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2024.03.06

サステナビリティ推進室とは?役割と立ち上げに必要な準備を解説

サステナビリティ推進室を設置する企業が増えています。サステナビリティ推進室について聞いたことがあっても、具体的にどのような組織なのかわからない、という方は多いでしょう。

そこでこの記事では、サステナビリティ推進室とは何か、CSR部門やサステナビリティ推進委員会との違いも交えて解説します。サステナビリティ推進室の役割や立ち上げに必要な準備も紹介しているため、サステナビリティ推進室の設置を検討している方はぜひ参考にしてください。

目次

サステナビリティ推進室とは

サステナビリティ推進室とは、企業がサステナブルな経営を推進するために設置する部署のことです。まずは、サステナビリティ推進室について、次の項目に沿って詳しく解説します。

●サステナビリティ推進室が必要な理由
●CSR部門との違い
●サステナビリティ推進委員会との違い

なお、必ずしも「サステナビリティ推進室」という名前の部署を設置する必要はありません。本記事で紹介する役割を担う部署や部門、チームなどが存在していれば、サステナブル経営に向けた取り組みを実施しやすくなります。企業規模や社内の状況に応じて、自社に合った方法で取り組みを実施してください。

●サステナビリティ推進室が必要な理由

サステナビリティ推進室は、サステナブルな経営を統括するために必要です。

サステナブルな経営を行うためには、部署や部門を超えた連携が欠かせません。各部署で個別に行動するのではなく、企業全体で取り組みを行う必要があります。

サステナビリティ推進室は、こうした取り組みを統括し、中心となって進めて行く役割を担う重要な組織です。

●CSR部門との違い

サステナビリティ推進室と似た役割を持つ部署として「CSR部門」があります。

CSR部門は、社会貢献を通して企業が社会的責任を果たすために設置されます。
利益を追い求めるだけではなく、ステークホルダーや社会にも貢献する、という考え方がベースとなっています。
一方、サステナビリティ推進室は、世界全体の持続可能性に貢献しながら事業を実現するための組織で、より経営や事業戦略と密接に関わる形になります。

CSRは主に企業を主体とした考え方であり、配慮すべき範囲は主にステークホルダーですが、サステナビリティ推進室はより広い視野で、国や世界などに目を向けながら社会課題の解決を目指す必要があります。
目指すべき方向性は同じですが、誕生の背景や達成すべきゴールが違うと捉えるといいでしょう。

●サステナビリティ推進委員会との違い

サステナビリティ推進委員会も、サステナビリティ推進室と混同されやすい組織です。

サステナビリティ推進委員会は、サステナビリティ推進室より経営陣に近い組織として設置される場合が多いです。

どちらも設置されている場合は、サステナビリティ推進委員会が方針や戦略の意思決定を行い、サステナビリティ推進室がそれに従って行動する、というケースが多く見られます。

ただし、上記はあくまでも一例です。同じ名前の組織であっても、企業によって大きく役割が異なる場合も少なくありません。また、どちらか一方のみを設置し、両方の役割を持たせている企業もあります。

サステナビリティ推進室の役割

サステナビリティ推進室には、次のような役割があります。

●戦略の立案
●社内外への情報開示
●専門家からの情報収集
●社員に対する教育
●各組織のサステナビリティ活動の統括

それぞれ、詳しく解説します。

●戦略の立案

サステナビリティ推進委員会との役割分担によっては、サステナビリティ推進室で事業戦略を立案することもあります。

戦略を立案する際には、自社のビジネスを考慮したうえで、取り組むべき課題を決定することが必要です。さらに、課題を解決するためにどのような取り組みを行うかも考えなければなりません。

持続可能性とともに、自社がステークホルダーから求められていることは何かも考慮しながら、戦略や取り組み内容を決定しましょう。

●社内外への情報開示

ステークホルダーや評価機関に対して、適切な情報開示を行うのもサステナビリティ推進室の役割です。

評価機関とは、企業のサステナビリティに対する取り組みを評価する機関のことです。企業が開示した情報をもとにスコアリングを行います。評価機関が決定したスコアは、投資判断の基準になります。

