コラム COLUMN

2024.02.14

SDGsの社内浸透が進まない理由は?進め方のポイントも解説

SDGsに対する取り組みを理解し、何らかの取り組みを始めている企業も少なくないでしょう。

しかし、トップや、担当者だけが重要性を理解していても、社員が重要性を理解できていなければ自発的な行動にはつながりません。実際に、SDGsの社内浸透が進んでいない企業は多くあります。

今回は、SDGsの社内浸透が進まない理由やSDGsの社内浸透を進めるためのポイント、具体的な取り組みの例を紹介します。SDGsに対する取り組みを全社的に進めたいと考えている方は、ぜひご覧ください。

目次

SDGsの社内浸透が進んでいない企業が多い

SDGsに対する注目度は高まっているものの、必ずしも各企業で取り組みや重要性が浸透しているとは限りません。

当社の調査では、環境やSDGsへの意識が「ほとんどの社員に浸透している」「全社的に浸透しており、みんなが意識しながら業務に取り組んでいる」と回答した企業は全体の3割程度でした。


2023年1月 NOLTYプランナーズ実施アンケート調査より(回答数529)

つまり、残りの7割程度の企業は、まだ環境やSDGsへの意識が十分に社内に浸透していないといえるでしょう。
SDGsはあらゆる企業・団体・組織が取り組むべきものとされていますが、実際に社内全体に知識を浸透させ、行動できている企業はまだそれほど多くないのが現状です。

SDGsの社内浸透が進まない理由

SDGsの社内浸透が進まない理由は、大きく次の3つが挙げられます。

●社内浸透の進め方がわからない
●SDGsに対する理解や知識が不足している
●社内でSDGsを推進する体制が整っていない

それぞれ、詳しく解説します。

●社内浸透の進め方がわからない

トップや担当者のSDGsに関する知識が不足しており、そもそも社内浸透の進め方を理解できていないケースも少なくありません。

SDGsは、2015年9月の国連サミットで採択された、比較的新しい概念です。SDGsに対する取り組みを始めてから日が浅いという企業も多いため、トップや担当者の知識が不足していることがあります。

良質な学習コンテンツを活用しながら、積極的に学習と情報収集を進めましょう。サステナビリティに関わる方のコミュニティに参加してみたり、関連テーマの展示会に足を運んでみたりすることも効果的です。
多くの社員に自分ごととして考えてもらうためには、トップが考えた取り組みを提案するだけではなく、社員がどのような分野に関心があるのか意識チェックを実施するのが効果的です。そのうえで、優先的に取り組むべき課題を決めましょう。

●SDGsに対する理解や知識が不足している

次に、社員の理解や知識の底上げを図ることも必要です。良質な学習コンテンツを活用するのはもちろん、社内で共通の認識を持てるような施策や学習方法が効果的です。
また、知識は持っていても、SDGsの本質や会社の方向性、業務にどのように関連しているのかという視点の不足が原因で、具体的な行動につながらないケースもあります。

会社や自身の業務との関連を考えられるような機会を作ったり、会社のパーパスについての理解を深めるためのインナーコミュニケーションを意識していくといいでしょう。

●社内でSDGsを推進する体制が整っていない

社内でSDGsを推進する前に、体制を整えることも重要です。

「なんとなく他の会社もやっているから」というぼんやりした動機では、社員の理解・協力は得にくくなってしまいます。逆にトップがいくら熱い想いを持っていても、「やりなさい」と指示を出すだけでは組織として動いていきません。

始めは担当者やプロジェクトを置いて準備を進め、できることから始めてみましょう。全体像や計画が見えてきたら徐々に専門部署などを設置するのがおすすめです。
また、担当者の孤立を避けうまく社内浸透を進めるためには、調整や対話が重要になってきます。風通しのいい組織作りを心掛け、環境を整えながら、進めていきましょう。

SDGsを社内浸透させるポイント

SDGsを社内に浸透させるためには、次のポイントを意識しましょう。

●共感を得られるような取り組みを行う
●SDGs関連の学習にメリットを提供する
●自然に取り組みができるよう毎日の業務に組み込む

それぞれ、詳しく解説します。

●共感を得られるような取り組みを行う

まずは、SDGsに対する取り組みへの共感を得ることから始めましょう。

SDGsを自分ごととして考えられなければ、自発的な行動にはつながりにくいです。社員がSDGsに対する取り組みの重要性に共感できるような方法で、社内浸透を進めましょう。

