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2019年度から新学習指導要領に先行する形で始まった「総合的な探究の時間」。
生徒数が多い関東第一高等学校では、先行実施とともに取り組みを始めました。
取り組みのキーワードは「進路」。
それは、大学受験のみならず、将来どのような人間になるか、
どのような生き方をするかを見据えたもの。
そのためにNOLTYスコラ 探究プログラムを活用しています。
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関東第一高等学校 長尾先生
◆生徒が自分で進路を考えられるように
総合的な探究の時間をカリキュラムマネジメントの中に加えようとするとき、学校、先生たちが持っている共通意識に根差したものにしたいと考えました。
どの先生にも通底するものとして「どうしたら本校で生徒の伸長を図ることができるか」ということと、「生徒たちの卒業後の進路」のことが挙げられると思いました。
生徒たち一人ひとりが自分で進路のことを考え、自分で動けるようになることを求めていました。
そこで、多くの先生を巻き込むためのキーワードとして「進路」を中心に据えることにしました。
探究で具体的に何を目指すのかといったとき、進路について自分で考えられるようになるために、肯定的に自分の人生を捉え、人間的成長をうながすような影響が出るようにという思いがあります。
◆早く取り組み、納得した進路を選ぶ
校内に新カリ+探究の委員会を立ち上げ、1年目の2019年は代表の先生によるオリジナル教材で取り組みました。プレゼン形式で進めたり、高校生が考えるキャッチフレーズのような広告賞に応募したりしました。
翌年度から、担任の先生方に行っていただくものとして進めるべく、僕の中では1年でグループでの探究に取り組み、2年で沖縄への修学旅行という大きなイベントを経てから進路学習へという構成を立てていました。
2年2学期の修学旅行のまとめを3学期まで伸ばすことも考えられたのですが、間延びしてしまうおそれもある。良くある話ですが、2年3学期を3年0学期と呼び、進路に向けた面談やアンケートを行い、模擬試験に取り組んでいるものの、やはり3年になって進路が本格化するというのが従来でした。
最初にも話しましたが、「早く取り組めばよかった」と思う生徒がいる状況もあり、3学期は探究プログラム進路編を用いた進路系の学習に取り組むことにしたのです。
◆先生のファシリテーション能力を上げる
1年でグループワークをするときには、自己肯定感を身に付けるために、利用している教材に記載されているルールを徹底しています。ルールといっても何かを強制するためのものではなく、他者を慮り、自らに蓋をせず、自然に意見が出せるようになるためのものです。
それらを守ることで平和的にグループ学習が進められる環境となりました。
担任の先生に探究を担当してもらうことは、先生方にとってもメリットがあるものだと確信しています。
探究の時間を一緒に過ごすことで、普段積極的でないような生徒の考えを目にすることができるだけでなく、ご自身のファシリテーション能力にも目を向けていただく機会となっていると思います。
そして、2年生でも同じように各担任の先生方に進めてもらい、3学期では探究プログラムの進路編を使い、週1時間の探究の時間を用いて、進路について取り組みます。
進路についてある種強制的に考える時間を2年生の3学期に毎週1時間つくるということは、これまでの本校にはあまりありませんでした。
時間を作り、担任の先生方と行うことで、生徒が自分自身のことを考え、卒業後の進路、将来のことについても考えられるような環境を確保できるようになるはずです。
実際、2年3学期で大学へ提出するような志望理由書をひとまずのレベルでも書き切ることができる生徒は少なく、個人的には、本校では5人に1人くらいのように感じています。
この取り組みを続けることで増やしていけるよう、生徒の意識も先生方の意識も変えていきたいと思っています。
◆生徒が充実した学生生活を過ごすために
とりあえず入ったような大学で、思いもしなかったような興味のあることが見つかる確率は低い。
目標や目的から来るアンテナを持った生徒なら、究極的にはどんな大学であっても充実して過ごせるはずです。
そのためにも、進路について、自身について、早くから自問する必要性があると思うのです。
3学年においては授業外の時間を用いて進路編を続けていけたらいいなと考えています。
生徒、先生、保護者でこうした進路に関わる情報をデータで共有できるだけでも、とてもプラスにつながりますので。