MENU

探究指導コラム

NOLTYスコラ 探究プログラム

中学校・高校の「探究」に関する記事をまとめています。

2022.05.23

資質・能力の育成とは?学生に必要な3つの柱と探究学習の関係

様々な媒体での発信の中で『資質・能力』という言葉を目にする機会が増えてきました。世界や社会を取り巻く環境が早いスピードで変化する中、資質・能力の育成、コンピテンシーやリテラシーの向上に関する学校教育の重要性が高まっています。学校における資質・能力とはどのようなこととされているのか。また、資質・能力を育成するポイントはどのようなところにあるのか。22年度より実施される探究とはどのように絡んでいるのかなどをみていきたいと思います。

目次

学習指導要領における「資質・能力」とは?

教育の方向性を示す学習指導要領において、「資質・能力の育成」とはどのような意図で書かれているのでしょうか。

資質・能力の育成とは?

学習指導要領の改訂においてその背景には変化が早く、複雑性が増し、予測困難な社会(VUCA)の中で、児童生徒の生きる力、生き抜く力を学校で育むことが実現できるように留意することが大切であると示されています。これからの社会を生きる生徒児童たちにとって必要な力とは何か、変化を前向きに捉えながら、課題を発見し解決していくための資質・能力の育成が目的とされています。また、それが現在の生徒児童を比較して足りない部分、伸ばし部分を明確にしながら、カリキュラムマネジメントなどに落とし込み、授業で育成していく必要性が示されています。
資質・能力は3つの柱で構成され、これらをバランスよく育成することが重要とされています。
3つの柱は以下のようになります。
(1)「知識及び技能」が習得されるようにすること
(2)「思考力、判断力、表現力等」を育成すること
(3)「学びに向かう力、人間性等」を涵養すること

3つの柱の概要

・知識及び技能
「何を学ぶか」という教育の内容を重視しつつ、児童生徒がその内容を既得の知識及び技能と関連付けながら深く理解し、その他の学習活動や生活面でも活用できる、生きて働く知識となることとなります。児童生徒が「何ができるようになるか」という点と合わせることが大切です。その為には各学年の科目別に何を学ぶべきかが決まっている内容となります。

・思考力、判断力、表現力等
児童生徒が「どのように学ぶか」という教育の内容を重視しています。「何を学ぶか」という知識や技術を身につけてもそれを再現する能力やスキルが無ければ実社会や生活を生きることが難しくなります。未知の状況について様々な面から考える思考力、状況を捉えながら自分で決める判断力、多様な他者と協働しながらそれらを表現する力をカリキュラムや授業の中で身につけさせていくという内容になります。

・学びに向かう力、人間性等
児童生徒が「どのように学ぶか」という教育の内容を重視しています。実社会や生活で生きて働くために必要な態度や姿勢、主体性や協働性、多様性などを涵養していくことの重要性を示しています。特に変化の早い社会において、スキルや能力などの学び直し(リカレント、リスキリングなど)など自身をアップデートし続ける力を身につけるためにどのような学びを行うかという内容となります。

資質・能力の育成を行う際のポイント

知識とスキルをバランスよく身につけさせる

知識が無い場合にはいくらスキルがあっても発揮するものが無いです。いくら知識があってもスキルが無い場合にはそれを再現することができません。どちらかに偏りがあると、深く思考することができません。
知識とスキルをバランスよく身に付けることで、知識を得てどう行動すれば良いのかということが理解し、再現できます。主体性のある児童生徒に育むことに繋がります。

継続的に学ぶ姿勢を育むようにする

知識や技能が増えてきても、それを再現するためのスキルや態度、コンピテンシーが育っていないとすぐに挫折してしまうおそれがあります。ストレスなど様々なことが影響しやすい、変化の早い社会においても対応できるよう、学び続ける姿勢を育むことが重要です。特に物事がやりっ放しにならないようにリフレクションや振り返りを行うといった工夫をすることで、気づきを得て継続的な姿勢に繋げたり、あるいは態度目標などを示したりするといった工夫を行ってもいいかもしれません。

多様な環境に触れさせる

継続的に学ぶ姿勢を育む、多様な他者の視点で物事の本質を捉えるという意味でも、実社会との関わりを経験し、多様な環境に触れることでコミュニケーション能力を養うことが必要となります。多様な他者と関わり、異なる意見や価値観などに触れていく中で自分の軸が定まり、資質・能力が身に付いていきます。また、多くのことに触れることで自身や物事の改善点、自身に必要な能力の分析を行えるようになります。多様な価値観の人と共同して物事に取り組むという重要性も理解できてくるようになります。
また、社会との接点を増やしていくことで、自分が興味や疑問のある事柄、興味のある社会課題などが見えてくるようになり、自分のビジョンやキャリア形成の意識が高まっていきます。逆に社会や多様な環境と接点が少ないと、自分自身の価値観や自分ができること、興味や関心が分かりづらくなり、迷いが生じるといったことに繋がります。

資質・能力の育成を行う際のポイント

探究学習とは?

生徒が課題発見、情報収集、整理分析、まとめ表現の4つのプロセスを繰り返しながら、様々な興味や疑問のある社会課題や問題を本質に捉えながら、教科等のものの見方・考え方を横断的に活用し、生徒が主体的に取り組む学習活動のことです。小学校、中学校における「総合的な学習の時間」や、高等学校における「総合的な探究の時間」として設定されています。

探究学習が資質・能力の育成に役立つ理由

探究学習は社会に触れながら学ぶという点で大きな特徴があります。教科等で学び、身につけた資質・能力が社会で総合的に生かされていることを知る良い機会でもあります。また、異なる年齢、環境、価値観の人と多く触れ、それらを認めたり、協働したりするという点も特徴的です。このようにして日常とは少し異なる環境を整えていくことで、生徒たちの資質・能力の育成に寄与できる活動になります。

(まとめ)資質・能力の育成とは?学生に必要な3つの柱と探究学習の関係

ここまで資質・能力の概要、育成についてみてきました。これまでの知識獲得型から先に進み、獲得した知識の活用(思考力・判断力・表現力など)や知識を獲得するための態度、困難な状況に向かっていく力(学ぶに向かう力、人間性の涵養など)といった学び方や学ぶ姿勢を含んでいくことで、複雑な現代社会におけて児童生徒が自身の生き方・在り方を考えたり、それを達成したりするためにどのような資質・能力を育成していくのかということを考える機会を作ることも大切になってきます。このような背景を念頭にして学習指導要領の教育課程では主体的・対話的深い学び(いわゆるアクティブラーニング)や探究活動といった新しい内容での授業改善に対する期待が盛り込まれた内容になっています。
具体的には探究活動においては教科等で学んだことや身につけた力を横断的に活用し、課題を発見解決する力を身につけていくことが期待されています。資質・能力の育成を前提にした探究のカリキュラムをデザインすることで、生徒たちの生きる力を育成するという大きな方向性の達成が期待されるものとなります。
また、大学入試や就職での面接などにおいても能力的な評価の観点に加えて、より主体性や学び続ける力、そもそもの学ぶ(働く)理由、キャリアへのビジョンといった人間力のような部分への評価の割合が高まっています。今後、ますます自分がどのような人間で、何をどのように学んできたのか、そして何ができるのかといったことを考え、言語にする力が重要になっていくと思われます。

\自己理解から進路実現まで!NOLTYスコラ 探究プログラムはこちら/

external_image

株式会社NOLTYプランナーズ