先生の声

(右)小林 賢太 先生(進路部)
生徒理解と進路支援効率化のために副担任mirAIを導入
副担任mirAIを導入した理由は大きく二つあります。一つ目は、本校の生徒支援の軸となる「対話」をより充実させたいという想いからです。生徒の多くは、自分の考えや気持ちを言葉で表現することに苦手意識を持っています。私たち教員は、そうした生徒の想いを丁寧に引き出し、言語化をサポートする役割を大切にしてきました。しかし、現実には1クラス約28人もの生徒がいるため、一人ひとりとじっくり向き合い、それぞれの考えを深く理解しながら指導するには、どうしても時間が足りません。副担任mirAIを導入すれば、AIを活用して複数の生徒を同時にサポートできるため、より細かい対応や指導の効率化が期待できます。こうした点に大きな魅力を感じ、導入を検討しました。
志望理由書添削の現状とmirAI導入による変化
本校では、学年の6~7割の生徒が進学時に志望理由書の提出を必要としています。今まで、その作成や添削の方法はさまざまで、紙に書いたものを郵送して添削を受けたり、志望理由書の書き方をレクチャーする講座を受けたり、自己分析の材料を集めるワークショップをしたりと、学年ごとに異なる取り組みが行われてきました。例年、何かしらの方法で志望理由書作成のサポートは行われていたものの、統一された方法はありませんでした。
志望理由書の作成過程の中で一番大変だと感じていたのは、面談などを通じて「志望理由に記述する内容を明瞭にしていくことでした。本来、それこそが教員の大きな役割ではありますが、一人ひとりの生徒とじっくり時間をかけて進めるには限界があります。
副担任mirAIを導入したことで、AIのサポートによって生徒自身で、ある程度形になった志望理由書を作成することができます。そこに教員が加わって添削や指導を行うという流れが生まれるため、教員の負担が減り、限られた時間の中でも質の高い支援が可能になりました。
文章力と面談の質が向上
これまで生徒が書いてきた志望理由書をはじめて読んだとき、「内容以前に文章として基礎ができていない」「多くの書き直しや添削が必要」と感じることが多々ありました。実際、内容指導に入るまでに2~3回のやり取りを重ねることも珍しくありませんでした。
その点、副担任mirAIを使うことで、最初からある程度整った文章で提出されるようになり、添削や指導の効率が向上しました。はじめて受け取る生徒の志望理由書についても、以前よりずっとレベルの高いものに仕上がっていると感じます。
具体的には、まず文章全体の論理性が高まったと感じます。以前は「野球が好きだからスポーツ関連の学部に行きたい」といった曖昧な表現が多かったのですが、副担任mirAIを通じて書かれた志望理由書は、「野球の試合を分析することが好き」といったように、より具体的かつ能動的な動詞を使った表現になっています。生徒のストーリーや個々の体験が文章に表れ、志望理由書として説得力が増したと感じます。
また、面談を行う際にも、副担任mirAIでの対話履歴を確認できるため、生徒の興味関心や思考のクセを事前に把握した上で話ができるようになりました。「野球が好きなんだね」といった具体的なエピソードから面談を始められることで、より深い対話ができるようになりました。副担任mirAIの導入によって、生徒の文章力だけでなく面談の質にも変化が表れていると思います。
面接練習にも対話が役立つ
志望理由書が完成してから面接練習へと進みます。本校では、進路支援の一環として面接対策用の冊子を用意しており、そこには基本的なマナーや、よくある質問への答え方などを記入できる欄を設けいています。生徒は、この冊子の中で、志望理由書に書いた内容を改めて整理し、自分の言葉でまとめます。
このプロセスにおいても、副担任mirAIを活用して志望理由書の作成や自己分析を行ってきた経験が大いに役立つと感じています。事前に深堀した内容を冊子にまとめることで、面接時の受け答えへの自信や説得力にもつながっています。今後もこの流れがより円滑に進むことを期待しています。
自信を持って進路支援ができる
教員として副担任mirAIを活用できてよかった点は、「自分の進路支援が正しいのかどうか、ダブルチェックできたこと」です。私は社会人経験があり、就職活動の面接もしっかりやってきました。その経験から“こうやればうまくいくだろう”という自分なりのやり方は持っていましたが、学校現場で生徒が同じ方法で本当に通用するのか、正直自信が持てませんでした。ですが、この副担任mirAIと壁打ちするうちに、ファシリテートの方法や受け答え感覚がつかめ、指導の自信につながりました。このような気づきが得られたのは大きなメリットだと思います。
また、「生徒がどこでつまずいているのか可視化できる」点もよかったです。副担任mirAIとの対話のやり取りを見ていると、生徒が内容をスキップしたり、明らかに浅い回答で済ませたりしている部分が見えてきます。ここは深掘が足りないなと事前に把握できるため、面接練習の際に重点的に指導できるのがとても助かりました。履歴で指導のポイントを把握できるのは、教員にとって大きな利点だと感じています。