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NOLTYスコラ プログラムの導入事例

NOLTYスコラ プログラム

導入校の事例をご紹介します。

卒業後のキャリア形成のために、在学中から手帳を使いこなすように
取材日 : 2019.08.15
  • 高等学校
新潟県立安塚高等学校 様

卒業後のキャリア形成のために、在学中から手帳を使いこなすように

「☆キラリと光る安塚高校」をキャッチフレーズに、徹底した少人数指導で、生徒たちの将来の夢の実現をサポートする新潟県立安塚高等学校。平成25年度より導入した『スコラ』は、現在、全学年で採用。生徒の時間管理、自己管理に役立てています。その取り組みと成果について、『スコラ』を学校に提案した2年生担任の吉村良紀先生にお話をお伺いしました。

プロフィール
緑豊かな自然に囲まれた、明治44年創立という由緒ある学校。教育方針は「健康・自律・敬愛・創造」で、教員・保護者・地域が一丸となって、熱心に教育活動に取り組んでいる。生徒ひとりひとりの個性や資質に合わせたきめ細かい指導で、進路希望を組織的にサポート。進路状況は専門学校進学と就職が約半数ずつを占める。
都道府県 新潟県

手帳に使い方の基本を貼り、必ず手元に置くことを徹底

吉村先生が赴任した時の状況が、『スコラ』の導入につながるとのことですが

はい。私は4年前の平成22年に安塚高校に赴任したのですが、そのときの生徒たちの印象は課題が多いものでした。具体的に言うと提出物の提出期限を守れない子が多いというようなことを感じたのを覚えています。
そもそも本校は、卒業後、就職する生徒が約半数いるのですが、こういった課題を解決しておくことがとても重要だと考えていました。 そんなときに目にしたのが、手帳の『スコラ』だったんです。実は私の妻も新潟県内で教員をやっていて、彼女が勤務する学校が『スコラ』を採用するというので家で見せてもらったのが最初です。初めて手にしてパラパラと中身を見たときに、「これはいい」と率直に思いました。

それですぐ、導入しようと決めたんですか?

そうですね、私の前任校が中高一貫校で、そこの中学では1日の学習記録をプリントに記入してファイリングしていました。そのような習慣が、ここの生徒たちにも定着するといいのではないかと。そのツールとして、中高生向けに作られた手帳ならうまく活用できそうだと思ったんです。
さっそく同じ学年の先生に相談して、初年度は当時の1年生2クラスで『スコラ』を使うことにしました。

「明日を映して」は生徒へスムーズに浸透したのですか?

生徒たちに、「生活の記録をとっていくとあなた方の高校生活の質が変わるんだ」ということを充分に伝えることができなかった所があり、うまく活用できないところもありました。一年間を通して記録をさせながら、我々もこれを面談等で使いました。徐々に浸透していったと思います。
ただし、昨年の場合(「明日を映して」使用開始の初年度)は、1年次のみの実践でしたので、指導に限界はありました。生徒が接するのは、担任の先生、部活動の先生、その他いろいろな先生方がいるわけです。年次を超えて、学校全体の実践としないと、なかなかうまくいかないというのが昨年の反省点でした。

具体的にはどんな取り組みをしているのでしょうか?

まずは、『スコラ』をいつも自分の手元に置くことを徹底しています。毎日、学校に持ってきて、家に持って帰るのが基本です。教室以外で行われる授業の際にも、必ず手帳を持参して、授業中は机の上に出しておくというのがルール。毎朝のSHRや各授業での連絡事項(宿題や提出物の提出期限など)はすべてこの『スコラ』に記入します。 最初はなかなか手帳の使い方に慣れていないところもあるので、連絡事項も黒板に書き出して、それをメモするように指導しました。1年間かけて手帳にメモするという経験を積み、2年生になってからは、口頭で話していることをメモするという形に変えています。 手帳の使い方のルールについては、下に紹介している「スコラの使い方」というプリントを生徒に配付して、手帳に貼るようにいってあります。

スコラの使い方

  • 1. 手帳は毎日必ず家に持ち帰る。
  • 2. 自宅で手帳を開き、次の日の予定を確認する。
  • 3. 手帳は毎日必ず学校に持ってくる。
  • 4. 授業中は手帳を机の上に出しておく。
  • 5. 授業担当者から、宿題や提出期限などの指示が出たら手帳に書く。
  • 6. 全ての授業(教室での授業以外にも)、手帳は持っていく。
  • 7. 毎朝のSHRでの連絡をメモする。
  • 8. 週に1回担任の先生に提出してコメントを記入してもらう。
  • 9. 教務室に入るときは、以下のように礼儀正しくする。
  •  入る時:ノック
  •   →失礼します。
  •   →2年〇組〇〇ですが、〇〇先生に用があってきました。
  •   →手帳を持ってきましたので、コメントをお願いします。
  •  出る時:失礼しました。
  • 10.4限終了後に、教務室の担任まで手帳を提出しに行く。
  • 11.昼休み終了5分前に、教務室の担任の先生まで手帳を取りに行く。

生徒が手帳を持って教務室へ行く機会が、ビジネスマナーの習得に

手帳のチェックは、生徒に昼休みに教務室に持ってこさせるのがポイントだそうですね。

そうなんです。2年生は22人が2クラスなんですが、クラス担任が1日に全員分を見るのは時間的に難しい。でも、1日5人程度であれば、昼休みの間に見ることができます。 そこで、クラスのメンバーを月~金までの5グループに分けて、曜日ごとに1グループ4~5人の生徒の手帳をチェックできるようにしました。手帳には、上で紹介したスコラの使い方のほかに、自分のグループが何曜日に提出するかという紙も貼って、自分の提出日を忘れないようにしています。さらに、教室で手帳を回収するのではなく、昼休みに生徒が自分で教務室に持ってくるというシステムを考えました。こうすることで、生徒たちのコミュニケーション能力をあげるチャンスになると考えました。

