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NOLTYスコラ プログラムの導入事例

NOLTYスコラ プログラム

導入校の事例をご紹介します。

ラグビー部での活用「GOOD BAD NEXT」で振り返りを習慣に
取材日 : 2019.08.17
  • 高等学校
私立 明和県央高等学校 様

ラグビー部での活用「GOOD BAD NEXT」で振り返りを習慣に

平成25年、特進コースの生徒に『スコラ』を導入し、第2回手帳甲子園では取組部門の優秀校に輝いた明和県央高等学校。2年目からは全校生徒による手帳への取り組みをスタートし、授業だけでなく部活動との両立にも活用しています。進路指導部の石坂雅志先生、3年生の担任でラグビー部監督の成田仁先生、ラグビー部員の高校一年生、藤島くん、長沼くん、新井くんにお話しを伺ってきました。

プロフィール
歴史的環境や文化的環境に恵まれた群馬県高崎市北部に昭和58年に開校した私立高等学校。次世代を担う子どもたちが自分の人生を自ら切り開いていく智恵と力を育むことを教育理念に掲げ、①向上心を持つ人間の育成、②問題に立ち向かう人間の育成、③コミュニケーション力のある人間の育成を目標とする。国公立・難関私立大学を目指す「特進コース」、勉強と部活を両立する「Ⅰ類進学コース」、トップアスリートを目指す「Ⅱ類進学コース」がある。全国大会に2年連続出場しているラグビー部、男子バレー部をはじめ、部活動も盛んにおこなわれている。

第2回手帳甲子園優秀賞受賞校

手帳甲子園の詳細はこちら
都道府県 群馬県

生徒の自発性を養うための手帳

明和県央高等学校で『スコラ』を導入することになった経緯を教えてください

(石坂先生)
以前、私が特進クラスの担任をしていたときの経験から、手帳を使うことを思いつきました。当時、生徒たちが勉強するようになるために、どうしたらいいか考えて「自由と戦え」「自分と戦え」「時間と戦え」という3つのルールを設定。例えば、誰かが遅刻したら全員が居残り授業をするなど、生徒たちをとにかくがんじがらめに束縛することで勉強する環境を作るというやり方だったんです。
しかし、結局それではダメだということがわかったんです。束縛してやらせているうちは、決して自分から勉強をやるようにはならない。自分から進んでやれる人間になるためには「自己管理」が必要だと気づきました。

「自己管理」を育むために、スコラを導入しようと考えたのですか?

はい、自分で自分のことができる人間こそが、最も学力が伸びる。それは受験勉強だけでなく、将来、自分のやりたいことができるようになるということです。
そこで、また特進クラスを受け持つことになったときに、校長に『スコラ』の購入を直訴したというのがきっかけです。

特進クラスに導入してから1年後には、全校生徒を対象に拡大していますね。

特進クラスで第2回手帳甲子園の取り組み優秀校を受賞しました。そういうような評価を受けるくらいの実績をあげられたということですね。それで、今度は全校生徒に広げてみよう、ということになりました。学校としても、全校生徒が手帳を使って自己管理に取り組んでいることが、ひとつの特色となっています。

どんな生徒に使って欲しいですか?

本校には特進とアスリート(Ⅱ類進学)コース、普通(Ⅰ類進学)コースの3つがありますが、私としては、普通コースの生徒にこそ、手帳が必要なのではないかと感じていたということもあります。勉強や部活に特化しているほかのコースの生徒たちに比べると、普通コースの生徒には最初から3年間の高校生活で自分の核となるものがあるわけではないんです。だからこそ、手帳に記録をすることで、その核となる何かを見つけてもらいたい。それは、私が学年主任を経験したことで気づきました。

スコラを持つこと自体にはどのような効果があるとお考えですか?

社会人が当たり前のように手帳を持つのと同じように、これからは高校生も手帳を使う時代になってくるのではないでしょうか?
現に『スコラ』は全国の800校で、中高生24~25万人も使っているんです。そうやって、周りがみんな使っている、誰もが知っているという市民権を得ていることが、生徒たちのモチベーションにはとても大事になってくると思っています。

手帳を通した生徒との交流で、生徒と会話する大切さを実感

成田先生はアスリートクラスの担任とラグビー部の監督をされていますね。クラスでも部活でもそれぞれ手帳をチェックしているそうですが

(成田先生)
はい、毎週月曜日にクラス全員に『スコラ』を、ラグビー部員には『スコラ』と『部活ノート』を提出させています。
クラスで集める手帳は、普段の様子や部活での活動などが書かれています。僕の担任はアスリートクラスなので、ほとんどの生徒が週末は試合があり、その結果や自分の成績を記入してくれています。
手帳をみていると、生徒の学習面、運動面、交友関係などが本当によくわかる。教室だけでは見えない部活やプライベートの様子が手に取るように見えるので、教師としては励ます材料になります。これが手帳を取り入れて一番よかったと思っている点です。

