コラム COLUMN

2024.09.13

CSRの事例と取り組む際のポイント・導入手順について徹底解説!

企業のCSR活動は、ビジネスの持続可能性と社会貢献の両立を目指す重要な取り組みです。近年、多くの企業がさまざまな分野でCSR活動を展開しています。

しかし、いざ自社でCSR活動に取り組もうとしても、なかなか具体的な案が浮かばず、悩む場合もあるでしょう。

本記事では、日本企業が取り組んでいる代表的なCSR事例を紹介します。また、取り組む際のポイントについても解説しているため、ぜひ参考にしてください。

目次

CSRとは

CSRとは Corporate Social Responsibility の略で、「企業の社会的責任」を意味します。

企業の存続には利益追求だけでなく、社会に対する責任を果たすことが重要、という考え方です。例えば、環境問題に対する取り組みや社会貢献活動などが挙げられます。

また、従業員の満足度向上や顧客の信頼獲得といった、企業の持続可能性確保を目的としても取り組まれています。

CSRと似ている意味で使われる言葉の違い

CSRと似ている意味で使われる言葉はいくつかあります。以下の表でCSRおよび、混同しやすい言葉の意味をまとめました。

項目  説明 
CSR 企業が社会に対して責任を果たす取り組み
SDGs Sustainable Development Goalsの略称
持続可能な開発目標に取り組むための国際目標

ESG

Environmental, Social, and Governanceの略称
環境・社会・ガバナンスの観点を統合的に考慮する取り組み
CSV Creating Shared Valueの略称
企業が社会課題をビジネス機会として捉える取り組み
コンプライアンス 法令を遵守し、倫理的行動を守る取り組み

CSRは、企業が社会に対して責任を果たす取り組みで、その中にはSDGsやESGなどが含まれます。

一方、よく似た言葉のCSVは、社会課題の解決を企業がビジネス機会として捉えて、取り組むものです。売上・利益の向上と、社会問題の解決を両立させる考え方です。

そして、コンプライアンスは「会社が法律を守る」という意味で、積極的に取り組むものではありません。CSR活動する以前の段階にある概念です。企業である以上、必ず守るべきルールです。

CSRと合わせて使われる用語が多いため、似たような文脈で登場したときに混乱しないよう、意味を押さえておきましょう。

企業がCSRに取り組む背景

CSRが求められる背景には、企業の信頼低下や環境問題の深刻化があります。2000年代初頭に起こった、アメリカの大企業の粉飾決算と経営破綻がきっかけといわれています。

エンロンやワールドコムなどが汚職事件により経営破綻を引き起こし、企業の不正行為に厳しい目が向けられるようになりました。

法律違反を起こす原因であるモラルの欠如に対応するため、CSR活動の報告といった説明責任や情報の透明化などが求められています。

また、利益以外にも環境や社会との共存を目指すのが正しい姿勢だと認識され、CSRの重要性が高まっています。

CSR活動の事例3つを紹介

CSR活動は、具体的には以下のように分けられます。

●適切な納税
●雇用と従業員への配慮
●消費者に安全な商品の提供
●公益性が高い事業活動
●環境問題への取り組み
●地域社会への貢献

これらの活動を通じて、企業は社会との良好な関係を築き、持続可能な発展に貢献しています。

実際にどのような取り組みが行われているのか、具体的なCSR活動の事例を見ていきましょう。

NTTドコモのCSR事例

NTTドコモは日本を代表する通信キャリアで、CSRに積極的に取り組んでいる企業として有名です。特にSDGsの目標を重視しており、17個のうち12個の目標について取り組んでいます。

NTTドコモでは東日本大震災を契機に、災害時のみ運用する「大ゾーン基地局」を全国106か所に設置しました。また、陸路での駆けつけが困難な地域などの通信確保を目的とした、「船上基地局」や「ドローン中継局」などの整備を行いました。

ほかにも、環境保全を目的として、中古端末の活用や自転車シェアの仕組みを作っています。

また、人材育成・人権尊重なども重視しており、育成プログラムの制度の運用や、人権デューデリジェンス(人権に対するポジティブ・ネガティブな影響を評価し、予防・回避するための取り組み)を実施しています。

