生徒の目標を実現するための学生手帳「明日を映して」
先生が自作の「明日を映して(学生手帳)」を作られたきっかけを教えて下さい。
まず、教育の現場にいる我々が、生徒に必ず言って聞かせることがあります。「生活習慣をつくるんだ」ということです。では具体的に、なにをどう指導していくんだ、というとなかなか出来ないでいたのですね。こうした溝を埋めるためにどうすればいいかということで、こうした名前にしたんです。
ほとんどの学校で実施していると思うのですが、学校では年に数回学習時間調査というものをやります。生活実態調査などと言われる場合もあります。また、我々教員は夏休みなどの長期休業の学習計画や記録、テスト前の計画などを生徒に作らせるわけですね。 そういった、バラバラになっている計画・記録などの情報を全て一つにできないか、という考えもありました。これまで、学校がそれぞれに用紙を作って実施していたのですが、それを一冊にまとめられないかということです。私の前任校では、一冊にして生徒に生活の記録をさせていました。
「明日を映して」には前任校での経験が活かされているんですね。
そうですね。こうしたことを考えあわせて、昨年本校で作成した手帳が「明日を映して」というものでした。本校の学校行事を全て入れ込んで一冊の冊子にしました。これを生徒に持たせて、指導していこうと1年次で決めました。「明日を映して」というのは、本校の校歌の一節からとりました。年次便りが「燃え立つ我ら」で、その前が「明日を映して」です。このネーミングは、生徒の評判があまり良くありませんでしたが(笑)。
実際に「明日を映して」を面談等に使うのは担任の先生なので、作成にあたってまずは1年次の担任の先生方に話をしてみて始めたということです。
「明日を映して」は生徒へスムーズに浸透したのですか?
生徒たちに、「生活の記録をとっていくとあなた方の高校生活の質が変わるんだ」ということを充分に伝えることができなかった所があり、うまく活用できないところもありました。一年間を通して記録をさせながら、我々もこれを面談等で使いました。徐々に浸透していったと思います。
ただし、昨年の場合(「明日を映して」使用開始の初年度)は、1年次のみの実践でしたので、指導に限界はありました。生徒が接するのは、担任の先生、部活動の先生、その他いろいろな先生方がいるわけです。年次を超えて、学校全体の実践としないと、なかなかうまくいかないというのが昨年の反省点でした。
具体的に使いこなすための指導を行なったとお聞きしました。
まず、朝のショートホームルームで、担任が色々な連絡をします。その内容を手帳に書きこませるようにしました。これからの予定であるとか、提出物は何日までに出すとか。担任の先生方も色々と考えてくれました。あらかじめ小さなホワイトボードに連絡事項を書いて黒板に貼り、その内容を生徒自身が手帳に書きこむ。こんな、アイデアを出して実践している先生もいます。
生徒には毎日記録をさせますが、担任の先生は毎日確認することは難しいので、大体週末に1週間単位で見ていきましょう、ということにしています。担任の先生は朝に手帳を集めて、1日のどこかの時間に集中してチェックし、簡単にコメントを書いて放課後に返す。こんなことを行なっています。
生徒への指導はどうされましたか?
生徒には、「ホームルーム以外の場所にも、教科書、ノートに加えて手帳も持っていけ」と指導しています。すると、教科担任が、授業中に「来週小テストだぞ」と言った時に、書き込むことができます。実際そうしている子もいます。さらに、いろんな活用ができるんだろうなと思います。担任の先生方も、いろんな知恵を出しています。コメントを書いたあとに、担任の先生方が生徒に手帳を返します。そのときに、手帳の中に名前が書いてあると、中身を開かないとだれのものかわかりません。そこで、ビニール表紙に名前を貼るというアイデアを出した先生もいます。これからも、いろんな人たちのアイデアが出されて、だんだんうまく使えるようなものになっていくんだろうと思います。