先生は手帳のチェックを楽しんでやっているそうですね

クラス担任や部活の顧問、そのほかの雑務も多い中、手帳のチェックは確かに大変な作業です。でも、僕は大変さより、楽しいという気持ちのほうが強いですね。
インターネットがこれだけ普及している現代において、生徒と僕だけがやり取りする、昔でいう交換日記のような存在になっている。今の子どもたちにとっては、とても新鮮な感覚のようです。

コミュニケーションも、このスコラの大事な要素ですね

その通りですね。それに、手帳をチェックしていると、子どもたちは「もっといろんなことを話したい、アウトプットしたい」と思っていることに気づかされました。教師として、もっと生徒と会話をする大切さを思い知った気がします。
以前であれば、クラスの中に1週間くらい、直接、言葉を交わさない子がいてもさほど気にしていませんでした。でも、今は、手帳を通じて必ず1週間に一度、全員とコミュニケーションができる。それはものすごく大きなメリットだと思うんです。

具体的にはどのようなコメントを書いているのですか?

僕には自分で作ったGOODマークというのを使っています。前向きだな、いいなと思うようなコメントがあれば、アンダーラインを引いてこのGOODマークを付ける。
僕は普段、生徒には“ちょっと怖いお父さん”というイメージで接していますが、手帳の中ではすごく前向きで、ほめることに徹しています。そのおかげで、今は子どもたちとの距離感がずいぶん近くなりましたね。

手帳を使うようになって、生徒たちに変化はありましたか?

平成27年度の入試では、僕のクラスの生徒は全員第一志望に合格しました。スポーツ推薦で受験する子も多く、小論文や面接対策が必要になってきます。普段からこまめに手帳に書き込んでいる習慣が、書く力や語彙力を養うのに役立った点もあると思います。

手帳の使い勝手で優れている点はどこにあると思いますか?

紙というアナログだからこそ、見返すということができる点です。デジタルの手帳は記録したらそれで終わり。いくらデータを取り込んでも、後から見返すことはあまりしませんよね。それに比べて、紙の手帳は1カ月前、1週間前、昨日の自分を振り返ることができる。過去を反省して課題を見つけ、それを未来に向かって生かしていく。「過去、現在、未来」という時間の概念を持って、自主的に考えて行動できるようになります。手帳はそのための道具です。

「GOOD BAD NEXT」で質の高い振り返りを習慣に

ラグビー部員に提出させている「部活ノート」はどんなものになりますか?

(成田先生) 『スコラ』とは別に、部活専用の大学ノートを持たせて、部活についてのコメントを書かせています。部活に取り組む中で、自分が感じた疑問や課題をノートに記録することが大事。そこから振り返りや、課題をどう克服していくかを考えるようになる。この繰り返しで、生徒たちは自分で学ぶ「自主自律の姿勢」が自然と身につくようになります。

どのようなことを書いているんですか?

部員たちには、部活ノートには「基本的に良いことを書くように」と、伝えています。黙っていると、どうしても悪かったことや反省点ばかりになってしまう。でも、そうではなくて、「良かったことは何か?」と考えるように促すわけです。そうすることで「良いところを見る目」が養われる。そこで、初めて「GOOD BAD NEXT」、つまり良いところ、悪いところ、改善点がわかるようになってきます。

先生が手帳や部活ノートをチェックすることで、生徒たちの記入にも変化があるようですね

こちらが書いていることをしっかりチェックしてコメントしてあげると、子どもたちの書き込みもどんどん増えてきて、いろんなことを振り返るようになります。大会や自分のトレーニングについて、みんなで遊んだこと、テストのこと…。手帳や部活ノートに書く内容や量があきらかに良くなってきています。
これは子どもたちにとっても、僕にとっても、とてもいい変化ですね。
今の子は、自分を見てほしいという気持ちがとても強いんです。見てあげる分、手間はかかりますが、そうやって手をかけてあげれば、それがきちんと返ってくる素直さがあります。

