MENU

手帳指導コラム

NOLTYスコラ プログラム

中学校・高校の「手帳」に関する記事をまとめています。

2021.09.24

「4つのC」で品格ある個人の能力(コンピテンシー)育成を目指す 神田女学園中学校高等学校インタビュー①KANDA×NOLTYスコラ」

グローバル教育に力を入れ、「革新的女子教育校」として唯一無二の取り組みを進める神田女学園中学校高等学校。同校では「深い知識と広い教養を身に付けた品格ある個人」の育成に向け、NOLTYスコラ プログラムとNOLTYスコラ 探究プログラムをご導入いただいています。神田女学園中学校高等学校の目指すところについて、宗像校長にお話を伺いました。

 

宗像 諭学校長

 

―貴校は教育におけるコンセプトやビジョンが確立されていると感じます。どういった工夫をされているのでしょうか。


企業でいうところの「コーポレート・アイデンティティ」のように、学校も「スクール・アイデンティティ」といった「概念を言語化し、統一した形で見せていく」必要があると思っています。

ビジョンとコンセプト、プログラムについての関連性をあまり意識されていない学校が多いように感じます。たとえば留学についても、「うちにはこんなプログラムがある」という紹介だけになってしまい、「なぜ留学させたいのか」というコンセプトが見えなくなってしまっているんですね。

本校には「ダブルディプロマプログラム(現地校と本校の2つの卒業資格を得られる)」というプログラムがありますが、まず「英語が当たり前の社会になったときに現地での留学経験、現地で学ぶ経験が活きてくる」というコンセプトを考えました。そのような社会になった時、「留学するなら留学経験だけでなく卒業資格を取らせたい」というビジョンを描いて、そのために、「どんなプログラムにするか…」という順番で考えました。

 

本校は女子教育校ですが、社会的な背景を見ると、日本社会はジェンダーギャップ指数が世界の中でも低いと言われています。ビジネス社会ではこれからそこを埋めていくことが求められる時代が来ると考えています。今の中高生が社会人として活躍する10年後、その時代が来たとき、「女子教育校という環境の中で様々なことにチャレンジした経験がある子が、社会で最適解に近づけるのではないか。」その力を養うためにも女子における中高教育はとても大切だと思いますし、女子教育だからこそチャレンジできる環境が必要だと考えて、具体化したのがダブルディプロマプログラムや多言語教育です。

 

――先を見通して取り組まれた結果が現在の貴校のプログラムになっているのですね。

 

多くの学校では「過去」の実績で語られることが多いですが、中学生になった生徒が中高6年間、大学4年間を経た後の10年後の社会がどうなっているかをイメージする教育が重要だと思っています。2030年の社会にどのような人が活躍するか、そのためにどのような学びが必要か、その学びに必要な経験やプログラムは…と逆算していくと必要な教育が見えてきます。本校では多言語教育が一つのキーワードになると考え、英語だけに縛られることなく、様々な言語を使って本当のグローバル社会につながっていく。そのようにコンセプトを再構築したことで、より共感してくださる方が増えました。

「未来」を想定した教育をしていることで、おかげさまで本校には日本中の大学から「高大連携」を結びたいという申し出が殺到しています。前述したような本校の教育のビジョンやプログラムを、大学側からも非常に魅力に感じていただいているようです。その中でも大学の知名度に関係なく、本校のビジョンと本当に親和性の高い大学と連携していきたいと考えています。(※取材時、国内外10大学と連携)

 

2022年から2024年にかけての大きな入試改革で、変化をためらう学校は厳しい状況になっていくでしょう。そういった中で、逆に本校のような革新的な取り組みに挑戦している学校にとっては2024年の入試改革は大きな意味を持つと考えています。総合型選抜や学校別推薦など、テストの点数だけではない入試制度が増えてきたときに、本校の特色である海外留学経験があったり、英検準1級を持っていたり、ダブルディプロマプログラムを利用して海外の卒業資格を持っていたり、といった生徒個々の強みが生きてくると思っています。また前述した通り、高大連携による様々な全国の大学とのつながりがあることで、その子の学びたい環境に合わせた大学に進学することができます。本校は首都圏にあるため、自分の学びたいことを中心にして、首都圏にかかわらず4年間学んだ後、東京へ戻ってきやすい点も優位性だと考えています。実社会では多様性、いろいろな価値観を持っている人が求められます。地の利を活かして、「大学進学は全国に目を向けて価値観を広げていくこと」も必要な時代になってきたと考えています。

