COLUMN

2022.05.12

インナーブランディングとは?目的や手法・メリット・デメリットを解説



企業運営の中で「社員にあまり理念が浸透していないのではないか」と感じたことはないでしょうか。

そんなときに実施したいのがインナーブランディングです。


インナーブランディングとは、社員や株主など内部の人向けに行うブランディングのこと。インナーブランディングを行うことで、離職率の低下や社員のモチベーションアップなどが期待できます。

本記事では、インナーブランディングの目的や手法について解説します。インナーブランディングの実施を検討している方は、ぜひご覧ください。

目次

インナーブランディングとは




インナーブランディングとは、自社のビジョンや企業理念、価値観を社員に浸透させるための活動のことです。

ブランディングというと、顧客や取引先など外部に向けて行う印象がありますが、インナーブランディングは、社員や株主など内部に向けてブランディングを行うことを言います。

内部向けのインナーブランディングに対し、外部に向けたブランディングを指す言葉が、エクスターナルブランディングです。エクスターナルブランディングでは、主に企業や製品・サービスなどの魅力が語られます。また、ロゴやキャッチコピーなどを利用して、企業の雰囲気や理想を伝えるのもエクスターナルブランディングの手法です。

インナーブランディングで求められているのは、企業の成長に貢献する人材の育成です。企業理念や価値観への理解度が深まれば、社員一人一人の仕事に対する取り組み方や考え方にも変化が現れます。長期的に考えても、理念に沿った意思決定やサービスの質の向上など、大きな効果をもたらすでしょう。




インナーブランディングの目的




インナーブランディングの目的は、主に2つあります。

●企業の理念や価値観に基づいたスムーズな意思決定を行えるようにする
●理念を理解した社員による販売活動で、エクスターナルブランディングにつなげる

社員の意思決定は、企業の理念や価値観に基づいて行われなければなりません。しかし、理念が浸透していなければ、意思決定が誤った方向に進んでしまう可能性があります。

インナーブランディングによって社員に理念が浸透していれば、理念とずれた意思決定が行われることを防げます。また、できるだけ多くの社員に理念を浸透させることにより、スムーズな意思決定が期待できます。


企業の価値観は、商品を通して顧客に伝わります。直接顧客と接する社員がきちんと企業の価値観を理解していれば、それは顧客にも伝わるでしょう。このように、インナーブランディングを推し進めることは、結果としてエクスターナルブランディングの促進にもつながります。





インナーブランディングの手法



続いて、実際にインナーブランディングをどのように推し進めればよいのかについて見ていきましょう。具体的には、以下の4つの手法があります。

●アンケートの実施
●ポスター・冊子・手帳の作成
●社員向けサイトの作成
●研修会やイベントの実施

それぞれの項目について、詳しく解説します。



アンケートの実施

インナーブランディングを行うためには、社員の現状を知ることが最優先です。そのため、まずは社員に対してアンケートを実施しましょう。アンケートには、次のような項目を記載します。

●理念の内容を知っているか
●理念に沿って行動できているか
●従業員満足度
●年代や所属など


まずは、そもそも企業の理念を知っているか、そして理念に沿って行動できているかを確認しましょう。

理念を知っているにも関わらず行動が伴わない場合、その原因についても調査します。

年代や所属などは、個人が特定できてしまうほど細かく調査する必要はありませんが、ある程度のデータがあると、属性による傾向の違いが見えることもあります。

アンケートは一度だけで終わらせてはいけません。定期的に実施することで、インナーブランディングの効果がわかります。回を重ねるごとに従業員満足度が高まるような結果が出ていれば、取り組みは成功していると言えるでしょう。



ポスター・冊子・手帳の作成

理念を浸透させるために、社員の目に留まるところにポスターを貼ったり、冊子を作ったりするのも一つの方法です。日常的に目にするところに理念が書かれていれば、自然と社員に浸透しやすくなるでしょう。


また、ビジネス手帳も社員が日常的に目にするアイテムです。社員に配布するための手帳を作成し、そこに理念が書かれていれば目にする頻度が高まり、ポスターのような効果が期待できます。

