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NOLTYスコラ プログラムの導入事例

NOLTYスコラ プログラム

導入校の事例をご紹介します。

生徒に任せる手帳運用「楽しく・無理なく」手帳の新たな可能性を創出
取材日 : 2019.08.20
  • 中学校
茨城県立古河中等教育学校 様

生徒に任せる手帳運用「楽しく・無理なく」手帳の新たな可能性を創出

今回ご紹介するのは、第4回手帳甲子園で取り組み部門の優秀賞に輝いた古河中等教育学校。同校の特長は「生徒同士が自主的に手帳活用方法を教え合う風土が育まれている」という点です。今回は、手帳導入の背景から詳しい活用方法について、手帳導入の立役者である進路指導主事の石塚照美(いしつか・てるみ)先生にお話を伺いました。

プロフィール
平成25年に中高一貫教育校として開校。「Creation(創造),Challenge(挑戦),Contribution(貢献)」という校訓のもと、世界で活躍できる次世代のリーダーの養成を目標に教育活動を行っている。「体験」と「探究」と「自立」を重んじた教育活動として、「Σ(シグマ)ソフィアプロジェクト」を推進。大学や研究機関、医療機関等との連携、海外語学研修を含めたさまざまな体験学習を導入し、科学教育、国際教育、リーダー資質の育成、探究学習などをとおして、社会で活躍するために必要な資質の育成に取り組んでいる。

第4回手帳甲子園優秀賞受賞校

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都道府県 茨城県

日常的に育まれる「教え合い」の風土

手帳甲子園では、先生の手を離れ生徒同士で手帳の使い方を教え合う風土がある、という点が非常に注目を集めました。それはどのように育まれたのでしょうか?

書き方を教え合うことは導入直後からあったかとは思いますが、導入2年目の方が増えましたね。 生徒自身がお互いの手帳を見せ合うことへの抵抗感を持っていないように見えます。生徒にとっては、勉強などと同じように先生に聞けないことや分らないことを友達に聞いている感覚なのでしょうね。
私は「分からないことをそのままにしておくな」ということを常々言っていますし、授業でもアクティブラーニングを取り入れて学び合っているので、教え合うことに対して全く抵抗がないのだと思います。

他にも要因はありましたか?

あと、生徒同士の仲がもともといいですね。入学段階で、54校くらいの小学校から120人が集まっています。入学して4月の3週目に行う2泊3日の合宿では、茨城大学の先生にもご協力いただき、生活・学習の基本を学ぶと同時に、生徒同士が仲良くなれるような関係性づくりの仕掛けも行っています。
あとは、クラス対抗の行事や合唱祭など、年間の学校行事を通して良い関係が築かれているのだと思います。

御校の文芸部で発行している瓦版に、生徒が生徒の手帳の使い方を取材した記事が掲載されていますが、それはどのような経緯で始まったのでしょうか?

瓦版で手帳の記事が登場したのは2015年の4月に発行したものが最初ですが、この案は生徒たちから出てきました。
文芸部は私が顧問をしている部で、毎月編集会議をやっています。その会議の中で生徒たちから「手帳の記事も必要じゃない?」と声が上がってきました。新年度になり新入生が入ってきたタイミングで発行する紙面の特集に、「3年次生の手帳の良い使い方」を特集しようという話になりました。
3年生のおすすめの使い方を生徒が生徒に調査して、紙面にして配布しました。

教員・生徒 両者の自主性に任せた導入

NOLTYスコラライト導入の経緯についてお聞かせください。

きっかけは、朝日新聞に掲載されていた記事でした。本校の立ち上げ前の時期にこの記事を読み、中高生向けのビジネス手帳が開発されたと知ったとき「これは使うしかない!」と思いました。 私自身が手帳の愛好者なので、手帳の有効性は自分自身が実感していました。また、キャリア教育が広がってきたタイミングだったので、キャリア教育としてキャリアプランニング能力を育成するためには手帳が効果的だと思いました。
ただ、すぐに導入できたわけではなく、開校2年目からの導入となりました。

なぜ開校2年目から導入を決めたのですか?

