COLUMN

2024.04.05

従業員エンゲージメントを向上させた企業の取り組み事例を紹介

従業員エンゲージメントとは、自社に対する愛着のことです。従業員エンゲージメントを高めることで、離職率の低下や生産性の向上といったさまざまなメリットが得られます。

この記事では、従業員エンゲージメントがどのようなものか詳しく解説するとともに、実際の取り組み事例を紹介します。

他社の成功事例を参考に、自社の従業員エンゲージメント向上に挑戦しましょう。

目次

従業員エンゲージメントとは

従業員エンゲージメントとは、従業員が自社に対して抱く共感や愛着のことです。従業員エンゲージメントが高まると、自分が働いている会社に積極的に貢献したいという気持ちが高まります。

従業員エンゲージメントが注目されるようになった背景には、労働力不足と働き方の変化があります。

日本では、少子高齢化に伴う労働人口の減少により、人手不足が深刻化しているのが現状です。人材確保が難しくなっている中、企業には限られた人材を有効活用するための取り組みが求められます。人材定着率や生産性の向上を目指すために、従業員エンゲージメントを高める取り組みが注目されるようになりました。

また、働き方の変化により、帰属意識の低下が懸念されているのもポイントです。昨今では、終身雇用制度や「通勤してオフィスで働く」という働き方が当たり前ではなくなっています。人材の流動化や、リモートワークの浸透によって従業員がオフィスで顔を合わせる機会が減ることで、帰属意識が低下する恐れがあります。そのため、従業員エンゲージメントを高める取り組みが重要視されているのです。

以下では、従業員エンゲージメントと混同しやすい、従業員満足度とモチベーションとの違いについて解説します。

従業員満足度との違い

従業員満足度は、従業員が自社に満足しているかどうかを示すものです。自社に共感や愛着、貢献したい気持ちがあるかどうかとは無関係な点が、従業員エンゲージメントとの違いです。

例えば、従業員満足度は「毎日定時で帰宅できる」「給料が高い」「仕事が難しくない」といった理由でも向上する可能性があります。

モチベーションとの違い

モチベーションは、仕事を頑張ろうという気持ちがどれだけあるかを示すものです。背景に企業への共感や愛着があるとは限りません。

例えば、「転職するために今の会社で実績を残したい」といった気持ちがある従業員は、企業に対して愛着を持っていないものの、仕事に対するモチベーションが高い状態といえます。

従業員エンゲージメントを高めるメリット

従業員エンゲージメントを高めると、次のようなメリットがあります。

●離職率を下げられる可能性がある
●優秀な人材の採用につながる
●従業員のモチベーション向上につながる
●顧客満足度の向上につながる

それぞれ、詳しく解説します。

●離職率を下げられる可能性がある

従業員エンゲージメントが高まることで、離職率を下げられる可能性があります。従業員が自社に愛着を持ち、「この企業で長く働きたい」と考えるようになるためです。

優秀な人材の離職を防げれば、生産性の向上や、新しい人材の獲得にかかる採用・教育コストを削減できます。

●優秀な人材の採用につながる

従業員のエンゲージメントを高めることで、優秀な人材をリファラルで採用できる可能性が高まるのもメリットです。

従業員が自社に対して愛着を持つことで、知人にも紹介したいと考えるようになります。紹介された側も、知人が生き生きと働いている会社であれば、安心して入社できるでしょう。

リファラル採用に成功すれば、優秀な人材を確保しやすくなり、求人にかかる費用も削減できます。

●従業員のモチベーション向上につながる

従業員エンゲージメントが高まると、仕事に対するモチベーションも向上します。自社に対する帰属意識が高まり、自身の仕事に熱意や誇りを持つようになるためです。

従業員が自発的に仕事をするようになれば、生産性向上も期待できます。

●顧客満足度の向上につながる

従業員エンゲージメント向上により、商品やサービスの品質が向上し、顧客満足度アップにつながる可能性もあります。一人ひとりが誇りや責任感を持って仕事に取り組むようになるためです。

顧客満足度が高まることでリピーターが増え、売上アップにもつながるでしょう。

従業員エンゲージメントを向上させるための施策

従業員エンゲージメントを向上させるためには、次のような施策が考えられます。

●企業理念を浸透させる
●人事評価制度を整備する
●社内でのコミュニケーションの機会を増やす
●キャリアアップのサポート体制を整える
●ワークライフバランスの取れた働き方ができるようにする

それぞれ、詳しく解説します。

●企業理念を浸透させる

従業員エンゲージメントを向上させるためには、企業理念の浸透が欠かせません。理念を知らなければ、従業員が自社に対して共感することは難しいためです。

企業理念を浸透させる方法はさまざまですが、なかでも社員手帳の活用が有効です。企業理念を印刷した社員手帳を配布することで、手帳を開くたびに従業員が企業理念を目にすることになります。企業理念を自然に社内に浸透させられるでしょう。

