子どもたちの現状を変える手段としての手帳
『スコラ』を採用する前は、どのようなキャリア教育を行っていたのですか?
(伊集満枝先生)
本校が「キャリア教育」に本格的に取り組み始めたのは3年ほど前。それまでは、キャリア教育はインターンシップをやればよいという認識にすぎませんでした。以前は「キャリア教育=就職教育」という考え方がメインでしたが、最近は「生き方教育」へと舵を切るようになっています。そういった世の中の変化と時期を同じくして、本校でも生徒たちのキャリア教育に別の角度から取り組む必要があると実感するようになったんです。
(前泊究治先生)
その頃、私たちが一番気にしていたのは、生徒たちが目的や目標がないまま、なんとなく学校生活を送っているということでした。そのような気持ちのまま卒業し、進学や就職をするのですが、結局、定着せずにすぐ辞めてしまうというケースが少なくないのです。そういう状況をなんとかしたいと感じていましたね。
(伊集満枝先生)
本校ではそれ以前、進路学習がまったくなされていなかったのも、要因のひとつでした。普通校であれば、たいてい1年生から卒業後を見据えた進路学習を指導するのですが、そういう機会がなかったんです。しかしながら、卒業後の出口が決まればよいということではなく、生徒たちが卒業後も自立して生きていけるように学校は育てていく必要があります。その最もよい教材が、キャリア教育。キャリア教育を充実させることで、生徒たちの意識改革を実現できればと。
前任の校長先生が『スコラ』に興味を持って導入を決めたとのことですが。
(伊集満枝先生)
はい。上のような問題意識を抱えていた頃、前任の校長が『スコラ』について書かれた新聞記事を目にしたのがきっかけですね。「手帳の導入を考えてみてほしい」という話が進路指導部にあり、具体的な検討が始まりました。「子どもたちが抱える問題を解決し、現状を変えてあげたい」という思いが前校長にはあったんだと思います。これが平成23年春のことです。
どのような活用をしようと考えていたんですか?
進路指導部では「手帳を導入する」というミッションを受けて、さっそく『スコラ』のサンプルを取り寄せました。このように、まずは「手帳ありき」でスタートしたプロジェクトですが、どう使うべきか考えたときに浮かんだのが、新しいキャリア教育に活かすという道でした。具体的にどのようにキャリア教育に活かせばよいのか、ブレインストーミングを重ねた結果、子どもたちを「自立させる」ために一番役立つツールが手帳だと分析したんです。 そこで、まずはお試しに平成25年度から本校がオリジナルで作成した手帳を使い、生徒たちに使わせてみることにしました。1年間の試用期間を経て、今年度から全校生徒に『スコラ ライト』と『スコラ』を導入しています。