をする、というような決まりを作ったり、あるいはショートホームルームで机間巡視をしながら点検・確認をする、といったような、それぞれの先生が様々な工夫を凝らした指導をしていますね。そのような工夫をすることで担任の先生が指導しやすい形で進められているのは良いことだと思います。

年間を通した取り組みについてお聞かせください

本校においては、手帳の取り組みの位置づけはキャリアガイダンス部が行っており、キャリアガイダンス部の3つの柱の内の1つとして手帳指導を位置づけています。また1年次生と2年次生は単位制となっており、1年次生は「リサーチ1」、2年次生は「リサーチ2」という授業を週に1時間設けています。この授業において、手帳指導を含めた3つの柱を中心に指導を行っています。

具体的に、どのような指導をされたのですか?

「リサーチ1」と「リサーチ2」の授業は手帳活用についての全体指導をしているんです。特に「リサーチ1」の4、5月の授業では、初期指導として提供頂いたDVDを用いて授業を行うなどの取り組みをしています。DVD視聴時には、ワークシートを活用し、生徒たちがその場で何を書いたのか、といった確認をしています。生徒たちにわかりやすいように少しずつ工夫を凝らしながら、全体指導を行っています。全体指導が上手くいくことで、個別の指導も進み、生徒たちも自然と取り組んでいけるようです。

教育の一環としての能率手帳スコラ

能率手帳スコラを活用した指導方法についてお聞かせください。

まず4、5月には初期指導の取り組みを行います。 夏休み明けに「KSD(県西手帳=県西スクールダイアリー)コンテスト」を開きました。 手帳甲子園の時にもお話しさせて頂きましたが、このような名前をつけて愛着を促すことはとても大切なことだと考えています。「KSDコンテスト」では1学年の教員の方々に大きな協力を頂きました。生徒全員が参加できるように、「月間カレンダー部門」「週間カレンダー部門」「月間学習・部活時間部門」「週間学習・部活時間部門」「デザイン部門」の5つの部門を設け、各部門において1位に選ばれた生徒の表彰を行いました。

夏休み明けにコンテストを開く理由をお教えください。

10月の定期考査に向けて、9月末に手帳コンテストを開催することで連動させました。 そのおかげで、生徒を手帳を確認、活用するように仕向け、学習時間を意識させることができました。生徒にとって、夏休みや冬休みのような長い休みの期間に手帳をつけるのは難しいと思いますので、休み明けにきっかけを作るように指導を行っています。例えば、冬休み明けには「手帳強化月間」を設け、定期考査に向けて日々の学習活動について手帳を活用して生活を見直そう、と毎朝のショートホームルームで指導をしています。

学年通信を利用して、手帳の使い方やコラムを掲載しているとお聞きしましたが?

はい。年次通信という学年通信において、「KSDコンテストの情報」や、「KSDの使い方事例」などを発行の度に掲載しています。「KSD」の情報を発信することに対して、学年全体で協力して頂いていると強く感じています。

独自の取り組み、ポスターによる指導

構内に掲示しているポスターのキャッチコピーについて教えて下さい。

7月に「KSD」について生徒たちからアンケートをとったんです。それで、そのアンケートの中で生徒が記述してくれた文章のうち、わたしたしが共感した部分をキャッチコピーとして利用することにしました。
話は少し変わりますが、手帳の活用において、教員の指導だけではなく、生徒間で真似し合うようなことも大切だと感じているんです。教員の指導内容を習得してもらうことも教員として大変嬉しいことですが、生徒たちでお互いに高め合うことも大切なことだと考えています。「リサーチ1」、「リサーチ2」の授業でも生徒たちには伝えておりますが、本物の学問、本物の職業を学ぶということを大きなテーマとして指導しています。同級生の中でも「すごいことをしている」「すごい取り組みをしている」「とても頑張っている」という事を真似しなさい、と指導をしています。

アンケートから分かる生徒にとっての手帳

生徒たちはアンケートにどのような記述をしているでしょうか?