企業用のオリジナル手帳を活用したい方は、以下の記事もご覧ください。

コラム:インナーブランディングとは?目的や手法・メリット・デメリットを解説

●人事評価制度を整備する

人事評価制度を整備することも効果的です。従業員が人事評価に不満を抱いている場合、従業員エンゲージメントを向上させるのは難しいでしょう。従業員が「自分の頑張りが正当に評価されている」「成果を正しく評価してくれる企業だ」と感じられれば、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上が期待できます。

従業員の成果を正しく評価できる、適切な人事評価制度を整備することが大切です。

●社内でのコミュニケーションの機会を増やす

社内のコミュニケーションを活性化させるのも1つの方法です。具体的には、情報共有ツールを活用したコミュニケーションの活性化や定期的な1on1の実施、社内イベントの開催といった方法が挙げられます。

コミュニケーションがとりにくい環境では、従業員が自分の希望や意見を自由に言うのが難しくなってしまいます。悩みがあっても上司になかなか言い出せず、離職してしまう可能性もあるでしょう。

従業員が安心して働けるようにするためには、社内でのコミュニケーションの機会を増やし、風通しのよい職場環境を整えることが大切です。

●キャリアアップのサポート体制を整える

キャリアアップをサポートできる体制を整え、従業員を支援するのも効果的です。

キャリアの見通しを立てるのが難しい状態では、従業員は「今のままでいいのか」と不安を感じてしまうでしょう。また、仕事をしていても成長を実感できない場合、会社に貢献したいと思う気持ちが薄れてしまう可能性があります。

「もっと成長して会社に貢献したい」と思ってもらうためには、従業員が働きながらスキルやキャリアを磨ける環境を整えましょう。

●ワークライフバランスの取れた働き方ができるようにする

ワークライフバランスの取れた働き方ができるよう支援することも重要です。具体的には、フレックス制度を取り入れる、ノー残業デーを設置する、などの方法が考えられます。

従業員が健康的に働けない環境では、従業員エンゲージメントは向上しません。たとえば、残業や休日出勤が多く十分な休息をとれない場合、従業員はストレスを感じてしまいます。心身の不調で休職や離職につながってしまう可能性もあるでしょう。

従業員エンゲージメントを向上させるためには、従業員が健康的に生き生きと働ける環境を整える必要があります。

従業員エンゲージメント向上のための取り組み事例

ここでは、従業員エンゲージメント向上のために積極的に取り組んでいる企業事例を2つ紹介します。

●株式会社ベネッセホールディングス
●株式会社小松製作所

●株式会社ベネッセホールディングス

株式会社ベネッセホールディングスでは、従業員が健康に働ける環境整備を強化している企業です。

ベネッセホールディングスでは、社員やその家族の健康管理を重要な経営課題と捉えています。そして、人間ドックや特定健診の実施、からだの相談・こころの相談窓口を設置するなど、「健康づくり活動」を推進しているのが特徴です。

従業員が健康に生き生きと働けるようになれば、従業員エンゲージメントが向上し、一人ひとりが高いパフォーマンスを発揮しやすくなります。

参考:株式会社ベネッセホールディングス「働く環境の整備」

●株式会社小松製作所

株式会社小松製作所は、イタリアの工場において、従業員エンゲージメントを高めるためのプロジェクトをマネージャー層に対して実施した企業です。

当時、イタリアの工場では不況に苦しんでおり、経営層は従業員エンゲージメントの低下に悩んでいました。そして、今後の会社の成長に役立つ従業員のスキルを開発するためにも、従業員エンゲージメント向上に向けて取り組むべきと判断しました。

そこで、小松製作所はマネージャー層に対して従業員エンゲージメント向上のための研修やワークショップを実施します。マネージャーは、経営層よりも現場の従業員に近い存在です。マネージャーが部下のモチベーションやチームワークの高め方などを理解することで、エンゲージメントが112%、向上のパフォーマンスが9.4%向上したといいます。

参考:sixseconds「The Komatsu Case」

従業員エンゲージメント向上の取り組み事例を知って自社に活かそう

従業員エンゲージメントとは、企業への愛着や共感を示すものです。従業員エンゲージメントが高まると、従業員が会社に貢献しようとする気持ちやモチベーションが高まります。そのため、離職率の低下やサービスの品質向上などにつながるでしょう。

従業員エンゲージメントを高めるためには、社員手帳を活用した企業理念の浸透や、コミュニケーションの機会を増やす方法が効果的です。この記事で紹介した事例を参考に、自社での取り組み方法を考えてみてください。

株式会社NOLTYプランナーズ