 

――地元にずっといたら井の中の蛙になってしまいがちですが、大学では違う地域に行くことで知見を広める。多角的な視野から価値観を広げ、社会人になることは大切ですね。

 

これからは国内外を問わず、本当に学びたい教育と環境で学校を選ぶ時代になると考えています。大学進学時に全国に出るだけでなく、ぜひ全国から入学してほしいと思い、それに備えて女子寮も契約しています。どうしても中高受験は地域密着になってしまいがちですが、日本全国から生徒が集まるような学校でなければ、本当の意味での多様性が保てないと思います。本校のプログラムは「オンリーワン」の内容が多いので、地方からもぜひ入学していただき、多くのことを身に付けて地元に戻ってほしいと考えています。

 

――話が少し変わりますが、ホームページを拝見して、多言語教育以外にも特徴的なキーワードが並んでいました。「品格ある個人」や「4つのC」についてもお聞かせいただけますか。

 

本校では「品格ある個人」の育成を目標としています。「女子」としての前に「個人」として生きている。男女というのは生物学的な違いだけであって、人としては「個人」であると考えています。また、品格は「知識と教養と行動規範」を伴うものと定義しました。「知識」があって、知識を「教養」として活用し、それを「行動」に移さないと意味がないと考えています。「主体的に行動しよう」とか「リーダーになろう」とかよく言われますが、主体的に行動するにしてもリーダーになるにしても、その人の「行動規範」がなければただの自由な人になってしまいますし、主体的にやろうとしてもただの迷惑な人になる可能性もあるかもしれない。そう考えて行動規範のある人を「品格ある個人」というキーワードを使って表しています。

 

また「コンピテンシー」言い換えれば「人として求められる能力」「その人の核となる能力」を分解して「4つのC」(Critical Thinking=多角的に考える力、Communication=相手を理解し伝える力、Collaboration=ナカマと協働する力、Creativity=新しい価値を創造する力)と定義付けして教育を行うときに大切にしています。

「4つのC」はマニュアルや誰かに教えてもらうものでなく、学校生活を通してでないと身に付けられないものと考えました。例えば海外の大学ではディスカッションをするときだけ学校に集まったり、ネットで動画を見て予習してから登校したり、コロナの影響もあって「学校でしかできないことを学校でやり、学校外でもできることは外でやる」というスタイルになりつつあります。このようなスタイルは「なぜ」なのか、「学校でしかできないことはなんだろう」と考えたときに、コンピテンシーを身に付ける学びは学校でしかできないということに気がつきました。友達とのふれあい、何気ない日常、他者を通して自分を見つめるなどは中高生にとって学校でしかできないことだと思います。


――ホームページ内でもそうですが、コンセプトが伝わる言葉選びを工夫されているように感じます。校長先生がその言葉を発した時に、周囲の先生の共感を呼び、巻き込んでいかないとなかなか学校全体として広がっていかないと思いますが、言葉選びで気を付けていることや、周囲を巻き込むときに工夫していることはありますか。

 

大学院修了後に学習塾を運営する民間企業に勤務していましたが、転籍して学校経営に携わるようになった際、勉強のために100近い学校説明会、80近い学園祭を見に行きました。そこで学んだことの一つに、学校というのは「利潤の最大化」を求めなくていい環境であるので、正論というか、王道をきちんと示すことが人々に響くと気が付きました。「生徒にとっての幸福の最大化」を求めるために正論を伝えることが必要だと強く感じて、教育者であれば必ず共感いただける言葉を使っています。

あとは、私たちが想像している以上に、生徒たちにとって中高生活は限られた時間です。卒業までの間に、10年後にも活躍できるために「何を与えられるか」「なぜそれが必要なのか」を伝えることによって、多くの先生に共感してもらうようにしています。


