MENU

NOLTYスコラ プログラムの導入事例

NOLTYスコラ プログラム

導入校の事例をご紹介します。

育ち、伸びる高校生活を過ごす。
取材日 : 2019.08.08
  • 高等学校
私立 正則高等学校 様

育ち、伸びる高校生活を過ごす。

1889年(明治22年)、外山正一・元良勇次郎・神田乃武の三先生によって創立された正則高等学校は、近代日本を背負って立つ青年たちのために、もっと人間としてひろがりのある「正則」な教育を創立の精神をもって建学されました。本来の学校らしさを求め、充実感ある高校生活、勉強、様々な体験をふまえ社会で生き抜く力を生徒達が身につけて行く正則高等学校。
3年間クラス換えが無く、担任が変わらない持上がり式の形態をもつ高等学校ですが、1年生という早い段階での能率手帳スコラを活用した教育について、青木裕人先生にお話を伺いました。

プロフィール
1889年(明治22年)に創立された1世紀を超える伝統をもち、「本来の学校らしさ」を求め、すべての生徒に総合的学力と進学学力をつける指導をすすめている高等学校。
都道府県 東京都

能率手帳スコラの導入の経緯

能率手帳スコラの導入のきっかけについてお聞かせください。

正則高校は、3年間に渡ってクラス替えも担任も変わりません。 私もこの3月に卒業生を輩出致しました。そのクラスでは、手帳は使わなかったのですが、様々な学習運動をしてきました。
例えば、「4ヶ月で500時間勉強してみよう」、テスト前では試験計画表で計画を立ててみようといったことを実践していました。
そのクラスの3年生1学期に受験勉強対策として、生徒に受験勉強で何をするのかを考えさせ、書き出してみようと思いました。
しかしながら、そのような経験や習慣がなく、生徒達は何も書くことができませんでした。1学期については勉強の質があまり高くなかったと思います。

他にもエピソードはありますか?

夏休みには勉強合宿を行ったのですが、勉強の意欲はあっても「がんばり方」を知らない、「何をすれば良いのか」も認識していませんでした。
また、「いまどの様な状況にいるか」も認識できていませんでしたね。
習慣や経験がないため、突然1年間のプランを立てようといっても無理があると感じました。
1年間を1ヶ月毎、1週間毎、1日毎、といった細かく分割して、プランを立てられるように1年生のうちから訓練をする必要があるのではと思いました。
例えば土曜日に2時間程度の自習時間を設け、何をするべきか考えさせ、取り組ませるといった訓練や、ホームルームの時間に自宅に帰ってから自宅では何をするかの計画をたて手帳に記入し、次の日のホームルームでその計画を振り返り、1日単位の計画をたてる訓練や、テスト前には1週間、2週間単位の計画、夏期休業では1ヶ月単位の計画をたてる、といった訓練を日常から継続し、3年時に何をすべきかを考え、実践する事ができるような指導をしたいと考えています。

1年生からの訓練が必要なのですね。

クラス替え、担任替えのない持ち上がり制なので、学年単位での学習指導や、どのように生徒を育ててゆくか、という点について日常的に考えています。
ツールとして、能率手帳スコラを1年生から活用してみようと考えました。

能率手帳スコラはスムーズに導入できたのでしょうか?

初めての導入でしたので、生徒達がどれくらい活用してくれるのか予測ができませんでしたが、高校生活では必ず必要なものである、と認識をさせる必要があると考え、「型」を作ることが必要だと考えました。
準備段階として、昨年に能率手帳スコラのサンプルを1名の上級生に使用させ、感想や使用感をヒアリングしたんです。
その内容をもとに、活用方法や学年での打ち出し方の方向性を決め、現在の学年への指導をおこなっています。
今回の狙いからも、1ヶ月といった短いスパンではなく、3年間使ってゆくということを決めたので、その点については神経を使いました。

1年生はすぐに活用できたでしょうか?

「1日のやることを計画して、翌日に振り返る」というサイクルを実践する点では予想通りでしたね。
懸念点として、今までのものと比べてサイズが小さいという印象がありましたが、サイズ的にも問題はなく、便利に活用できているという感想が聞けました。

能率手帳スコラの活用方法

導入当初、生徒に手帳を慣れさせるためにどの様な指導をなされたのですか?

入学当初は提出物や健康診断などの様々な行事があるため、予定を書くという点でよい機会ですよね。
提出物、帰宅時間、入門合宿の日程、持ち物など、勉強以外でも沢山の「書く必要があること」がでてきます。
導入最初の4月は、とにかく「書く」、手帳で提出物などをチェックさせる、という点を集中的に指導しました。
導入時点では、勉強時間をどのように増やして行くかといった点は、あまり指導しませんでした。忘れ物をして担任に怒られた時などに、「手帳に提出物を書かなければ」「手帳を持っておかないと」という意識に繋がっていったようでした。

能率手帳スコラ以外のツールをご検討はされたのでしょうか?

私達で独自に作ったもの、ということも考えていました。
重要なのは「自分のものである」という意識だと考えました。その点で、しっかりとした造りの能率手帳スコラが良いと考えました。

導入以降の活用方法などの指導はなされたのですか?

