COLUMN

2023.04.11

自律分散型組織とは?代表的な組織の種類や作るために必要なことを解説

社会情勢の変化に対応するため、自律分散型組織の注目が高まっています。 しかし、自律分散型組織とはどのようなものか、よくわからないと感じている方も多いでしょう。

そこでこの記事では、自律分散型組織とはどのようなものか、代表的な組織の種類も含めて詳しく解説します。 自律分散型組織を作るために必要なことも解説していますので、ぜひご覧ください。

目次

自律分散型組織とは

自律分散型組織とは、所属するメンバーがそれぞれ判断し、行動できるような組織のことを指します。「自立」ではなく「自律」型分散組織となっているのがポイントです。

「自立」が、他からのサポートを受けずに仕事を実行できることを指しているのに対して「自律」は、外部からの強制がなくても自分を規制し、行動できることを指しています。つまり、行動力だけでなく判断力も求められるのが「自律」の概念なのです。

管理型組織と呼ばれる従来型の組織では、部下が上司の指示を受けて業務を遂行するのが一般的でした。しかし、自律分散型組織では、具体的な指示が無くても各従業員が自ら行動できる状態を目指しています。

自律分散型組織が求められる理由は、社会が不安定で先行き不透明であるためです。自律分散型組織を作ることで、普段顧客と直接接している現場に決定権が与えられるため、柔軟な対応が可能となります。

また、テレワークが増加し、他の社員と離れた場所で仕事をする機会が増えたことも、自律分散型組織への注目が高まる理由のひとつです。


代表的な自律分散型組織の種類

自律分散型組織には、さまざまな種類があります。
ここでは、代表的な次の3つについて解説します。

1. アジャイル型組織
2. ティール型組織
3. ホラクラシー型組織

1. アジャイル型組織

アジャイル型組織とは、チームもしくは各従業員に権限が分散された組織のスタイルです。各部門から最低限必要な人数のメンバーを集め、リーダーを中心としたチームを構成します。

各メンバーどうしで上下関係はなく、フラットなのが特徴です。各部門からチームメンバーを集めているため、各所の要望をくみ取りやすく、小規模なチームであるためスピーディーな意思決定・実行を実現できます。

2. ティール型組織

ティール型組織とは、各従業員がそれぞれに権限を持った組織のスタイルです。進化した組織の形とも言われています。

ティール型組織では、組織を生命体、従業員を細胞に例えることが可能です。組織を維持するために各従業員が自分のなすべきことを判断し、意思決定を行いながら運営します。

アジャイル型組織との違いは、アジャイル型が小さなチームを構成して動くのが基本であるのに対して、ティール型では各個人が権限を持ち、全員が組織の目的を達成できるよう行動する点です。アジャイル型組織ではチームとしての意思決定が必要であったのに対して、ティール型組織では個人に意思決定の権限があります。

3. ホラクラシー型組織

ホラクラシー型組織とは、チームに対して役割を設定し、その役割の中で自分がなすべき仕事を実施するスタイルです。

ティール型組織との違いは、ティール型組織では各人が新しい仕事を作ることも可能なのに対して、ホラクラシー型組織では、すでに用意されたビジネスモデルを運用するために役割が設定されている点です。

また、アジャイル型組織は各部門ごとに権限をもったメンバーを集めてチームを構成するのに対して、ホラクラシー型組織ではチームに対して権限が与えられ、その中でメンバーが仕事を進めます。

自律分散型組織のメリット

自律分散型組織には、次の3つのメリットがあります。

1. 権力の集中を防げる
2. 意思決定のスピードが高まる
3. 従業員の強みを発揮しやすい

それぞれ、詳しく解説します。

1. 権力の集中を防げる

自律分散型組織を構成すると、権力の集中を防げます。自律分散型組織は、従来のピラミッド型の組織構造とは異なり、上下関係のないフラットな組織構造が特徴です。

ピラミッド型組織では、特定の人物に権力が集中しがちです。権力を持った社員の考えだけが反映され、方向性が決定してしまうこともあります。

しかし、自律分散型組織のように、各従業員が同様の権力を持っていれば、特定の人物に権力が集中することはありません。1人の意見だけが強く反映されることなく、組織として方向性をまとめられます。