そのほかの詳しい事例は、公式サイトのサステナビリティハイライトから確認できるため、ぜひCSR活動の参考にしてください。

日本製粉グループのCSR事例

日清製粉グループは、食品メーカーとして、食育や就労支援などのCSR活動を展開しています。主な取り組みは以下のとおりです。

・公益財団法人食生活研究会への支援
・福島発障がい者協働プロジェクトへの技術支援
・製粉ミュージアムの運営

食生活研究の助成や留学生支援を通じて、国際的な人材育成に貢献しています。また、小麦粉加工ノウハウを活かし、被災地の障がい者就労支援に力を入れています。

製粉ミュージアムは、日本唯一の製粉専門ミュージアムで、小麦や製粉の歴史と技術を広く伝承する目的で作られました。日清製粉グループは、教育支援・地域復興・食文化の発展など、CSR活動を通じて幅広い社会貢献を目指しています。

リコーのCSR事例

リコーはITソリューション企業として、ESGに力を入れている印象です。SDGsとESGをうまく事業に取り込んで、CSR活動との両立を実現しています。

CSR活動に取り組む際のお手本にしたい企業の一つです。再生素材の使用やCO2排出量を可視化して、削減するよう改善しています。

さらに、節電できるLEDや太陽光発電システム・蓄電池などの脱炭素のソリューションの提供も視野に入れて取り組んでいます。2024年1月には、ペロブスカイト太陽電池の実証実験も開始しました。
詳しい内容は、公式サイトのサステナビリティレポートで確認できます。最新年度やバックナンバーの事例が豊富です。

特に2024年度の資料は、社会課題とSDGs・ESGに分けて、わかりやすく紹介されているので、ぜひチェックしてください。

CSRに取り組む際のポイント

CSR活動に取り組むポイントとして、戦略的なアプローチと幅広い視点が不可欠です。以下の要点を押さえましょう。

●中長期的視野を持って取り組む
●NPOやNGOとの協力による課題解決
●労働条件や人権問題のリスクの軽減

中長期的な視野で取り組めば、地域社会に貢献しやすく、理解を得やすいでしょう。

また、大きな社会問題に取り組む場合は、NPOやNGOなどの外部組織と対話をして、課題を見つけたり、協力関係を築いたりするのも重要です。

特に人権問題への対応は、グローバルに展開する企業にとっては重要な課題となっています。CSRを経営戦略の中核に据え、継続的に取り組みましょう。

CSR活動に取り組む際の手順

無計画でCSR活動を始めると中途半端な結果になったり、継続できなくなったりします。
CSR活動に取り組む際は、以下の手順を守って正しく取り組みましょう。

1.活動指針を定める
2.活動方針や意義を共有する
3.活動の振り返りや改善を行う

続けて、それぞれについて説明します。

1.活動指針を定める

2010年に発行されたISO26000は、CSR活動の国際的な標準規格として重要な役割を果たしています。以下7つの原則があり、企業のCSR活動の指針になります。

●説明責任
●透明性
●倫理的な行動
●ステークホルダーの利害の尊重
●法の支配の尊重
●国際行動規範の尊重
●人権の尊重

指針をもとに、CSR活動をビジネスモデルと整合させることが重要です。

これからCSR活動に取り組む場合や、基本を知るところから始めたいときは、まずISO26000の内容を確認しましょう。認証規格ではなく、ガイダンス規格ですが、国際的に使われています。

2.活動方針や意義を共有する

活動指針を決めたら、CSR活動の意義を社員と共有してプロジェクトチームを結成しましょう。

経営者の関与や支援も重要であるため、社内体制を整えて推進するのがおすすめです。プロジェクトメンバーを選別すると、CSR活動の成果が出やすいでしょう。

3.活動の振り返りや改善を行う

CSR活動を開始し、随時振り返りや改善を行いましょう。

CSR活動に取り組む際のお手本にしたい企業の一つです。再生素材の使用やCO2排出量を可視化して、削減するよう改善しています。

CSRレポートにまとめて公開すると、企業として積極的に取り組んでいる印象を与えられます。また、外部の意見を取り入れ、活動の質を向上させましょう。

事例を参考にしてCSR活動に取り組もう

CSRの意味や事例について紹介しました。CSRは社会的責任に基づいた活動です。CSR活動には、環境保護や社会貢献を通じて、企業の持続性を高める役割があり、SDGsやESGへの取り組みとも連動しています。

まだ積極的にCSR活動に取り組めていない企業のご担当者は、本記事で紹介した事例を参考に、自社の強みを活かした活動から始めてみましょう。

株式会社NOLTYプランナーズ