手帳を書くことは訓練だとおっしゃっていますが

ラグビーの部活ノートを考えても、どの子も最初からは今ほどの内容や量が書けるわけではありません。書く訓練を積んでいくことで、どんどん内容も量も増えてくる。そのうち、書くのが楽しいという気持ちに変化してくるんです。
書く内容については、先ほども言った「GOOD BAD NEXT」を徹底。これは手帳に限らず試合後のミーティングでも、口を酸っぱくして言っていることです。たとえ負けた試合であろうと、必ず「GOOD」を見つけることが大事。負けた試合はBADばかりが並びがちですが、それでは次につながらないんです。必ずGOODを見つけて、BADを振り返り、次のNEXT、つまり改善すべきことにつなげること。
手帳の中でも、この考え方を訓練していくことで、どんなときでもよかったことを自分で見つけられるようになってきます。

部活で常に自分の課題に向き合うことが、生徒を成長させているんですね。

計画性も生まれるし、時間を無駄にしないという意識が育ちます。時間管理の優先順位がつけられるので、手帳の使いこなしも上達しやすい。
ラグビーというのは、試合が始まると監督の指示を全く受けず、グラウンド上の選手たちがすべて自分で考えなければならないスポーツ。判断力やものごとを整理して考える力、自律心が不可欠なんです。

先生からのプラスのコメントが励みに

普段は手帳には、どんなことを書いているんですか?

(長沼くん)
僕は家を出た時間や帰宅時間、部活の時間を書いて、その下にその日どうだったか、簡単な反省コメントを書いています。高校に入学してから1年間、手帳に書くことを続けてきたおかげで、1日の行動がしっかりわかって反省もできるようになりました。例えば、日々の勉強量も、今日は普段よりがんばったなとか、今日は少し足りないというのが手帳をめくるだけでわかります。

(新井くん)
何を何時間やったか、1日の流れを細かく記入するようにしています。それを踏まえて明日はこうやろうと計画立てるのに使っています。
最初は、1日の反省点も悪いことばかりを書いていました。でも、ラグビー部で成田先生から言われている「GOOD BAD NEXT」を意識して、だんだん「前よりここが良くなった」とか「自分が成長できている点」を書けるように。そうすると、以前に比べてこんなによくなっているんだから今度もがんばろう、と思うことが増えてきました。

(藤島くん)
僕も振り返りで心がけているのは、悪いことではなくて「いいことを書く」ということです。悪いことを書くときも3つくらいにとどめて、それ以上は書かない。たくさん書いても直せないので、自分が改善に取り組めることだけ記録するようにしています。

(長沼くん)
僕はNEXTを自分が達成できる範囲に設定しています。それは目標というよりも「やるべきこと」という意識で取り組むようにする。そうすると、ちょっとずつ達成できるので、自分でも成長を感じられます。

先生からのコメントについてはどう思っていますか?

(藤島くん)
先生から手帳を返してもらうと、みんなすぐ手帳を開いてどんなコメントを書いてもらったかチェックしています。コメントは楽しみだし、書いてあるとうれしいです。

(藤島くん)
練習が終わった後、自主練をしないでラーメンを食べに行っちゃったことを正直に手帳に書いたことがあるんです。「怒られるかな?」と思っていましたが、手帳にはラーメンのところに赤線が引いてあって、「いいね! どこのラーメン?」というコメントが。それを見て、先生にぐっと親近感を感じましたね。それに、先生に手帳のコメントで励まされると、もっと頑張ろうという気持ちになれるんです。

(新井くん)
うまくいってないときに、プラスの言葉を書いてくれるので、それもすごく参考になります。

(長沼くん)
赤線が引いてGOODと書いてあると、「こういうところがいいんだ」と自分で確認できます。何がいいかはっきりすると、それを次に生かしやすくなりますね。

手帳をチェックされるのは気になりますか?

(藤島くん)
僕は最初の頃は全然手帳を書いてなくて、成田先生にチェックを受けるようになってから書くようになりました。始めの頃はプライベートなことを見られるのはものすごく抵抗感があって、手帳にも適当なことを書いたりしていました。でも、今はちゃんと書くとちゃんとコメントで返してくれるのがわかっているので、プライベートなことも書くようになりました。

手帳を書くのを習慣にするにはどうしたらいいと思いますか?

(新井くん)
僕のクラスでは、みんながみんな手帳をちゃんと書きこんで使っているというわけでもない。僕の場合は、ラグビー部では全員が手帳と部活ノートを提出するというルールのおかげで、手帳が習慣にできた。やっぱり最初は、誰かに言われないと「手帳を書こう」という気持ちにはなかなかなれないものです。まずは、きっかけとなるものがほしいですね。

株式会社NOLTYプランナーズ