「手帳を使って行動や日常的な、あるいは学習に対して変化したことは有りましたか?」という質問や、「自分にとって手帳が定着しているか?」という質問に対しては、定着していないのであればしていない理由が事細かに記述されていました。自己評価において手帳が定着していない生徒は3割ほどとなっています。なかには指導通りに手帳との相性が合う生徒もいるようで。ただしっかり書けていると教員が思っていても、生徒本人としてはまだ不十分だと、自己評価している生徒もいます。「1年の初めに心に決めた目標が今でも忘れずに大きな目標になっています。」といった感想もありましたね。

その他の感想はどうでしたか?

「2年次の手帳への決意や感想について書きなさい」という質問があったんですが、みんなしっかりと記述していて、内容から生徒たちがとても健気だと分かりました。97〜98%の生徒が、来年度はもっと頑張ろうと書いてくれています。そういった意味では、2年目の手帳指導がターニングポイントなのではないかと思いますね。学校では取り組みを継続的に進めていくことで、生徒自身が自らの力になっていることに気付き、来年も頑張ろうと意識づくように指導をしています。

また中学生の保護者、生徒への学校説明会ではしっかり書いた手帳は人生の宝物、一生の宝物になると伝えています。手帳で高校生活の充実を図れるとしたら、2つの宝物を得て卒業が出来、1つは生徒の第1希望の進路先、もう1つは3冊の甘酸っぱい思い出がたくさん詰まった一生の宝物としての手帳になる、とも伝えていますね。教育現場は数字での結果が問われることが多くありますが、数字としての結果だけが教育ではないことも事実です。そのような3年間形に残る能率手帳スコラが、生徒たちの思い出として残ることが出来れば、それはとても嬉しいことですから。

能率手帳スコラのメリット

スコラを1年間活用しての効果は感じていますか?

更なる成果が出るのは2年目以降なのではないかと考えていますが、1年目の成果として、日々の忘れ物がなくなった、宿題の提出日に遅れなくなったといった成果はアンケートでも把握出来ました。また、2年目では「学習に関することを自主的に書いていきたい」とも生徒自身がアンケートに答えています。

能率手帳スコラを1年間活用してみえてきた課題があればお聞かせください。

課題としては、複数名の生徒が点検について違和感を持っているということです。点検をすることの意味についても、保護者の皆様、生徒たちにも説明をしていますが、「点検されること」に対しての違和感を持ってしまっているようです。 その違和感については、とても理解できるんですけどね。

解決策はなにかお考えでしょうか?

実現できるかどうかは分かりませんが、違和感をなくすアイディアとして、手帳の活用が定着し、点検の必要がない生徒には「点卒シール(点検卒業を記すシール)」を配布しています。
手帳の点検がなくなることで、違和感をなくすことも可能となり、2年目の手帳指導としても活かすことが出来るのではと考えています。中学校では出来るだけ丁寧に指導をすることで、定着していくかと思いますが、高校では丁寧すぎる指導も生徒のためにはならないと思うんです。距離を置いた指導の中で、生徒たちが自主的な考えを持てるようになれるのではないかと思います。教育現場ではなかなか上手くいかないかもしれませんが、そういった願いはあります。

能率手帳スコラを活用し、興味深い取り組みをしているのですね。

手帳甲子園の事例集冊子にも書いてありますが、本校では生徒へのきめの細かい指導を目指しています。手帳指導についても、様々な工夫を凝らし学校生活において、きめの細かい取り組みの一環としての位置づけを持っています。本校としても手帳指導の取り組みをキャッチフレーズとして持てることが出来るのは良いことだと思います。

能率手帳スコラのメリットについてお聞かせください

1ヶ月前、2ヶ月前はどうだったかと振り返ることが出来るのは大きなメリットです。 本校でもファイルに綴じる用紙を活用していましたが、家庭学習の取り組み内容が中心となるので、生活全体を見通すには物足りないものでしたから。能率手帳スコラには、提出物の忘れ物を減らすということはもちろん、手帳に書くことで沢山の友達の誕生日を祝えるようになったといった、生活の一部としても取り入れることが出来ているという点があります。過去を振り返ることで、記憶を思い返し、やらなければならないことに気付くことができることが大きなメリットといえます。生徒たちのそのような意見を確認することで、教員としても学ぶべきことがありますね。

株式会社NOLTYプランナーズ