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開発ストーリー

NOLTYスコラ プログラム

02

我々の手帳とは全く別の世界がある

「生徒用の手帳を作ってもらえませんか」
2010年12月、こんなメールをJMAM宛てに送ったのは、当時山形県立鶴岡中央高校に勤務していた加藤伸教諭だった。加藤教諭は自作の手帳を生徒に配布し、日々の生活記録や学習計画を記入するよう指導していた。しかし、なかなか習慣付けるのが難しい。そこで自身も能率手帳を愛用する加藤教諭が「プロのノウハウで手助けしてもらえたら」と声をかけてきたのだ。

当初のオーダーは1学年分の300冊程度。しかし、これでは企業としては採算がとれない。通常なら〝お断り案件〟だった。しかも、中学・高校にはいわゆる生徒手帳がすでに普及している。そのイメージが強いだけに、生徒向けの手帳と言われてもすぐにはピンとこない。そもそも需要があるのだろうか……。

そんな現場の薄い反応をよそに、アプローチすることを勧めたのが社長の長谷川隆だった。「匂いを感じた」と当時を振り返る。
「加藤教諭は非常に教育熱心で、生徒のために自分で手帳を作っていました。強い想いがあるところにビジネスチャンスはある。お話をうかがって、それをふくらませられたら新しい商品を生み出せる可能性があるかもしれません。とにかく訪問して、その判断をしてほしいと言いました」

1週間後、BT法人営業本部長の高梨文明を筆頭に、制作1部の川添輝明、東北支社の高橋仁の3名は冬の庄内空港に降り立ち、すぐに加藤教諭のもとを訪ねた。さっそく自作の手帳を見せてもらうと、ビジネス手帳ならコアタイムとなる朝9時から夕方5時までの時間目盛りがない。高梨は強い興味を覚えたという。

  • BT法人営業本部 本部長(当時)
    高梨文明
  • BT法人営業本部 制作第1部 メンバー(当時)
    川添輝明

「なぜですかと尋ねたら、そこは授業時間だから時間割を書くんですよと言われました。あ、これは我々の手帳とは全く別の世界があるなと感じました」 さらに加藤教諭は前任校で同様の手帳を使い、生徒に生活・学習記録を書かせることで家庭学習時間が増え、国公立大学への進学率がアップした実績も話してくれた。

市場性は十分あるのではないか。話をするうち、その思いは少しずつ確信へと変わっていった。1949年の誕生以来、能率手帳が追求してきたのは、いかにビジネスパーソンの効果的な時間管理を実現するか。そのノウハウをあの小さな手帳の中にぎっしりと詰め込んでいる。

考えてみたら、むしろ中高生は勉強、部活、プライベートと社会人以上に忙しい。だからこそ、日々の過ごし方が重要であるし、それはときに将来の人生さえ左右してしまう。
時間管理を身につけるツールとして手帳の存在価値は極めて大きい———。高梨は試作に着手することをその場で決めた。

「いったん東京に戻って、あらためてご提案にうかがいます」 いままでにない新たな手帳、その誕生の種はこうして冬の山形で蒔かれた。

株式会社NOLTYプランナーズ