開校1年目は色々なところから先生たちが集まりスタートします。あまり色々なことをさせてしまうと先生方の負担になってしまいます。 導入の説得材料になったのは、お試し制度への参加です。1年目の秋に1クラス限定でお試しの機会がありましたので、それに参加しました。先生方には私から「忘れ物が多かったり、成績が伸び悩んでいたりする生徒にこういった効果があるみたいですよ」と手帳の効果を説明しました。実際にお試しを実施したことに加え、効果を調査したことで、先生方に手帳の効果を実感してもらえました。それが説得材料になり、2年目にして導入が決定しました。

導入後はどのように運用されたのですか?

先生方へまずは『声掛け』を依頼
最初の1年目は先生方の負担にもさせたくなかったので、「とにかく書かせてください」というお願いをしました。教科担任の先生には授業のとき生徒に「手帳を出してメモしてください」と声掛けをしていただくよう協力をしていただきました。 手帳のチェックやコメントの記入などは特に指定していません。とにかく負担になることは避けたかったので、先生方には「無理のない範囲で使用してください」と伝えていました。

先生方の手帳の使い方を生徒に共有する機会はありますか?

担任の先生によって違いますが、私は今年の新入生には入学式翌日に手帳のオリエンテーションを実施していて、そのときに手帳を見せました。
オリエンテーションの前と後では、生徒が手帳を使う姿勢がとても変わりました。「手帳を使うことは大人になることだ」と言っていたので、余計に意識して使っているのだと思います。1年次生は肌身離さず持ち歩いていますね。「自分のものだから自由に使っていいし、アレンジしてもいい。好きなように愛してください」と言いました。その話をした後、頂いたDVDを見せています。
今の2年次生は合宿の中でそれを行ったのですが、少し時期が遅かったのだと思います。今年の1年生のほうが反応は良くて、合宿の時点でメモができるようになっていました。4月の入学後すぐに教えるのがいいのかもしれませんね。

生徒に対してはどのような指導をされていますか?

強制はせず、自主性を促す指導
生徒側にも自由に使用させていて、とくに使い方の指定や、書く内容を決めることはありませんでした。 教員も同様ですが、強制をすると手帳を使わなくなります。使うことを嫌がるようになってしまいます。導入して早々に「手帳を使用するのは止めましょう」と言われてしまうことだけは避けたいと思っていました。そのようなやり方でも、書く生徒は充分に手帳を使っていました。

その後の様子はいかがでしたか?

チェックや指導をしっかり行っている担任の生徒は忘れ物も減りましたね。テストの成績を後ろのページに丁寧に書いて、毎回反省をして目標を考える生徒も出てきました。強制しない担任のクラスでは、面倒くさがりな生徒は段々脱落していきました。 チェックや指導を行う効果はありますが、一方で、手帳をコミュニケーションツールにしてしまうと逆に書けない生徒も出てきてしまいます。「先生が見るのだったらこんなことは書けない」とか本音が書けなくなってしまう、とか……。こういう使い方って本来の手帳の使い方と違いますよね。なので、そこはおまかせにしています。
生徒からも言われましたね。「先生が見るのだったら先生が見る用の形で書く」と。その気持ちはとてもよくわかります。手帳はプライベートな物なので、これを他人に見せることは私もしたくありません。自分の手帳は自分の使い方があるので、強制しなくてよいと思っています。

行事に関しても生徒の自主性を伸ばすことを意識されているのでしょうか?

意識しています。例えば入学式の司会進行も生徒にお願いしていますし、学校説明会も同様です。学校説明会では、入試の説明などは教員が説明しますが、学校の紹介は生徒が行います。 特に「他の人に対して話す・発表する」ということは、授業内でも行っています。国語や総合的な時間の授業では1年次の最後の方からディベートを行いますし、3年次は英語でのディベートも行っています。中学時代にはグループ研究も行い、研究の中間発表やプレゼンテーションも自分たちで考えて実施します。 また、本校はお客様が非常に多く、授業見学のために外部の方や受験希望者が来ることが多くあります。オープンスクールの日を9月から11月に掛けて4、5回設けていて、学校公開の日も作っています。

生徒は緊張などはしないのですか?

