コラム COLUMN

2023.11.14

GXへの取り組みにおける中小企業の現状と課題-実施のガイドを紹介-

近年、GXが非常に注目されています。GXとは、グリーントランスフォーメーションのことです。石油燃料からクリーンエネルギーに転換し、産業構造や社会経済の変革を促します。
GXへの取り組みが重要視されている一方、中小企業ではなかなか進んでいないのが現状です。

この記事では、GXとは何か、中小企業におけるGXの課題や、GXを実践する際のガイドを紹介します。GXへの取り組みを始めたいと考えている方は、ぜひご覧ください。

目次

GXとは

GXとは、Green Transformation(グリーントランスフォーメーション)の略です。温室効果ガスを発生させる化石燃料から、太陽光・風力・地熱などのクリーンエネルギーへと転換し、産業構造や社会経済の変革を促す取り組みのことを指します。

GXでは、エネルギーの変革をネガティブなものと捉えないのが特徴です。カーボンニュートラルや脱炭素の動きをビジネスチャンスと捉え、新たな事業として取り入れながら温室効果ガスの削減を目指します。そのため、競争率を高めつつ社会にも貢献できるのです。

GXが求められる背景としては、深刻な環境問題の悪化と、それに伴いカーボンニュートラルへの注目が高まっていることが挙げられます。

多くのエネルギーを化石燃料に依存している現在、社会の仕組みを変えなければ、カーボンニュートラル(※)の実現は不可能です。そのため、経済的な利益を得ながらカーボンニュートラルの実現に近づけるGXが注目されています。

また、化石燃料の枯渇を防ぐうえでも、再生可能エネルギーを使用するGXは注目を集めています。

※温室効果ガスを吸収、もしくは除去する仕組みを作り、排出量実質ゼロを目指す考え方

中小企業におけるGXの現状

中小企業におけるGXはまだ認知度が低く、ほとんどの企業が取り組めていないのが現状です。今から取り組みを始めれば、消費者や投資家から注目を集められる可能性があります。

中小企業におけるGXの現状について、以下の3項目に分けて詳しく解説します。

●中小企業ではGXの認知度が低い
●中小企業の8割はGXに取り組めていない
●気候変動に無関心な経営者も多い

●中小企業ではGXの認知度が低い

フォーバルGDXリサーチ研究所の調査では、GXについて「知らない」「よく知らない」「知っているが説明できるほどではない」と回答した中小企業経営者の割合は、合計で90%を超えました。

出典:PR Times「〈中小企業のGXに関する実態調査 第1弾〉中小企業経営者の9割以上がGXについてよく知らない!?」

中小企業経営者のほとんどが、GXをよく知らない状態だといえるでしょう。

GXへの取り組みを行う前に、GXについて知識を深めなければなりません。

●中小企業の8割はGXに取り組めていない

中小企業では、GXへの具体的な取り組みも進んでいません。フォーバルGDXリサーチ研究所の2023年4月の調査では、76.7%の企業がGXに取り組めていないと回答しています。

出典:ブルーレポートmini 2023年4月号

GXに取り組めていない中小企業が多い理由として、調査時点では、GXが注目され始めてまだ間もなかったことが挙げられます。日本では、2022年2月に「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定されました。中小企業の多くは、その後1年程度では対応が間に合わなかったと考えられます。

また、GXでは目標の設定や効果検証が難しいことも、理由のひとつです。費用や時間をかけてGXを実践しなければならない以上、効果を明確に検証できないと取り組みにくい、と考えるのは無理もないでしょう。

GXが短期的な利益に結びつかないことも、先延ばしにされやすい理由です。資金に余裕がなければ、GXのようなすぐに利益に結びつかない取り組みには、なかなか手をつけられないという課題があります。

●気候変動に無関心な経営者も多い

中小企業経営者のうち、気候変動に関する情報収集を「ほとんどしていない」「まったくしていない」と回答した経営者は全体の57.7%でした。

出典:ブルーレポートmini 2023年4月号

気候変動に関する情報収集をしていない理由について、多くの企業は「自社には関係ない」「自社はまだ気にするには早い」と考えていることもわかりました。

出典:ブルーレポートmini 2023年4月号

このように、気候変動に無関心な企業も多いため、情報収集を始めておくだけでも、他社より一歩先に進めるでしょう。

中小企業がGXに取り組む際に発生する課題

中小企業がGXに取り組む際には、次のような課題が発生します。

●GXに対する知識不足
●人材や時間の不足

それぞれ、詳しく解説します。

●GXに対する知識不足

フォーバルGDXリサーチ研究所の調査によると、「光熱費や燃料費の節約」「温室効果ガス排出量の測定」といった複数の項目で、「どうしたらいいかわからない」ため取り組みを行っていない企業が多くあります。