研修やセミナーを実施し、SDGsに対する取り組みがなぜ重要なのか、自社に対してどのようなメリットがあるのか理解を促すのもひとつの方法です。

また、普段の業務とSDGsのつながりがわかるような取り組みを行うのもよいでしょう。企業の社会的責任を果たすための活動やISO規格に沿った標準化の中で、すでにSDGsに貢献できているケースも多くあります。貢献できているポイントがあれば、整理して紹介することで、SDGsを身近に感じられるでしょう。そこから発展して、自社にマッチした取り組みを考えることも可能です。

●SDGs関連の学習や行動にメリットを提供する

SDGs関連の学習や行動について、社員が実施するメリットを提供するのも効果的です。
例えば、ZERO株式会社では、従業員に対してSDGs活動のために年間12日間の有給休暇を付与しています。また、エクネス株式会社では、古着や会社が指定したエシカルなブランド服の購入費、服のクリーニング代や修繕費などに対して、毎月5,000円まで支給する「エシカル手当」の制度を取り入れています。
参考:ZERO株式会社がSDGs特別休暇とSDGs特別手当を導入 参考:古着の購入を補助する「エシカル手当」が開始1年で全従業員の70%以上が利用

はじめは、メリットのために行動する社員が多いでしょう。しかし、取り組むうちにSDGsの知識や理念が浸透し、SDGsの重要性を自分ごととして理解できるようになる可能性があります。

毎日の習慣となっている行動を変えるのは容易ではありませんが、メリットを提供することで、自発的な行動を起こせる可能性が期待できます。

●自然に取り組みができるよう毎日の業務に組み込む

意識しなくても日常的にSDGsに対する取り組みができるよう、毎日の業務に組み込むことも重要です。

頑張らなければ続けられないことを長期間継続するのは難しいものです。一方、業務の中に組み込んでしまえば、毎日自然に継続できます。

例えば、営業担当者であれば直接訪問でなくオンラインでの商談を増やす、経理担当者であれば領収書や契約書、見積書などの書類をペーパーレス化する、といった方法が考えられます。ちょっとした工夫だけで取り組めることがないか、探してみましょう。

SDGsを社内浸透させるための具体的な取り組み例

SDGsを社内浸透させるための具体的な取り組みとしては、次のような例が考えられます。

●SDGsイベントを企画する
●SDGsのアイデアコンテストを実施する
●SDGs朝礼を取り入れる

それぞれ詳しく解説します。

●SDGsイベントを企画する

1つ目は、SDGsイベントを全社的に企画することです。
例えば、SDGsに関する長期的な取り組みとして各部署がどのようなことを実施しているか発表する機会を設ける、取引先企業が実施しているSDGsへの取り組みを、チームごとで調べて紹介しあうといったイベントが考えられます。

イベントを企画・開催するためには、担当者がSDGsに関する知識を身につけなければなりません。イベントを実施することで、自然とSDGsについて学ぶ機会を設けられます。
外部のサービスを利用してワークショップを行うなどの取り組みもおすすめです。参加者も、普段とは違う雰囲気の中で楽しくSDGsについて学べるでしょう。

●SDGsのアイデアコンテストを実施する

2つ目は、SDGsに貢献するためにどのような取り組みを行うべきか、アイデアコンテストを実施することです。
コンテストを実施することで、社員が自発的に同業他社や世界での取り組みを調べるきっかけとなります。社内全体からアイデアを募ることで、取り組みやすく効果が出やすい方法が見つかる可能性もあるでしょう。

社員自身に「何ができるか」を考えてもらいたい企業に適した方法です。

● SDGs朝礼を取り入れる

3つ目は、毎朝実施する朝礼を活用し、SDGsに対する意識を高めることです。
例えば三承工業株式会社では、その日の業務の中で、SDGsに貢献するためのアクションを発表しています。毎日継続することで、社員の環境に配慮する意識が向上したようです。

一人ひとりのちょっとした行動でも、SDGsに貢献できます。自分に何ができるか考えるきっかけがあると、少しずつ社員の意識が高まるでしょう。
参考:三承工業株式会社「SUNSHOW GROUP SDGs REPORT 2030年に向けた取り組み」

SDGsの社内浸透が進まない原因を分析しよう

SDGsの社内浸透が進んでいないと感じたら、まずは原因を分析し、対処法を考えましょう。
社員の自発的な行動を促すためには、自分ごととして考えてもらうことが重要です。実際の行動にメリットを設けつつ、イベントや朝礼など、社員が日々の活動の中で知識をつけられるような取り組みを実施しましょう。

この記事を参考に、まずは自社でできそうなことを見つけてみてください。

株式会社NOLTYプランナーズ