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探究指導コラム

NOLTYスコラ 探究プログラム

中学校・高校の「探究」に関する記事をまとめています。

2022.06.09

メタ認知を教育に導入するメリットは?重要視されている理由と事例

変化の早い社会において、それと同調するように学校教育も変化も早くなっています。その中でも特にメタ認知能力の育成の重要性が高まっていることは文部科学省の資料などからも伺うことができます。本日はメタ認知能力とはどのようなことであるか、そしてどのような学習方略が取り組まれているのか、将来より重要視されていくメタ認知能力の育成について掘り下げて、整理しながらみていきたいと思います。

目次

メタ認知の基礎知識

メタ認知とは?

メタ認知とは自分を客観的に認知する能力と言われています。メタには高次という意味があり、物事や学習者自らの状況をより高い視点、俯瞰した状態で見ることができる力です。メタ認知能力を高めると物事の視点が変わり、自分をより客観的に観察することが可能となり、通常よりも自己分析しやすくなります。
メタ認知は客観視した状態で自分を見ることが重要ですから、先生や保護者、第三者など外部からの言葉、フィードバックを受けることでメタ認知が形成されていくという特徴があります。
教育現場でメタ認知を意識した活動を導入することで、メタ認知の能力の高い児童、生徒に育てられるということが期待されています。
社会における具体例:メタ認知の能力が高い場合、プレゼンテーションで自身の行動が分析することできます。
話すスピードや出席者の理解度などを客観的に把握することができるため、相手が理解できるように、話すスピードを調整したり必要な図を差し込んだりとなどの配慮ができるようになり、よりわかりやすいプレゼンテーションを行えるため、社会で評価されやすいというったことが可能になります。

メタ認知的知識とメタ認知的技能

メタ認知的知識:自分自身の傾向や特性を理解する知識的な能力のことです。
例:自分の長所・短所、傾向、課題、方略、考え方など知っていること。

メタ認知的技能:メタ認知的知識を把握した上で、現在の自分自身の状況を把握したり対策を講じたりする能力です。
例:自分自身をモニタリングする技能、自己評価する力、改善に向けて対策を立てたり、目標達成に足りない知識を補ったりすること、自分をコントロールする力。

両方の能力が高い人は、自分のことを客観視できるため、ミスが少なくなり苦手分野も克服しやすいとされています。このように自分自身をより高めていくためにメタ認知能力の育成はより重要性を高めており、今後社会に出て生活していくために必要なこととされています。

メタ認知の育成が教育界で重要な理由

学習指導要領が改訂されたため

新しい学習指導要領では、3つの柱となる資質・能力の育成を地域や学校、生徒の状態に応じてバランスよく育成する必要があると示されています。 新しい学習指導要領は、小学校で2020年度から、中学校で2021年度から、高等学校で2022年度からと順次、実施されています。 3つの柱とは:「知識及び技能」の習得、「思考力、判断力、表現力等」の育成、「学びに向かう力、人間性等」の涵養の3つとなります。 3つの柱は社会に出て生きていく力として必要と考えられていますが、子どもたちをみてそれらをバランスよく育成する際にメタ認知の力を向上させていくことが重要とされています。

学生の人生に役立つため

様々な状況に置かれたときに自己の感情や行動を統制するために、状況を客観視してコントロールするメタ認知の能力が必要とされています。 客観的に自分が見つめ直せるので、自己の特徴を分析することができる人間に成長します。 自分の感情や傾向を客観的に捉えることができるため就職や進学の際に、自分の興味や関心を把握して自分で目指す方向性を理解・決定できるようになります。

メタ認知を教育に導入するメリット

学習についてコントロールできるようになりやすい

学習する意図や意味づけを自分自身で行うことができるようになるため自主的に学習を行えるようになり、過去の手順などを把握してより効率の良い学習が行えるようになります。 自分の時間の使い方を客観的に把握することができるため、時間の使い方の偏りや自分の苦手と得意な科目を自己分析し、行動改善することができます。また、どの科目を重点的に学習すべきなのか判断するといったことができるようになります。

コミュニケーション能力を高めやすい

自分自身のことをより客観的に把握できるため、弱点や苦手なことを理解し、周囲の人に助けを求めたり、サポートをお願いしたりすることができます。また、全体の状況を理解しているため、相手を見て、必要な人間関係の構築を円滑に築けるようになります。 特にビジネスにおいて初対面の人や様々な価値観の人と円滑なコミュニケーションを取り、仕事やプロジェクトを進めていく必要があります。このように全体と自己を把握しながら仕事を進められる力は社会人でもそう多くの人が持っている力ではなく、社会的に必要とされる人材と言えます。  そうした人材になることで会社の中心、コアメンバーとして頼られることも多くなりますし、自身のキャリア形成においてもキャリアアップが図りやすくなります。