出典:ブルーレポートmini 2023年4月号

出典:ブルーレポートmini 2023年4月号

ここから、GXへの取り組みを実施できない理由のひとつは、GXに対する知識不足であることがわかります。

知識不足は、情報収集で解決できるケースが多いです。GXの取り組みを始める場合には、まず情報収集からスタートしてみましょう。

●人材や時間の不足

中小企業がGXに取り組めていない理由として「対応する人材がいない」「対応する経済的な余裕がない」「対応する時間の余裕がない」といった項目も挙げられています。

自治体によっては、GXへの取り組みに対して補助金を用意している場合があります。利用できる補助金がないかチェックしてみましょう。

GXへの取り組みガイド

GXへの取り組みは、次のステップで進めましょう。

1. 長期的な視点でエネルギー転換の方針を立てる
2. 短期間でできるエネルギー削減案を洗い出す
3. 再生可能エネルギー電気の調達を検討する
4. 計画を精査し取りまとめる

それぞれ、詳しく解説します。

1. 長期的な視点でエネルギー転換の方針を立てる

まずは、長期的な視点でエネルギー転換に関する方針を立てましょう。事業の中で、少しでも電化・バイオマスの利用・水素の利用などができないか模索してみてください。

とはいえ、すぐにエネルギーの種類を変えるのは難しい場合も多いです。今すぐ切り替えるのが難しい場合には、段階的に転換を進められるよう、長期的な計画を立てることが大切です。

2. 短期間でできるエネルギー削減案を洗い出す

上記で計画した長期的なエネルギー転換の方針を前提としつつ、短期間でできる省エネ案を洗い出しましょう。省エネ対策は、次の3種類に分類できます。

 運用改善

 空調機のフィルター清掃、不要な場所・時間帯の消灯など

 部分更新・機能付加

 タイマーやセンサーの追加、断熱強化など

 設備導入

 LED照明の設置、高効率給湯器の導入など

エネルギー削減案を洗い出したら、エネルギーの転換と削減により、どの程度温室効果ガスの排出量を減らせるのか概算しましょう。概算の結果、目標の達成が難しい場合には、次の項目に進みます。

3. 再生可能エネルギー電気の調達を検討する

上記の2項目で目標を達成できない場合には、再生可能エネルギー電気の調達を検討しましょう。再生可能エネルギー電気は、温室効果ガスを排出しません。そのため、電気をエネルギーとして活用する際に発生する、温室効果ガスの量を減らせます。

再生可能エネルギー電気の調達には、次のような方法があります。

●小売電気事業者との契約
●自家発電(第三者所有モデル)
●再エネ電力証書等の購入

必要な電力量や立地などによって、どの手段を選ぶか検討してください。

●計画を精査し取りまとめる

ここまでの手順が完了したら、最後に計画を精査し取りまとめます。想定される温室効果ガス排出量や投資金額、光熱費・燃料費の増減を整理し、トータルでどれだけの金銭的負担がかかるのか確認しましょう。

さらに、各年の温室効果ガス排出削減量や、キャッシュフローへの影響を集計し、取りまとめます。

環境省が発表している削減計画の取りまとめイメージは次の通りです。

出典:中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック

取りまとめを実施したら、次のような観点から計画を精査しましょう。

●目標達成は可能か
●追加的な費用支出を許容できるか
●詳細の検討をどのように進めるか

補助金や設備投資による税負担の軽減も考慮しながら、無理なく計画を実行できるか検討してください。

まずは情報収集から始めよう

GXとは、化石燃料からクリーンエネルギーへ転換し、産業構造や社会経済の変革を促す取り組みのことです。深刻化する環境問題への対策として重要であるものの、中小企業の多くはまだ取り組みを始められていません。

今後GXに向けて取り組もうとしている場合は、まず情報収集から始めることが大切です。スタートが早ければ、その分競合他社と大きく差をつけられるでしょう。

株式会社NOLTYプランナーズ