2. 意思決定のスピードが高まる

自律分散型組織を構成すると、意思決定のスピードが高まります。従来のピラミッド型組織の場合、ピラミッド構造の下部の社員には意思決定権が無く、何かを決定する場合には上司におうかがいを立てなければなりません。

重要事項であればあるほど多くの人物が関わる傾向もあり、意思決定までに時間がかかりがちです。

しかし、自律分散型組織では各従業員やチームが権限を持っています。上司の意思決定を待つことなく判断できるため、意思決定のスピードが高まります。

3. 従業員の強みを発揮しやすい

従業員の強みを発揮しやすいのも、自律分散型組織の特徴です。

自律分散型組織では、個人の裁量が大きい分、自分の考えを仕事に反映させながら自分らしく働けます。そのため、各従業員が持っている強みを発揮しやすい傾向があります。

それぞれの個性を仕事に活かしてほしいと考えている場合には、自律分散型組織が向いているといえるでしょう。

自律分散型組織を作るために必要なこと

従業員に権限を与えるだけでは、自律分散型組織の運営は上手くいきません。 自律分散型組織を構成するためには、次のような環境作りが必要です。

1. 意思決定の基準を明確にする
2. ビジョンや理念を従業員が自分ごと化できる環境を作る
3. 主体性のある働き方を正当に評価する仕組みを作る
4. 従業員同士がコミュニケーションできる場を作る

それぞれ、詳しく解説します。


1. 意思決定の基準を明確にする

各従業員が自分自身で判断するといっても、勝手に意思決定をして良いわけではありません。個人がそれぞれの判断で意思決定をしてしまっては、方向性がバラバラになり、円滑に組織運営を行うことは不可能です。

従業員に権限を与えながらも、意思決定の基準となるビジョンや理念を事前に示しておく必要があります。意思決定の基準を明確にし、各従業員が基準に沿って意思決定を行うことで、個人に大きな権限を与えてもバラバラにならない組織運営ができるのです。

2. ビジョンや理念を従業員が自分ごと化できる環境を作る

ビジョンや理念は、決めるだけでなく自分ごと化できる環境がなければなりません。社員がビジョンや理念をなんとなくしか理解しておらず、形だけになってしまっているケースも多いでしょう。

必要があればビジョンや理念の見直しを行い、再度従業員に共有しましょう。従業員とのコミュニケーションを取りながら理念への共感度を高めることで、各従業員が自分ごととしてとらえられるようになります。

3. 主体性のある働き方を正当に評価する仕組みを作る

自律分散型組織を構成し、大きな権限を与えたとしても、主体性が評価されない環境では従業員はなかなか積極的に仕事に取り組めません。やるべきことを自分で判断し、自発的に仕事を進めたことを正当に評価する仕組みを作りましょう。

例えば、自分自身で判断し失敗してしまった社員より、チャレンジせずミスの少ない社員の方が評価が高くなるような環境では、積極的に仕事をしようと考える社員は減ってしまいます。判断したことを評価する仕組みを構築するとともに、適切なフィードバックを行うことで、各社員がPDCAを回しながら仕事を進めやすくなります。

4. 従業員同士がコミュニケーションできる場を作る

自律分散型組織では、社員同士の情報共有が滞りがちになります。 意識的に社員同士のコミュニケーションを活性化し、情報共有ができるような場を作りましょう。カフェスペースのように、仕事の合間に社員が集まれる場所を作るだけでも、情報共有が行われやすくなります。


まずは自律分散型組織について知ろう

自律分散型組織とは、各従業員が意思決定権を持ち、自分自身で判断しながら仕事を進められる組織のことです。権力の集中を防ぎ、意思決定のスピードを高めるなどのメリットがあります。

自律分散型組織を作るためには、意思決定の軸となる理念やビジョンを作り、従業員に自分ごととして考えてもらえるよう、環境を整えなければなりません。まずは自律分散型組織がどのようなものか知ることから始めてみてはいかがでしょうか。

株式会社NOLTYプランナーズ