SDGsへの取り組みは非常に重要です。
しかし、実態を伴わないままアピールだけを行うと「SDGsウォッシュだ」との批判を浴びる可能性もあります。
この記事では、SDGsウォッシュとは何かを解説するとともに、実際にSDGsウォッシュだと批判された事例や、SDGsウォッシュを避けるための対策方法を解説します。
SDGsへの取り組みを始めようと考えている方は、ぜひご覧ください。
目次
SDGsウォッシュとは
SDGsウォッシュとは、持続可能な開発目標「SDGs」と「whitewash」を組み合わせた造語です。
「whitewash」には「ごまかす」「うわべを取り繕う」などの意味があります。
「SDGsウォッシュ」とは、表面ではSDGsへの取り組みをアピールしながら、実態が伴わない状態のことです。
SDGsウォッシュが問題視されているのは日本だけではありません。
英語でも「SDGs Wash」と呼ばれ、世界的に問題となっています。
SDGsウォッシュは、SDGsに取り組むことで企業が得られるメリットが大きくなったことで発生したものです。
SDGsに配慮した商品・サービスを選んでSDGsに貢献しようとする消費者に対して、SDGsウォッシュと指摘されるような行動をとるのは、消費者を欺く行為とも言えます。
SDGsに取り組む際には、SDGsウォッシュと指摘されないよう、誠実に取り組みを進めていかなければなりません。
過去にSDGsウォッシュと批判された事例
企業が意図せず、SDGsウォッシュに陥ってしまう可能性もあります。
そのためには、SDGsウォッシュと批判を受けた事例についても理解しておきましょう。
過去にSDGsウォッシュと批判された事例は数多くあります。その中から、次の4つの事例をピックアップしました。
・アパレル企業の事例
・銀行の事例
・食品会社の事例
・旅行会社の事例
それぞれ、詳しくご紹介します。
アパレル企業の事例
大手アパレル企業A社は、新疆ウイグル自治区で作られた綿を使用したとされ、SDGsウォッシュと指摘されました。
新疆ウイグル自治区は、世界3大綿にも数えられる「新疆綿」が栽培されている地域であると同時に、少数民族であるウイグル人に対しての人権侵害が問題となっている地域でもあります。
新疆ウイグル自治区では、強制労働や日常生活の極端な監視などが問題となっています。
アパレル業界には、それらの問題に抗議するため、新疆ウイグル自治区で生産されたコットンの不買運動を行っている企業もあるほどです。
A社の場合には、新疆ウイグル自治区で作られた綿を使用していたかどうかについて言及を避けたことに加え、新疆ウイグル自治区の問題を「政治的な問題」とし、「政治的には中立な立場。ノーコメント」との発言をしました。
「人権上問題のない綿のみ使用している」と発表したにもかかわらず、上記のとおり「ノーコメント」とした影響が大きく、批判が広がることとなりました。
銀行の事例
大手都市銀行の1つであるB銀行では、2019年に主要グループ会社全体で二酸化炭素の削減を行う方針を策定しています。
しかし、同年に、二酸化炭素を多く排出する石炭業界に対して世界トップの融資を行ったことから、SDGsウォッシュとの批判を受けました。
B銀行への批判が大きくなった原因として、日本国内向けにはSDGsに貢献する姿勢を見せながら、遠方ではSDGsに逆行するような動きを見せていたことが挙げられます。
批判を受けてB銀行では、自社の発表した環境方針と融資の方針を一致させるような改革を実施しています。
食品会社の事例
有名なチョコレート菓子を展開する食品会社C社も、SDGsウォッシュとの批判を受けたことがあります。
従来、そのチョコレート菓子には「パーム油」という油が使われていました。
パーム油は、インドネシアやマレーシアなどの東南アジアに生息する「アブラヤシ」という植物から採れる油です。
このパーム油を採取することで森林破壊が進み、野生動物の生息地を奪うことが問題視されています。
パーム油を使っていたC社のお菓子は、2010年には不買運動が起こるほどの批判にさらされました。
その後C社は、「環境破壊に寄与するパーム油業者との取引は行わない」と発表しました。
しかし、2018年になってもそれらの業者をサプライチェーンの一部に抱えていることが発覚し、SDGsウォッシュとの批判を受けることとなったのです。
旅行会社の事例
大手旅行会社のD社は、パーム油発電のバイオマス発電事業を始めたことで、SDGsウォッシュとの批判を受けました。
バイオマス発電は、二酸化炭素の排出量を削減できる、環境に優しい発電方法です。
一方で、パーム油の使用は前述のとおり森林破壊につながります。
そのため、SDGsウォッシュだとの批判を受けました。
また、D社ではエコツアーを開催して環境保全を促進していたこともあり、批判が大きくなってしまったのです。
SDGsウォッシュを避けるための対策
SDGsウォッシュを避けるための対策として、SDGsコミュニケーションガイドでは、次のような項目をチェックするよう推奨されています。
・根拠不明な表現を避ける
・誇張表現を避ける
・あいまいな表現を避ける
・関連性の低い写真やイラストの写真を避ける
・サプライチェーンの環境を把握する
それぞれ、詳しく解説します。
根拠不明な表現を避ける
「環境に良い」などの情報があっても、その検証材料がない場合や、その情報自体の信頼性が薄い場合には、アピールに利用するのを避けましょう。
万が一情報に誤りがあった場合、SDGsウォッシュとの批判を浴びる可能性があります。
誇張表現を避ける
実際の取り組みを大げさに表現することで、SDGsに対して積極的に取り組んでいるように見せかけることも、SDGsウォッシュと批判される可能性があります。
また、実際には何らかの規制によって制限されている事柄を、自発的に配慮しているように表現することも、批判を浴びる原因となるので避けた方がよいでしょう。
あいまいな表現を避ける
具体性のないキャッチコピーなど、見た人に「なんとなく良い印象を与える表現」を使用すると、誤解を生む原因となります。
特にSDGs関連のアピールでは、あいまいな表現は避けた方が無難です。
また、国や宗教的背景によって意味が異なる言葉もあります。
人によって感じ方に差が出てしまう言葉を押し出すのは控えましょう。
キャッチコピーを公にする前には、本来の意味を調べたり、複数の意味がないかを確認したりすることが大切です。
関連性の低い写真やイラストの使用を避ける
事業やイベントと関連性が低い写真やイラストの使用も、批判につながる可能性があります。
例えば、実際には対策を行っていないにもかかわらず、イラストや写真を使って貧困対策を行っているかのように見せかけると、SDGsウォッシュとの批判を招きかねません。
サプライチェーンの環境を把握する
自社の従業員の環境だけでなく、サプライチェーンの環境を把握することも、SDGsウォッシュの批判を避けるためには重要です。
自社には問題がなくても、製造段階でSDGsに関する問題が発生している可能性もあります。
いくら自社でSDGsに取り組んでいても、サプライチェーンの実態を把握できていなければ、SDGsに根本的に向き合っていないと批判されてしまうでしょう。
そのため、サプライチェーンマネジメントが重要です。
SDGsを正しく理解してSDGsウォッシュを避けよう
SDGsへの取り組みを行ううえで、SDGsウォッシュを避けることは重要です。
ただし、SDGsウォッシュになることを避けるために、SDGsへの取り組み自体を避けてしまうのでは意味がありません。
この記事を参考に、SDGsについて正しく理解し、確実に行えることから、SDGsへの取り組みをスタートしてみてください。
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