 

以前参加させていただいた学校説明会では、説明の中心話題として9割の学校が「卒業生の合格実績」を語り、残り1割の学校が「創立の歴史」を語ります。その中で「なぜ過去の話を聞いて自分の子の将来を託せるんだろう」と違和感を抱いていました。学校の選択には過去(実績)、現在(プログラム)、未来(ビジョン)の視点があるはずです。学校の選択には様々な価値観があると思いますし、家庭ごとに違っていいと思います。過去の実績やプログラムで学校を選ぶのもいいと思いますが、子供を預けるのに「10年後、どう成長していてほしいか」そこを思い描いて期待できる学校を選ぶという選択肢があるのも面白いと思いました。神田女学園はそういった「未来で選択」される学校にしていきたいという考えのもとで運営しています。

 

また、本校に奉職(元広尾学園教務本部長、前開智日本橋学園副校長を経て3年前に現校へ)し「そもそも女子教育校の存在意義は?」と考えながら色々な施策に取り組んできました。少しずつですが、本校が世の中に求められている確かな手ごたえと本校の社会的使命を感じています。本校は創立130年という伝統があります。近年、女子校を取り巻く環境は厳しく、本校も時代とのギャップにより15~20年来の冬の時代を迎えていました。しかし創立以来の歴史を見たら女子校として愛され社会的使命を果たしてきた時代の方が長いことに気がつきました。だからこそ、女子校ならではの教育を示し、本校の社会的使命をブラッシュアップし次世代に求められる教育をすることで、「次世代の女子教育校」のあり方を示すことができるのではないか。様々なことにチャレンジし、概念を変えていく学校、すなわち「革新的女子教育校」として本当に求められる教育を提供していきたいと考えています。

 

 

――お話を伺っていて、貴校の目指す生徒像と弊社NOLTYスコラ プログラム・探究プログラムのコンセプトは非常にリンクしていると感じました。貴校の教育の中でどのように使っていきたいとお考えでしょうか。

 

4つのC」は探究的な行動力がないと成り立たないものだと考えています。探究プログラムは、それを学ぶためのものが一つの素材、ツールとしてまとめられていてとても優れている教材だと思っています。

 

スコラ手帳は本校のような次世代の教育に親和性が高いと感じています。似たような商品があっても、コンセプトやロジックなど親和性が高くないと、教員も生徒もなかなか長続きしないと思います。

 

最近は、電子端末に「入力する」ことがスキルとして求められますが、「書く」ことによって自分を律するのが人間としての本能だと思っています。だから生徒たちが自分の人生を有意義にするために必要なタイムマネジメントとセルフマネジメントを身に付けられるように、スコラ手帳を書いて、自己管理をちゃんとやっていこうと話しています。「セルフマネジメント」と「タイムマネジメント」ができるようになれば自然と「アンガーマネジメント」や「グリッド」などもできるようになります。基本は自己管理で、手帳はそのために必要なツールです。「書く」ことによって考えを言語化し、「したためる」ことで想いをのせることができる、スコラ手帳はとてもよくできていると思います。学びの中でいいスパイスになっています。

 

また生徒には、自分なりに手帳を書く「意味」と「価値」を見つけてもらいたいと思っています。人それぞれ解釈があってよくて、自分自身の意味を持つことが自分自身の価値になるはずです。あとは自分自身の考えていること、ほかの人から聞いたことを自分の言葉で言語化する力をスコラ手帳を通して身に付けていってほしいですね。言語化する能力を身に付け、これからの多様性の社会の中で活躍できる人材に成長していってほしいと思います。

 

 

 

神田女学園中学校高等学校のホームページはこちら

 

探究活動で主体的に行動する力を育む 神田女学園中学校高等学校インタビュー②KANDA×NOLTYスコラ探究プログラム

 

スコラ手帳で未来を見通す力をつける 神田女学園中学校高等学校インタビュー③KANDA×NOLTYスコラプログラム


探究×文化祭で学びをあそびに変える 神田女学園中学校高等学校インタビュー④KANDA×姫竹祭×NOLTYスコラ 探究プログラム

株式会社NOLTYプランナーズ