手帳を工夫して書いている、面白い書き込みをしている、朝も勉強している、といった生徒たちの手帳を、毎週8人ほど選出して、他の生徒にプリントで紹介をしています。
学習ができているから、といった観点ではなく、丁寧な記入をしている生徒の手帳を紹介するように心がけていました。

みんながすぐに参考にできるようにしたんですね。

それまで書くことに慣れていなかった生徒が大半だったので、書き方、自分にとってのメリット、といった点に気づくまでに時間がかかったようですね。
教師からの指導よりも、仲間ががんばっている、という事を紹介する方が、生徒たちのやる気に繋がると考えています。

紹介する手帳を選ぶ上でのポイントをもう少し詳しく教えて下さい。

最初は丁寧な記入、持ち物の細かい記入、宿題の記入、具体的な学習内容の記入、と少しずつ記述内容を検討する基準へとシフトしていきました。
テスト前には、学習時間が長い生徒、試験日に向かって計画的に学習をしている生徒を紹介するように心がけました。
テスト終了後の6月などは、生徒が中だるみし始める傾向が見えるため、朝に勉強をしている生徒、英語検定の勉強をしっかりしている生徒など、時候にあわせて良いと思ったものを紹介するようにしています。
文化祭の時期などは学習時間が確保できない場合もあるのですが、学級委員だけど一生懸命勉強している生徒、自分でルールを決めて毎日の復習をしている生徒などがいると紹介をするようにしています。文化祭だからといって学習時間が確保できない、ということではないと意識づけることができます。

振り返り、修正、次のステップへ

能率手帳スコラで学習の計画・実践において課題点があるとお聞きしました。

学習する習慣の無い生徒が学習をするようになり、テストの点数もあがり、学習に対して肯定感をもって向き合えるようになった反面、「手帳を書くこと」だけで満足して、そのときには理解していなくても次に進んでしまう、ということが問題となりました。
1週間単位で計画をたて、実践をする際に、月曜日に終わらなかった内容があったとしても、火曜日の内容に取りかかってしまう、といったような点ですね。

どのように解決したんですか?

課題を打破するために、手帳に学習計画を立てる上での、補助的なプリントを準備しました。
テスト前に「日付を考慮せずに」やるべきことを書き出し、手帳のスケジュールと見比べながら配置するための作業です。
1学期の学習内容を理解していないで進んでしまうという問題が起こらないように、気づいたときにあの作業をしていないなど、思わないようにといった工夫を加えて指導をしました。

いきなりスケジュールを立てるのではなく、やるべきことをまず考える、ということですね。

立てた計画の見直しと修正ということだと思います。
一度立てた計画を、実情に合わせて変更する、ということを訓練する必要があると考えていますから。
1週間の計画を粗く立てて、ホームルームなどで修正をし、1日の予定にしていく、といった練習をしています。

計画の修正はどのようなサイクルでおこなっているのでしょうか?

ホームルームの時間に連絡事項を伝え、記入をさせた後に、振り返り・修正を行わせています。
月曜日の朝に生徒たちから手帳を回収し、その日の放課後に返却しています。
月曜日の空いた時間を活用して手帳をチェックし、コメントを書き込むようにしています。生徒たちに紹介する手帳も、この時に選定しています。
今では、手帳の提出時には、先週の振り返り、翌週の予定の記入もするように指導しています。

生徒に取っては少しハードルが高く感じますがいかがでしょう?

その他の宿題などにおいても厳しく指導をしていますので、手帳に関する指導で取り組み状況が悪くなるといったことは無いと思います。
今までは学級通信に連絡事項を書いていたのですが、今では口頭で必要事項を伝え、手帳にメモを取るように指導しています。
いずれは学年の掲示板に連絡事項を書いて、掲示板のメモをとれるようになれば良いと考えていますね。
重要なのは、生徒自身が情報を自ら取得する、という点です。
意思がなければ、わかることもわからなくなってしまう、わからないことに気づけないといった状況になります。

8クラスの足並みを揃えるためにどのような取り組みをしているかお聞かせください。

日常に当たり前に教員間で話し合う雰囲気ができており、教員全体で学年の生徒を育てるという意識はありますので、足並みをそろえるための指導などは行っていません。
手帳の取り組みについても、ユニークな使い方や活用方法を教員間で共有することで、新たな指導方法を見つけるような交流をしています。
問題意識に関しても充分共有していますので、手帳の活用方法であまり苦労した記憶は無いように思いますね。

能率手帳スコラの活用から見る個々の成長

先生方の間で手帳のお話が良く出るとお聞きました。

能率手帳スコラは、学年全体で生徒の力を高めて行く、という問題意識をもって導入を検討したものでしたので、今まで以上に生徒の状況について情報交流が深まりました。
また、手帳を目の前にして生徒の状況把握もでき、クラス間での生徒の認識の差なども、このように指導しようという意見交換や、活用している生徒の手帳をもとに、他の生徒への使い方の指導などの話もしています。
そういった情報交換や指導方法により、一段上の手帳の使いこなしができると思います。