NOLTYプランナーズでは、オーダーメイドで必要な情報を掲載できるオリジナル手帳の作成を行っています。ご興味のある方は、ぜひ一度お問い合わせください。


社員用手帳




社員向けサイトの作成

社員向けサイトを作成し、必要な情報を掲載する方法もあります。単純に情報を掲載しているだけのサイトではなかなか見てもらえない懸念もありますが、業務上必要な情報や、福利厚生に関する情報を掲載することで、閲覧の頻度を高められるでしょう。



研修会やイベントの実施

研修会やイベントの実施もおすすめの手法の一つです。業務に関連する研修会の中で、企業理念や価値観に関する項目についても触れられれば、理念に沿って業務を進めるイメージを持ちやすくなります。


インナーブランディングは、どうしても経営陣から社員に向けた一方通行の取り組みになりがちです。そのため、研修会やイベントを利用することで、社員から直接意見をもらったり、普段の様子を伝えてもらうことも検討しましょう。





インナーブランディングのメリット


インナーブランディングのメリットは、次の3つです。

●社員のモチベーションが高まる
●社員の離職率が下がる
●顧客満足度の改善に繋がる

それぞれの項目について、詳しく解説します。



社員のモチベーションが高まる
企業の理念を知り、どんな理念に基づいて製品やサービスが作られたのかを知ると、自社ブランドに愛着が持てるようになります。こうした経験があれば、日々の業務に楽しさややりがいを感じられるようになり、仕事へのモチベーションも高まるでしょう。



社員の離職率が下がる

離職率の低下も、インナーブランディングのメリットのひとつです。コロナ禍でテレワークが増えたことも影響し、社員の帰属意識が薄れる傾向があります。


高エンゲージメント層(自身の勤める会社に対して信頼・愛着・誇りなどを感じている層)と低エンゲージメント層(自身の勤める会社に対して信頼・愛着・誇りなどを感じていない層)では、自社に対する意識に大きな差があります。


企業広報戦略研究所(株式会社電通パブリックリレーションズ) 調査より引用


低エンゲージメント層では、過半数が転職や退職を考えたことがあるとの結果が出ています。

高エンゲージメント層と比較すると2倍近い割合です。また、他の項目でも低エンゲージメント層と高エンゲージメント層では会社に対する意識に乖離があることがわかります。

リモートの環境においても、理念やミッションへの共感が強ければ、社員自身がその会社にいる意味を見出し、離職を防げる可能性があります。

インナーブランディングは、そうした高エンゲージメント層の社員を増やすためのひとつの手段にもなり得るでしょう。



顧客満足度の改善に繋がる
社員に理念が浸透することで、顧客満足度の改善にもつながります。理念に基づいた意思決定のもとで作られた製品やサービスは、より自社のファンに好まれやすいものとなります。

また、接客態度などにも理念が反映されれば、顧客に対してもよりよい体験の提供が可能です。





インナーブランディングのデメリット


メリットが多いインナーブランディングですが、よいことばかりではなくデメリットもあります。主なデメリットは次の2つです。

●地道に続ける必要がある
●コストや時間がかかる

それぞれの項目について、詳しく解説します。



地道に続ける必要がある
インナーブランディングは、単発的な行動だけでは意味がありません。さまざまな取り組みを行いながら、どの取り組みでどれだけの効果が出るか、実際に社員のモチベーションに与える影響はあるかなどを逐一確認しながら、地道に続ける必要があります。



コストや時間がかかる
先に紹介したとおり、インナーブランディングには時間がかかります。時間がかかればその分人的コストも必要です。

さらに、ポスターなどの印刷物を作るためにもコストがかかります。ある程度コストがかかることを承知のうえで、それでもメリットが得られるような方法を模索し、インナーブランディングを行わなければなりません。






インナーブランディングで社員のモチベーションを上げよう




インナーブランディングを実施して理念を社員に浸透させることで、社員のモチベーションアップが期待できます。社員のモチベーションが高まると、社員の離職率が下がり、顧客満足度の改善につながるなど、インナーブランディングにはさまざまなメリットがあります。この記事を参考に、自社でのインナーブランディングの実施を検討してみてはいかがでしょうか。




株式会社NOLTYプランナーズ