お客様が来るのは当たり前になっているので、生徒たちは誰が来ても動揺しません。授業を見学されると「中学生がこんなに話せるのですね、しっかりと話し合いをできるのですね」などビックリしたという感想をくださる方は多いですね。

プログラムツールを国語の授業に活用

国語の授業で行っていた成長実感調査を使った分析について教えてください。

国語の資料分析のいいネタがないかと思っていたときにタイミングよく成長実感調査の帳票が届きました(笑)。資料分析の題材としてこれを使えば一石二鳥と思い使わせていただきました。
※成長実感調査とは…NOLTYスコラプログラムを導入することで、生徒にどのような変化が現れるのかを測定するために、毎月7月に実施する調査。回答を集計、分析し、学校ごとに結果をまとめます。生徒の成長を実感でき、その後の指導に活用できます。

授業はどうように行ったのですか?

授業は「資料の中から良い点や悪い点、また1~3年生分を並べてみて比較して分析する」というテーマで行いました。3年生の授業で行ったのですが、1年生の調査結果が非常によかったので真っ先に「(1年生と比べて)私たちダメじゃない?」という意見が出ていましたね。
さらに、「1年がこんなに使えているのは小学校の連絡帳の影響が大きい」とか、「1年生は連絡帳の習慣があったから、そのままの流れで使えているけど、私たちは1年間のブランクがあったから使えなかった時期があるんだよ」とか「手帳を開く回数が多ければ多いほど忘れ物が少ないよね」などの分析が出ていました。結果を分析したあとは注目すべき点をあげて、最後に今後どうしたらいいという展望を考えていきました。

比較して分析をしてみた結果、どのように変化がありましたか?

この授業以降、授業で手帳を出す生徒が増えましたね。
「今日忘れ物してしまったのはなぜだろう」と振り返ったとき「手帳に書かなかったからだ」と生徒が自分で考えられるようになりました。授業は11月に実施しましたが、長期休暇前に自分で自分の身を引き締められるようになったと思います。
1年目は導入期で、生徒に手帳を馴染ませるのに精一杯。今年になって少しずつそういった遊びができるようになりました。
手帳に関しては、楽しく、無理なく、でも生徒がいつの間にか使っている、身近に感じてもらえればいいなと思っています。

校内甲子園はどのように実施されましたか?

生徒全員に提出してもらい、進路部の教員で審査をしました。審査のときには、教員の間で改めて手帳を見て、その使い方に驚くこともありました。
生徒それぞれの使い方を見ていると、手帳の使い方は無限にあるのだなと思いますよね。特に中学1年生は慣れてない分自由に使えているので面白いですよね。 結果は掲示板に掲示し全校の前で表彰を行ったのですが、生徒が受賞者に対して「凄いね」や「今年で2年間連続だね」と声をかけているのが聞こえてきました。
今度からは手帳甲子園のようにプレゼンテーションをさせたいと思っています。身近な人の使い方を知って良い刺激になれば嬉しいですね。

アナログのメリットは 過去と未来を無意識に振り返ることができること

先生ご自身が感じている「手帳の一番良い点」はなんでしょうか?

「過去と未来が1冊で繋がる」という点です。過去も振り返りやすいですし、未来の計画も立てやすい。過去と未来が繋がるツールは、他にないような気がします。デジタルは意外と自分で意識しないと過去にも未来にもいけないと感じています。過去と未来を無意識に振り返ることができるのは、アナログのよさだと思いました。振り返りを行う上で、優秀なツールだと思います。

最後に、今後生徒に手帳をどのように使って欲しいか、お聞かせください。

手帳を使って、先々のプランニングができるようになって欲しいですね。
その場その場で生きるのではなく、「先を見据えた今」というものを手帳で実感してもらえればと思います。

株式会社NOLTYプランナーズ