「協働的な学び」とは、「個別最適な学び」とともに新学習指導要領で提示されたキーワードです。ICT化が進む昨今の学校教育現場を考えていく上で必要となる「協働的な学び」について詳しくご紹介します。
目次
協働的な学びに関する基礎知識
協働的な学びとは？
「協働的な学び」とは、協力して学びながら成長する学習スタイルのことを指します。クラスメイトだけではなく、異なる学年や地域の人、専門家など、様々な人と協働しながら、学びを深めていきます。ミュニケーション能力や協調性、問題解決能力など、社会で活用できる資質・能力の育成が目的です。「主体的・対話的で深い学び」を実現するために必要な要素として、「個別最適な学び」とともに文部科学省が定める新学習指導要領に含まれています。「主体的・対話的で深い学び」のためには、「協働的な学び」と「個別最適な学び」をバランス良く組み合わせることが重要となります。
協働的な学びが必要とされる背景
「協働的な学び」が必要とされるようになった背景には、現代社会の複雑性に今後こどもたちが対応できるようになるためです。複雑化する社会の中では、知識や技術だけでなく、社会性や共感性、問題解決能力やコミュニケーション能力が求められます。協働的な学びを通して異なる他者の意見に耳を傾け、対話する力を身に着ける必要があります。また、生徒の多様化に伴い、互いの違いを認め合い協力する学び方も推進されています。
協働的な学びを取り入れるメリットと注意点
協働的な学びを取り入れるメリット
「協働的な学び」を取り入れると以下のような効果・メリットが期待されます。
- お互いの考えや異なる視点・考え方を理解して共感する力が養われる
- 対話を通じたコミュニケーション能力や問題解決能力の向上を図れる
- お互いの価値観を尊重でき、広い視野を持つことができる
- ・連帯感や責任感が高まり、個々の学習意欲の向上も期待できる
協働的な学びを取り入れる際の注意点
実際に「協働的な学び」を取り入れるためには、いくつか注意が必要です。教師や保護者は、共通の目標設定や役割分担が円滑に行えるように生徒のサポートを行いましょう。一部の生徒が支配的な行動をしたり、協力しないメンバーがいたりすると、学習の均等性が損なわれます。生徒の参加意欲を引き出す工夫や、個人の意見を尊重する雰囲気、授業づくりが大切です。また学習の進捗を管理し、時間やスケジュールの調整を行うことも重要です。
協働的な学びを授業に取り入れる実践例
社会
例１「自分たちの高校はどのように開校したのか」など、現代史に地域の歴史資料を絡めて説明する。
歴史を身近な事象として捉え、主体的に取り組むことが出来ます。
例２「2030年、石油価格は上がっているか下がっているか」のような問いを立てて、理由を含めて記述させる。
学習内容と未来や自己を結び付けて考察できる力を養います。
国語
例「この主人公は何を考えていたか？どんな行動をするつもりか？」などグループディスカッションを通して考えを深める。
意見を交換し合うことでより深い気づきに繋がり、自己理解、他者理解を促します。
算数・数学
例 数学の定理証明などの問題をだしグループで協力し、教え合い、1つの答えを導き出す。
生徒同士で教え合い、助け合うことで数学に対する興味を引き出し、より深い学びに繋がります。
英語
例 オンラインシステムを使用して海外の生徒と交流機会をもつ。
英語を使ってお互いの国の文化などについて話し合うことで、グローバルな視点や異文化理解、コミュニケーション力の向上を促します。
以上のような実践例をプレゼンテーションソフトやオンライン会議システムなどICT端末を活用し、情報収集する習慣や表現方法を身につけていく必要があります。
（まとめ）協働的な学びが必要な背景｜メリットと注意点、授業の科目別実践例
「協働的な学び」とは自分とは異なる考え方や意見に触れながら、多様な人々との関りを通じて学びを深めていく学習スタイルのことです。ますます複雑化する社会の中で生き、活躍するために必要な資質・能力を養います。また「協働的な学び」を行うためにはICT端末の活用が必要です。そのため、「協働的な学び」を推進していくには環境の整備や情報リテラシーの向上など注意を払うべき点も多くあります。とはいえ、今後ますますICTを用いた「協働的な学び」は多様化していくと考えられます。今回の記事で紹介した基本的な考え方や授業づくりのポイントを押さえて、協働的な学びの実現にお役立てください。