ステークホルダーや評価機関に自社の取り組みをアピールするためには、サステナビリティ推進室が取り組みに関するレポートを作成することが大切です。

社外へのアピールだけでなく、社内への情報開示も欠かせません。従業員に取り組みを理解してもらうことで、全社的にサステナブル経営を進められます。また、従業員からフィードバックを得られる可能性もあるでしょう。フィードバックを取り入れながら取り組みをブラッシュアップすることで、より効果的な行動につながります。

●専門家からの情報収集

専門家からの情報収集も、サステナビリティ推進室の重要な役割です。

独自の判断で活動を進めようとすると、的外れな方針を立ててしまったり、効率の悪い方法を選んでしまったりするリスクがあります。専門家に自社の取り組みを確認してもらうことで、このようなリスクを避けられるのがメリットです。

また、第三者から意見をもらうことで、自社が世間から期待されている役割も理解できます。

定期的に専門家から意見をもらい、活動に反映させましょう。

●社員に対する教育

サステナビリティ推進室では、社員に対する教育も行います。

従業員が主体的にサステナビリティ活動に参加するためには、一人ひとりが活動の意義を理解しなければなりません。サステナブル経営に関する教育を実施することで、従業員の意識が高まり、積極的に行動を起こせるようになります。

セミナーやeラーニングなど、教育に利用できるツールは多数あるため、自社にあった方法を検討することが大切です。

●各組織のサステナビリティ活動の統括

各組織が行うサステナビリティ活動の統括は、サステナビリティ推進室が担う大きな役割のひとつです。

各部署やチームがバラバラにサステナビリティ活動を行っても、効率よく成果をあげることは難しいでしょう。全体の方針を決め、それに沿って各部署が分担として行動する方が、より高い効果を期待できます。

サステナビリティ推進室は、サステナブル経営に関する全社的な方向性を決めるとともに、各部署がそれに沿って行動できるよう統括します。

サステナビリティ推進室の立ち上げに必要な準備

サステナビリティ推進室の立ち上げには、次のような準備が必要です。

●社会課題の分析
●マテリアリティの特定
●関係各所との連携

それぞれ、詳しく解説します。

●社会課題の分析

サステナビリティ推進室を立ち上げる前に、まずは社会課題の分析を行いましょう。

何が社会の課題となっているのかを知らなければ、自社で取り組むべき目標も見つけられません。SDGsにはどのような目標が掲げられているのか、具体的にどのようなことが問題とされているのか知っておきましょう。

周辺地域や国内だけでなく、世界的な課題についても確認する必要があります。

●マテリアリティの特定

次に、マテリアリティを特定します。

マテリアリティとは、組織や企業にとっての重要課題のことです。マテリアリティは、消費者や取引先、投資家などが企業を評価する非財務指標のひとつでもあります。

マテリアリティを特定することで、サステナビリティ推進室としてどのような取り組みを行うべきか、方針や活動内容を検討できます。

マテリアリティについては以下の記事で詳しく説明しているため、あわせて参考にしてください。

コラム:マテリアリティとは?企業が発信すべき理由と特定のプロセスを解説

●関係各所との連携

サステナビリティ推進室を立ち上げる前に、関係各所との連携を図りましょう。

サステナブル経営は、全社が一丸となって進める必要があります。投資家や取引先などから協力を得ることも大切です。また、自社の経営層とも連携を取り、経営方針にサステナビリティ活動を組み込んでいけるような方針を策定することも重要です。

本格的に組織を立ち上げる前に関係各所と連携をとっておくことで、スムーズに活動をスタートできます。

必要に応じてサステナビリティ推進室の立ち上げを検討しよう

サステナビリティ推進室とは、企業がサステナブルな経営を推進するために設置される部署のことです。

社内外への情報開示や社員に対する教育など、さまざまな役割を担います。サステナビリティ推進室を設置することで、サステナビリティ経営に積極的に取り組んでいる企業という評価も受けられるでしょう。

サステナビリティ推進室を設置する際は、社会課題の分析とマテリアリティの特定を行い、関係各所と連携することが大切です。

この記事が、サステナビリティ推進室の立ち上げを検討している方の参考になれば幸いです。

株式会社NOLTYプランナーズ