目標を定めやすくなる

自分の能力を高くもなく、低くもなく適切に把握しているため、目標やタスク、勉強や仕事、作業などがいつまでに完了するか、見通しを立てることができます。 全体の状態をバランスよく把握しているため、無理なスケジューリングによる納期の遅延や過度なスケジュールにならないため、計画的に仕事を行うことができます。このような仕事ができるため、同僚や上司から仕事内容を評価されやすいです。

メタ認知の育成を目指した教育の例

メタ認知の力を子供たちにつけていくための効果的な実践例にはどのようなものがあるのでしょうか。いくつか紹介していきたいと思います。

事前に学んでほしい内容を共有する

最初に中学生・高校生に1年間で身に付けてほしい能力・スキルについて先生から具体的に伝えることが大切になります。教科の授業を通して中高生に考えて欲しいこと、なってほしい姿を教師が示すことです。そのようにすることで中高生が何を期待されているのかを理解し、学びに関する意欲や関心を向上させていくことに繋がります。

リフレクションシートの活用

授業ごとや学期などでリフレクションシートを活用する方法です。リフレクションシートに今後の課題やしたいことなどの項目を予め設けておき、生徒が記載するためのものです。 授業や行事において自分自身の学びや気づきを振り返ることができるため、自分を客観的に捉えるきっかけとなり、メタ認知を育むことができます。シートを予め生徒に共有しておくことでどのようなことに意識や行動をすればいいのかを提示できるというメリットもあります。  また、記入したシートを振り返ることで自分の今までの行動や傾向が分析できますので、自分に適した効率の良い行動方法を理解することができます。

板書発表と口頭発表の実施

板書発表と口頭発表の生徒に分けるという実践例もございます。  板書発表の生徒は学習内容に対する自分の考えを板書し、その板書した内容を口頭発表の生徒が読み解き発表するという方法です。他者から発信された情報を読み取り、他の他者に説明するといく訓練になります。また、論理的に全体を把握し、他者の理解度合いなどを確認しながら説明するという行いが、メタ認知の向上に繋がる取り組みとなります。

メタ認知を育成しないとどうなる?

自分の能力の客観的把握ができなくなりやすい

自分の状態や能力を客観視してみることができないため、それを超える仕事や案件を受けてしまいやすく仕事が回らない状態に陥りやすくなります。また、自分のキャパシティを超えてしまい、納期通りに仕事が終えられないというったことがおきるでしょう。最悪の場合、トラブルに発展してしまい、責任が問われる可能性なども発生することがあるかもしれません。

うっかりミスが多くなりやすい

自己分析が甘く、全体の状況把握が弱いため、ミスを引き起こしやすくなる可能性があります。また、なぜミスをしたのか振り返らないことから、ミスの原因を掘り下げて考えることができないため、何度も同じミスを繰り返してしまうといった傾向になりやすくなります。 また、このようなミスが改善されないことから、自身の評価が下がってしまう原因になることも考えられます。

自分を客観視できなくなりやすい

他人からどのように見られているかを推し量ったり理解したりできなくなりやすく、周囲の人と自己の評価がズレてしまいやすくなります。その結果、自信がなくなってしまい、主体的な行動が少なくなりやすくなります。また、苦手なことの原因がわからなくなりやすく、自分自身での克服が難しくなります。

(まとめ)メタ認知を教育に導入するメリットは?重要視されている理由と事例

ここまでメタ認知について基本的なことからポイント、実践例などについて解説してみました。 メタ認知の向上を教育の中に取り込んでいく活動は今後、ますます増えていくと予測されています。また、メタ認知能力が高い生徒は成績が上昇しているという研究なども増えてきています。さらに複雑さをましている社会の中で、問題を本質的に捉えて問題解決する力はますます重要となっています。その課題を本質的に捉えるためにはメタ認知の力を向上させることが教育のポイントと言えます。 また、教科を横断しながら学ぶ探究活動は、普段の授業とは違う様々な学びや気づきの多いカリキュラムと言えます。リフレクションや発表などの活動を通して生徒のメタ認知向上に貢献できる授業になると考えられます。

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