現在、人材育成において注目されているのが「リフレクション」です。本来は「反省」や「内省」といった意味を持つ言葉ですが、ビジネスの面では客観的にじっくりと自分の仕事や考え方について考えることを指します。
リフレクションを実施することで、人材育成にも役立ちます。しかしリフレクションをより良いものにするためには、いくつかの注意点を守らなければなりません。
この記事では、リフレクションとはなにか、人材育成の面でなぜ重要視されているのかを解説します。リフレクションについて知りたい方はぜひご覧ください。
目次
リフレクションとは
リフレクションという言葉には、本来「反省」や「内省」といった意味があります。ビジネスや人材育成の現場では、日常の業務から離れて客観的に自分の仕事や考え方に対する振り返りを行うことを指します。
リフレクションを実施することで、次のようなメリットがあります。
・新たな効率化の方法を見つけられる
・業務の改善点を見つけられる
・今後問題が起きた場合の対応策を見つけられる
「リフレクション」と混同されやすいのが「反省」です。反省では、主に悪い点に注目するのに対して、リフレクションでは良い点にも悪い点にも注目します。
フィードバックも、リフレクションと混同されやすい言葉です。フィードバックは、他者から与えられます。一方、リフレクションでは自分自身で振り返りを行います。
人材育成におけるリフレクションの重要性
リフレクションは、人材育成に取り入れられることがあります。人材育成においてリフレクションが重要な理由は、以下の通りです。
1. リーダーシップを持った人材を育成できる
2. 生産性の向上につながる
3. 仕事への意識が高まる
それぞれの項目について、詳しく解説します。
1. リーダーシップを持った人材を育成できる
リフレクションでは、主観を排除し、できるだけ自分を客観的に評価することが必要です。チームやその場の状況を客観的な視点から考え、冷静に分析したうえで今誰が何をすべきか判断できる人材は、リーダーに適しています。
リフレクションは、自分自身の振り返りとして役立つだけでなく、物事を客観的に見る訓練としても活用できます。そのため、人材育成にリフレクションを取り入れると、リーダーシップを持った従業員を育成できるのです。
2. 生産性の向上につながる
リフレクションを実施すると、各従業員がそれぞれ自分自身の業務を効率化できます。多くの従業員が業務の効率化を進めることで、全体の生産性が向上するでしょう。
リフレクションを通して、自分自身の業務だけでなく、チームや部署全体に関連する業務のムダを発見できる可能性もあります。多くの従業員がリフレクションを行うことで、さまざまな視点から、生産性向上のためのアイデアが生まれる点もメリットです。
3. 仕事への意識が高まる
リフレクションで仕事や考え方を顧みることで、自分自身が次にやるべきことが見えてきます。やるべきことが明確になれば、仕事への意識やモチベーションの向上につながります。
さらに、リフレクションを定期的に繰り返すことで、自分自身の得意なこと、苦手なことが見えてくるでしょう。得意なことに取り組む時間を増やし、苦手かつ重要度の低い業務は削減することで、仕事への意識を高められます。
リフレクションを実施する際の注意点
リフレクションを効果的に実施するためには、次の3つのポイントに注意しましょう。
1. 外部の環境にばかり注目しない
2. 積極的に良い面を見つける
3. リフレクションのための時間を確保する
それぞれ、詳しく解説します。
1. 外部の環境ばかりに注目しない
振り返りを行う際に、外部の環境に注目したくなる場合があります。例えば「あのとき売上が上がらなかったのは、ライバル企業の商品が強力だったからだ」といったような考え方です。
もちろん、それが事実の場合もあるでしょう。しかし、ライバル企業の動向は、自分自身の行動で変えられるものではありません。外部の要因にばかり注目していると、自分自身の行動を改善する機会を逃してしまうでしょう。
リフレクションでは、自分がどう行動しどう考えたかに注目し、今後行動や考え方をどのように変えるべきか、もしくは変えずに貫くべきかを考える必要があります。
2. 積極的に良い面を見つける
振り返りでは、悪い面に目が行きがちです。できなかったこと、失敗したことは記憶に残りやすく、振り返りの際にどうしても思い出してしまうためです。
しかし、リフレクションでは良い面を見つけることも欠かせません。良い面を見つけることで、成果につながる良い行動がどのようなものかがわかります。さらに、良い面を見つけて伸ばすことは、悪い面を改善するよりも少ないストレスで取り組め、生産性の向上につながります。
このように、リフレクションの際には、積極的に良い面を見つけることが大切です。良い面を考えることで、自然と悪い面も見つかるでしょう。
3. リフレクションのための時間を確保する
リフレクションを実施すると決めたら、そのための時間を確保しましょう。毎日の業務に追われながら「時間が空いたらリフレクションをしよう」と考えるだけでは、どうしても後回しになってしまいます。
リフレクションに十分な時間を当てられるよう、「毎週金曜夜」「毎月最終出勤日」など時間を決め、スケジュールを確保してください。
リフレクションには手帳を使うと便利
リフレクションの際には、頭で考えるだけでなく記録を残すことが大切です。人間は忘れやすい生き物であるため、一度リフレクションでじっくり考えたことでも、時間が経つと忘れてしまうためです。
記録の方法はさまざまですが、中でも手帳はリフレクションの記録に適したツールです。自分の手で手帳に書き出すと、書いた内容が記憶に残りやすくなります。また、記録のために手を動かすことで、考えを整理できることもあります。
手帳を使ってリフレクションを実施するなら「KDAフレームワーク」を活用するのがおすすめです。
K・D・Aはそれぞれ英単語の頭文字で、次のような意味があります。
K(keep) | うまくいったこと・続けること |
D(Discard) | 失敗したこと・やめること |
A(Add) | 新たに始めること |
手帳に自分の考えたことを書き出し、それぞれの項目をK・D・Aのいずれかに分類します。手帳のページを3つに分割するなどして、項目ごとに書き出すとわかりやすいでしょう。
3項目それぞれの内容を書き込んでいるうちに、まとめて対処できる方法が見つかることもあります。項目を超えて関連する内容が発生した場合には、印やメモなどを残しておくと、後で確認する際にわかりやすいです。
手帳に記した内容は、こまめに見返す習慣をつけましょう。とるべき行動を意識しながら仕事に取り組めるため、リフレクションの効果が高まります。
また、リフレクションの際に手帳を確認し、前回はどのようなことを考えていたのかを見返すことも効果的です。前回のリフレクションの内容をどのくらい意識して行動できたか、やるべきことをどの程度達成できたか、などを評価し、リフレクションをより有意義なものにできます。
人材育成にリフレクションを取り入れよう
リフレクションとは、自分自身の行動や考えを振り返ることです。リフレクションを行うことで、業務の改善や生産性の向上につながる可能性があります。
リフレクションは「時間があるときに取り組もう」と思っても、なかなか実施できるものではありません。リフレクションを実施する際は、事前にスケジュールを確保しておきましょう。
リフレクションの記録を残すためには、手帳が便利です。手帳に記録してすぐに見返せるようにしておけば、リフレクションの効果が高まります。
この記事を参考に、ぜひリフレクションに取り組んでみてください。
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