教員側での最初の価値観の共有というのが大事なようですね。

そうですね。目的、手帳を使おうという想いがありましたので、そのような考え方に適した手帳が見つかり順調に進んできたと感じています。

手帳を使い始めてからの生徒の変化をお聞かせください。

中学生時代からの変化という点では、高校では把握できないのですが、懇談会などで保護者から、テスト前でも勉強をするようになった、といったお話を聞く機会がありました。
そういった点で生徒の変化を一番感じているのは保護者の方なのではないかと思います。
また手帳が直接関係あるかどうかはわかりませんが、それ以上に高校に入ってから家の手伝いをするようになった、規則正しい就寝時間になった、といった点で保護者の皆様は感動している部分はありました。

高校生はどうでしょうか?

高校生活においては、過去同時期の学年の学習時間と比べて飛躍的にのびています。
段々と変化してきた、というよりも、頑張ろうと思う生徒の想いにうまく応えられる手帳、ということや、使い始めたタイミングが良かった、というようなことだと思います。

生徒の間では手帳のお話は出るのでしょうか?

自慢合戦のようなものにはなっていないと思いますが、宿題の確認などは手帳を確認しながらお互い話し合っているみたいですね。
他のクラスの様子や、文化祭のクラスの企画などが気になっているようで、手帳を見ながら話している姿も見受けられます。

ぶれない軸としての能率手帳スコラ

今後能率手帳スコラを活用する上での指導方法などありましたらお聞かせください。

最終的な目標は生徒自身で自分の問題点を理解して、問題点を解決する方策を設計出来るというのがゴールではと考えています。
ゴールというのは学習の面だけではなく、普段の生活のコントロールができてこその、学習のコントロールに繋がっていると思っています。
行事やテスト以外の時期で、日々宿題はあるものの、自身のコントロールが利いていない状況での学習や生活は質が上がってこないと思います。
生徒の様々な質の向上のために、私達は考えていかなければなりません。

自己管理能力の育成は重要ですね。他に取り組まれていることはありますか?

導入の経緯でお話した、長期的な視点を持ち、来年までに何をするか、2年生になるまでに何をするかといった点を生徒にもっと考えさせたいと思います。
何をやる、ということをわかるために、どうなりたい、ということを分かる必要があり、具体的にどうなりたい、という考えは生徒にとっては少し難しいことかもしれませんので、大人が道を示す必要があると考えています。
手帳を使うことで生徒がそのような意識や感受性を持ち、自分をどう作っていくのか、ということを考えられるようになってきたと感じています。
そのような想いに、しっかりと応えられるように、道を示す必要があると考えています。
生徒は私達が考えている以上に成長しているので、生徒をのばすために私達も成長しなくてはいけません。
手帳の導入だけで全て解決できる、とは考えていませんので、手帳を活用してどの様に生徒を引き上げていくか、ということが大事だと考えています。

生徒に指導する上で注意していることはありますか?

生徒を指導する際に、全体の平均以上に取り組んでいる生徒のモチベーションを下げてしまう懸念がある点には気を遣っていますね。
例えば学年全体には2時間勉強しよう、と伝えてしまうと、5時間勉強しているモチベーションの高い生徒ののびを抑制してしまいます。またこのような実例はよくあることです。
能率手帳スコラの活用は、学年全体で動いているものですが、こういった個人の取り組みも垣間見ることができるといった点で、学年としてもとても良いことだと考えています。

もし手帳を導入していなかった場合のお話をお聞かせください。

教員側で長期的な計画表を作成し指導していたと思います。
ただし、生徒からすると、教員が3年間かけて何を伸ばそうしているか、という点が伝わりにくいのではないかと思います。
計画にそって指導をし、修正点があれば軌道修正をしますが、現状に合わせて修正が発生した場合には、生徒にとって軸がぶれたように見えるため、困惑し、不安になるのではないかと思います。
その点から、「軸は手帳である」ということからぶれを無くし、困惑や不安を無くすことが良かったと思います。手帳を軸として、計画表で情報を補い、手帳に落としこむ、といったことが良いのではではないかと感じています。
もし手帳が無かったとして、同じような指導をしていたとしても、生徒の捉え方は違うのではないかと思います。

その他に考えられることはありますか?

生活リズムという点でも、うまく進まなかったのではないかと考えられますね。
手帳には帰宅後の生活内容も書くので、教員と保護者との会話が円滑に進められるようになりましたから埼玉。
面談の際に、生徒の1週間の学習状況を説明できると共に、睡眠時間が少ない生徒には、日常生活の管理はご家庭側で指導をお願いします、といった相談も可能となりました。
能率手帳スコラは、学習コントロールと生活コントロールが1つの軸になっています。
生徒にとっては、学習も生活も同じことですが、教員や保護者にとっては、生活コントロールはご家庭で、学習コントロールは我々が、という相談が可能です。
そのような指導の仕方についても、保護者の方にもしっかり伝わっていると感じています。

株式会社NOLTYプランナーズ