教務室に持ってくるようにした理由を教えください。

教室と違い、教務室は大人の空間です。教務室に入るときは、生徒たちも普段とは違って、改まった場として少し緊張するものですよね。うちの学校の生徒たちは、シャイで内気な子が多く、人前だと緊張してうまく話せなかったりもします。そういう子どもたちに、週1回、必ず教務室に行くという場面は、ビジネスマナーを練習するいい機会になっています。
教務室の扉をノックして、自分の名前を大きな声で名乗って、入室する。たったこれだけのことですが、習慣的に慣れておけば、就職試験の面接でも戸惑わずにうまく受け答えができるはずです。 また、生徒にとっては、「手帳の回収」という行為は受動的なことですが、「自分で手帳を出しに行く」というのは能動的なこと。自分から動ける人間になってほしいということも、大切にしたいと考えています。

その他になにかメリットはありましたか?

このチェック方法のメリットとしては、昼休みの間に手帳を見てコメントを書くので、生徒の手元に手帳がないという時間が最小限で済みます。1日預かる、午前中だけ預かるという方法だと、どうしても生徒の手元に手帳がない時間ができてしまうんです。そうすると、そのときに連絡事項があったらメモができない。そういうことが起きないようにするためにも、昼休みの間に確実に手帳をチェックするという今のシステムは有効だと思っていますね。

コメントはどのような点に気をつけて書いているのでしょうか?

手帳を見ていると、勉強のことだけでなく、部活動など、勉強以外の点の活動もわかるようになってきます。普段の会話ではわからない、生徒の一面に気づいたりすることもありました。そういう部分もきめ細かく見ながらコメントを書くことで、生徒をほめたり励ましたりすることが増え、信頼関係が深まったような気がします。テスト前なども、どれだけ勉強をがんばっているかがわかるので、アドバイスがしやすくなりましたね。

手帳に苦手意識のある生徒についてはどのようにお考えですか?

もちろん、一方で、なかなか手帳を書くことが定着しない生徒がいるのも事実です。そういう生徒には、最初に立ち戻って、まずは手帳を開くことから、言われたことをメモするところからはじめるように促します。「目標を書いてみよう」「1週間を振り返ってみよう」というようなコメントでアドバイスすることもあります。そういう生徒には、とにかく根気よく、手帳を使うことを伝えていくしかありません。根比べですね(笑)

手帳をただの手帳で終わらせない使い方を

『スコラ』導入後、生徒に変化はありましたか?

『スコラ』を使うようになってから、生徒たちは明るくあいさつができるようになったり、ずいぶんと敬語が使えるようになってきていますね。
テスト前に勉強の計画を立て、さらに実際にやった勉強を手帳に書くことで自分の努力が「見える化」できるということもわかるようになりました。見える化によって、努力すれば結果が伴い、しなければそれなりの結果しか得られないということが、理解できるようになったんではないでしょうか。

生徒の声を実際に聞く機会はありましたか?

実は、生徒に『スコラ』を使うようになって実感していることを、アンケートで書かせたことがあります。回答は、「忘れ物が減った」「時間を上手に使えるようになった」というものが多くありました。そういうコメントを見ると、確実に成長してきているな、と実感します。
とにかく、「手帳をただの手帳で終わらせない」ための工夫は必要ですよね。そのためにも、しつこく「気づいたことは手帳に書くこと」を徹底していくしかありません。インターンシップや企業見学でも持参して、進路指導や講演会でもメモをとるようにする。そういうことを重ねながら、未来につながる手帳を作っていってほしいと思っています。

そうすると、手帳を持つのと持たないのとでは違いがでてきそうですね

大きく違ってくるでしょうね。就職試験では「自分には語るべきものがない」と生徒たちは感じがちなのですが、「3年間、手帳を使って自己管理できるように努力してきた」ということは、大きなアピールポイントになるはず。手帳にしっかり向き合うことで、自分に自信をもってほしいですね。

これからの『スコラ』の活用として、どんなことを考えているのでしょうか?

生徒と『スコラ』を通して、さまざまなコミュニケーションが広がったと思っていますが、担任だけでなくもっと多くの教員がコメントを寄せる機会を作ってもいいのかもしれません。
『スコラ』を使って2年目になる2年生は、ある程度、手帳に書くという行為が習慣化しています。1年生が入学してきたときは、2年生の代表者が自分たちの手帳をコピーして、手帳の使い方を1年生にプレゼンテーションする機会も設けました。教えるほうにとっても、教わるほうにとっても、とてもいい経験になっていると思います。
現在の2年生は、昨年夏に「手帳甲子園」に向け、校内選考を実施しました。そのときの優秀者は、年末に東京で開催された「第3回 手帳甲子園」にも参加。ほかの学校や生徒のさまざまな取り組みの声を生で聞けたことは、生徒たちにとっては大きな学びとなったと思います。  1年生から手帳を使ってきた学年が、来年度はいよいよ3年生になります。進学や就職に向けて大切な年となりますので、まずは『スコラ』をより使いこなして、自己管理能力をより高めてもらいたい。そして、それがそれぞれの子どもたちの夢の実現に役立つことを願っています。

株式会社NOLTYプランナーズ