近年、ニュースやビジネスシーンでESGという言葉を聞く機会が増えました。
しかし、言葉は聞いたことがあってもどのようなものかはよく知らなかったり、SDGsとの違いが分からなかったりして、具体的に取り組めていない企業も多いでしょう。
そこでこの記事では、ESGとSDGsの違いについて解説します。
企業がESGに取り組むメリットや、具体的な取り組みの例もあわせて紹介していますので、ESGについて詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
目次
ESGとSDGsの違い
まずは、ESGとSDGsはどのように違うのか、次の3つの項目に沿って解説します。
・ESGとは
・SDGsとは
・ESGとSDGsの主な違い
ESGとは
ESGとは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」の頭文字を組み合わせた言葉です。
社会環境の変化や異常気象などさまざまな問題がある中で企業が成長し続けるためには、この3点への配慮が欠かせないと考えられています。
ESGは企業の成長に関わる項目であることから、ESGに注目して投資先を決める動きもあります。これが、ESG投資です。
SDGsとは
SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」のことです。
持続可能でより良い社会を目指すために設定された世界共通の目標で、2030年までに達成すべき17の目標と、それを達成するための169のターゲットで構成されています。
SDGsは、企業や地方自治体など、すべての組織がパートナーシップを組みながら達成すべき目標です。
企業は、社会貢献の責任を果たすためにも、SDGsに積極的に取り組む必要があります。
ESGとSDGsの主な違い
ESGは、民間企業や投資家が、経営に関する判断をする際に注目すべき項目です。
それに対してSDGsは、国際社会の共通した目標です。
どちらも環境や社会をより良くするためのものであるため、企業はESGに配慮した経営を行えば、結果的にSDGsにも貢献できます。
そのため、多くの企業はESGとSDGs双方の取り組みを同時に行っています。
企業がESGに取り組むメリット
企業がESGに取り組むメリットは次の4つです。
・従業員満足度の向上につながる
・組織のガバナンス強化が期待できる
・投資資金を集められる可能性がある
・企業のイメージアップにつながる
それぞれ、詳しく解説します。
従業員満足度の向上につながる
ESGに取り組むと、労働環境がより良いものとなり、従業員満足度の向上が期待できます。
社会問題への取り組みには、労働環境の改善が含まれます。
例えば、職場での多様性の尊重や、ワークライフバランスの重視も、ESGへの取り組みのひとつです。
ESGに取り組むことで現在の労働環境を見直し、従業員にとってより良い環境を整えられれば、従業員満足度の向上につながります。
組織のガバナンス強化が期待できる
ESGのGは「ガバナンス」のことを指しています。
経営において公正な判断が行われるような仕組みを作ることも、ESGへの取り組みのひとつです。
ガバナンス強化のためには、次のような取り組みが考えられます。
・倫理憲章の作成
・コンプライアンスの徹底
・内部監査の実施
上記のような取り組みを行いガバナンスを強化することで、ESGへの取り組みになるとともに、企業の信頼性を高められます。
投資資金を集められる可能性がある
ESGに取り組むと、投資資金を集められる可能性もあります。
上記で解説したとおり、「ESG投資」の考え方が広がった結果、実際にESGに取り組んでいるかを投資の判断材料とする投資家が増えているのが現状です。
そのため、ESGへの積極的な取り組みを行うことで、投資対象として選ばれる可能性が高まります。
企業のイメージアップにつながる
ESGに積極的に取り組むことは、企業のイメージアップにも役立ちます。
ESGへの取り組みは、社会貢献の一種です。
そのため、ESGへの取り組みを積極的に行えば「社会貢献に取り組んでいる企業」として、消費者や取引先などから良い印象を持たれやすくなります。
企業ができるESGへの取り組みの例
企業がESGに取り組むためには、どのようなことができるのでしょうか。
ここでは、次の3つの項目に分けて、企業ができるESGへの取り組みの具体的な例を紹介します。
・Environment(環境)の取り組み
・Social(社会)の取り組み
・Governance(企業統治)の取り組み
ぜひ、自社でできそうな取り組みについて考えながらご覧ください。
Environment(環境)の取り組み
環境に関しては、次のような取り組みが考えられます。
・パッケージに使用するプラスチックの削減
・製造現場で使用する水の量を削減する
プラスチックは、適切に処理されないまま川や海に流れ込んでしまうと、景観が悪化するばかりでなく、海洋生物が誤って食べてしまう、有毒な成分が溶出する等の問題が発生します。
そのため、世界的にプラスチックの使用量を抑えるための取り組みが行われています。
産業排水は、川や海などの水質汚染に繋がる問題です。
多くの排水が川や海に流れ込むことで、悪臭の発生や生物の生育環境の悪化などの問題が発生する可能性があります。
製造現場で使用する水の量を削減すれば、同時に排水の量も削減できます。
Social(社会)の取り組み
社会に関しては、次のような取り組みが考えられます。
・女性活躍を推進する
・健康経営を推進する
・経営人材の育成に注力する
少子高齢化や男女間の賃金格差の問題から、企業には女性活躍の推進が期待されています。
例えば、女性の管理職を増やす、産休・育休に対するサポートを充実させることも、ESGへの取り組みのひとつです。
健康経営とは、従業員の健康に注目して企業活動を行うことで、結果的に企業の生産性や業績が向上するという考え方です。
社員が健康的に働けるよう、メンタルヘルス対策や社員の健康リテラシー向上に向けたセミナーなどを行います。
従業員が能力を発揮できるよう、経営人材の育成に注力するのもひとつの方法です。
次世代を担う従業員が経営人材として活躍できるようになれば、より長期間、社会に貢献しながら企業活動を続けられます。
Governance(企業統治)の取り組み
企業統治に関しては、次のような取り組みが考えられます。
・企業統治体制を整備し、方針を公表する
・グループでコーポレートガバナンス体制を構築する
企業統治体制が明確になっていない場合には、まず明確化することで企業の信頼性を高められます。
さらに、企業統治体制について外部に公表することで、より透明性の高さを示せるでしょう。
また、グループ企業がある場合には、グループでコーポレートガバナンス体制を構築する方法もあります。
グループ全体でガバナンス体制を構築することで、ステークホルダーに対する信頼性をより高められるのです。
ESGとSDGsで企業価値を向上
ESGとSDGsは、どちらも社会貢献を通じて企業価値を高めるものです。
ESGに配慮しながら企業活動を行うことで、自然にSDGsの目標を達成できます。
ESGに取り組むことで、企業のイメージアップにつながるだけでなく、従業員満足度の向上や投資資金を集められるなどのメリットもあります。
この記事を参考に、自社でできるESGへの取り組みを考えてみてください。
▼NOLTYサステナは、SDGsに取り組もうとする企業に寄り添い、サポートするプログラムです。
SDGsに関する知識の習得支援やファシリテーター派遣などを通じて、サステナブル事業の推進に伴走します。詳しくは、以下をご覧ください。