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探究指導コラム

NOLTYスコラ 探究プログラム

中学校・高校の「探究」に関する記事をまとめています。

2022.03.11

学校に SDGsの取り組みが必要な理由と学ぶ方法、主な取り組み事例

これからの社会を生きるうえで欠かせないと言われているSDGsについての知識。学校ではどのように教育に取り入れていくべきでしょうか。学校においてSDGsの取り組みが必要な理由と、実践例をご紹介します。

目次

学校の取り組みにSDGsは必要?

SDGsとは?

2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すために、世界全体で取り組むべき目標のことです。「Sustainable Development Goals」の略称で、持続可能な開発目標と訳されています。SDGsには「貧困をなくそう」「ジェンダー平等を実現しよう」「海の豊かさを守ろう」など17のゴールが設定されており、そのすべてが2015年に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されています。

学校でSDGsに取り組むべき理由

SDGsの実現に向けて、国際社会においても持続可能な開発のための教育=ESD(Education for Sustainable Development)は重要視されています。日本では2017年3月に公示された小・中学校学習指導要領及び2018年3月に公示された高等学校学習指導要領において、教科に絡めてESDに関連した記述が多く見られます。

出典:「学習指導要領におけるESD関連記述」
https://www.mext.go.jp/unesco/004/1339973.htm

学校でSDGsに取り組んだり、授業に取り入れたりすることで、生徒は早いうちから世界中の問題を学ぶことができ、視野が広がります。大切なのは、生徒たちにSDGsを自分ごととして認識してもらうことです。教科書で学ぶだけではなく、SDGsに関連するボランティア活動に学校で取り組んだり、有識者に話を聞くなど、体験を交えることで生徒たちは自分ごととして捉えられるようになります。自分たちにこれからができるのか、どのようにSDGsと関わっていくべきかなど、自分自身の未来について考えることでキャリア教育にも繋がります。

学校の取り組みでSDGsを学ぶ方法

普段の教育に関連して学習させる

普段の授業の中で、SDGsに関連する内容を取り扱う際に、SDGsとはどんなものなのか説明します。例えば社会科で「貧困、飢餓」や「海洋資源」などの話題からSDGsの学習に繋げるなどです。教科で学んでいることと実社会の繋がりを感じさせ、身近な問題であることを生徒に認識してもらいやすくなります。

探究学習のテーマとして盛り込む

SDGsをテーマとして取り入れやすいのが探究活動です。探究とは、生徒自らが主体的に課題を設定して、その解決に向けて情報を収集・整理・分析し、意見交換や協働しながら進めていく学習活動のことをいいます。小学校中学年~中学校で行う「総合的な学習の時間」や、高校で行う「総合的な探究の時間」といった授業で実施されています。探究活動に積極的に取り組むことで、社会的な考え方を身に付けるきっかけになること、どうすれば問題を解決できるのか考えることによって論理的思考力を培うことができること、プレゼンテーションスキルが向上することなど、探究学習には多くのメリットがあります。
その中でSDGsを取り扱うと、地球環境の保護やジェンダーの平等など、国際社会における重要な問題を生徒に認識してもらうことができます。また、グループディスカッションや、クラス内での発表会などを実施することで生徒同士が意見を交換でき、思考が深まります。SDGsは、生徒の社会的能力の開発に役立つ探究学習において取り扱いやすいテーマと言えます。

学校で行うSDGsの主な取り組み事例

国際機関、駐日外国公館、官公庁などの訪問

SDGsを含む国際問題についての理解を深めることを目的として、高校3年生が校外学習として国連開発計画(UNDP)を訪問した事例があります。代表との質疑応答では、「国際的なキャリアの実情」「UNDPの取り組み内容」「SDGs観点からの開発と環境保全の両立に関する問題について」といった話題が出ました。生徒たちからは「とても良い経験になった」「SDGsについて自分ごととして捉えなければと思った」といった感想が上がりました。学校内だけでは生徒が自分ごと化しづらいテーマですが、平和活動に取り組んでいる方の話を聞くことで意識が変わることが分かる事例です。

【出典】文部科学省「教育現場におけるSDGsの達成に資する取組 好事例集 小・中学校 高等学校」
https://www.mext.go.jp/unesco/sdgs_koujireisyu_education/1418147.htm

他国の生徒との交流

文化祭において、アフリカのタンザニア・ダルエスサラームに青年海外協力隊の看護師隊員として赴任中だった卒業生と協力し、「鉛筆贈ろうプロジェクト」「アートマイルプロジェクト」などに取り組んだ事例です。現地とSkypeでの交流会を実施したことによって、国際理解教育にもつながっています。両国の生活の違いを理解し、「だれ一人取り残さない」という思いを学んだだけでなく、交流を通じ、異なる文化や歴史をもつ人たちとの共生やあらゆる多様性に気づくきっかけとなったようです。

【出典】文部科学省「教育現場におけるSDGsの達成に資する取組 好事例集 小・中学校 高等学校」
https://www.mext.go.jp/unesco/sdgs_koujireisyu_education/1418147.htm

SDGsを自分ごと化し、探究活動に取り組む

この学校では「自分ごと化」をポイントに、体験を交えながら全校でSDGsに取り組んでいます。
パラスポーツである「ボッチャ」の体験や、アイマスクを装着して校舎を歩く体験、発展途上国支援の活動など、生徒自身が体験することでSDGsを自分ごと化することを狙いとしています。
総合的な探究の時間でもSDGsを共通のテーマとしており、1年次はSDGsのゴールごとに分けて調べ学習、2年次でチームを再編し、任意の社会課題の解決についてSDGsと絡めて考える取り組みを行っています。SDGsの重要性について身を持って学ぶことで、探究活動もより深い学びとなっているようです。

修学旅行でSDGsを学ぶ

修学旅行先を探究のテーマとし、SDGsと掛け合わせる方法もおすすめです。NOLTYスコラ 探究プログラムでは「SDGs教育旅行編」というワークブックをご用意しています。SDGsと修学旅行と連動させながら、生徒一人ひとりに「どのようにSDGsと関わっていくべきか」を考えさせることができ、キャリア教育にもつながります。新型コロナウイルスの影響で修学旅行の中止を余儀なくされる学校も多いかと思いますが、修学旅行先ではなく学校の周辺地域を取り扱うことも可能です。

【まとめ】学校にSDGsの取り組みが必要な理由と学ぶ方法、主な取り組み事例

これからの社会を生きる上でSDGsに関する知識は必ず必要になります。学校の中でうまくSDGs教育に取り組んでいる学校では、実際にSDGsに関連するアクションに参加するなど、実際の活動を取り入れながら生徒が学びを深めていました。これからSDGs教育に取り組み始める学校では、SDGsの意識を醸成し活動を推進していくために、まずはペットボトルキャップの回収など、先生も含め皆が取り組みやすいことから始めるのもよいのではないでしょうか。
またSDGsは探究活動とも相性のよいテーマです。市販の教材も活用しながら、総合的な探究の時間においてSDGsをテーマに取り組んでいくのもおすすめです。

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株式会社NOLTYプランナーズ